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LIVE備忘録 vol.14 【Life is Party】

『小山田壮平 バンドツアー 2023』at LINE CUBE SHIBUYA


昨年末に発表されていたバンドツアー。


しっかり当選したものの、いつも一緒に行く親友Kは外れてしまっていた。



2023年5月14日。

平日がキツすぎて土曜日にしわ寄せが来る。その結果、睡眠で溶かした土曜日の翌日の日曜日はいつも気分がゆらゆら。
やることがありすぎるまま中途半端にしか進められずにモヤモヤした心を動かして家を出た。

当日はあいにくの天気で、傘を持ち電車に乗れば、平日とは違う賑やかな電車内。

思えば昨年12月1日の弾き語りツアー以来、ほぼ半年ぶりの小山田壮平。
しかも会場は同じくLINE CUBE SHIBUYA。

新年度に入ってからほとんどTwitterを見ていなかったため、今回のツアーに関する情報はゼロ。




普段よりもやや早い開演時間にせかせかしながら会場に着くと、相変わらず馬鹿でかいひよこがお出迎え。


目、怖いよ。



会場にはカネコアヤノポスターも



座席は1階25列31番。


入場時間が遅かったこともあり、座席についてすぐに開演する。





珍しく上手から出てきた、ツアーT(ライトセージ)を着た小山田壮平、ツアーT(ライトベージュ)と白いバケットハットを着こなした濱野夏椰、暗色のシャツに黒ヒゲを身にまとった藤原寛、アロハシャツに身を包んだ久富奈良はそれぞれの配置につく。




照明がステージを赤く照らすと、1曲目は“夕暮れのハイ”。
開幕からクライマックスのよう。

ここ最近、エレキギターを練習し始めたカツヲは、濱野夏椰の鳴らす真っ赤なジャガーの音色に心奪われる。



一変して照明が落とされると、余韻を残さずに静けさを保ったまま始まるロックナンバー。
田渕ひさ子に捧げる曲として書かれた未音源化の“彼女のジャズマスター”は、サビに入れば激しい楽器の叫びに乗せられて、小山田壮平は溢れる想いを放出させる。

いやー、カッコイイんすわ。

サビで喉を枯らして歌い、密度濃く鳴らされる間奏が過ぎると、一気に小山田壮平の声とエレキギターの音だけになる。
そして、サビでは再度爆発する楽器の音色が、小山田壮平の叫びと調和する。
僅か3分にも満たないこの曲は、1曲の中で余韻を残すことなく、緩→急→緩→急、と移り変わる。

いやー、カッコイイんすわ。




声にならない叫びをあげているカツヲを骨抜きにするように、ディレイのかかった印象的なフレーズが鳴らされると“Life is Party”。
流れゆくすべてに諦めと無力感を漂わせる中で何度も歌われる“Life is Party”という言葉。
一種の慰めのような、ヤケクソのようなフレーズ。

時間を超越していると思う。この曲は。

コード主体で鳴らされていたエレキギターの音は、音源とは異なるアレンジ。
めちゃめちゃ良かった。

3曲目にしてエンディングのようで、走馬灯のように巡る楽器の響き。
徐々に爆発していくアウトロは、消えぬように最後に足掻く夕焼けのよう。

あの日の空は言うさ
あの日の空は言うさ
明日もずっと続くよって

Life is Party” andymori




たしかここら辺でMCがあり、メンバー紹介で小山田壮平が

ドラムス!濱野夏椰!!!

と盛大に間違えるというお茶目な場面があった。





4曲目は“サイン”。
サビではオルゴールのような丸い音が、Aメロではノイズのような歪んだ音が濱野夏椰によって鳴らされる、ライブ会場限定で販売されていたEP『2018』のバージョン。
ベース、ギターの2人によるコーラスと、小山田壮平のファルセットが心地よい。




続いて聴こえてきたハイポジで鳴らされるギターの音に、ボルテージがあがる。
5曲目は“光”。
おそらく、このツアーで数年ぶりの披露。
リズム良く歌われるシンプルな歌詞は耳心地が良い。
10年前とは変わらぬ透き通った歌声が届いていた。




小山田壮平がアコギに持ち替え、濱野夏椰がスチールギターに向き合うと“スライディングギター”。
歌詞もメロディーも、小山田壮平が作るフォークロックの完成系だと思う。
ステージの中央で跳ねるように歌う小山田壮平に目を奪われる。
ゆらめくスチールギターに包まれながら、「あー、大好きだ」と思ったりしながら。




ギター2人のユニゾンから始まる“HIGH WAY”は、小山田壮平と、濱野夏椰、藤原寛による掛け合いが印象的。
流動する社会に身を任せるように、フラットな声で歌う。


一変して始まったロックナンバー“Kapachino”は、やや音源よりテンポ早く歌われる。
ドラムが乱れ打たれる2番Aメロでは、ステージがフラッシュし、影に浮かぶ4人が浮かび上がる。



雨の渋谷を散歩してきた観客に届いた“雨の散歩道”は、濱野夏椰のギターソロが光る。
同じく『THE TRAVELING LIFE』より歌われた“OH MY GOD”では、印象的なギターのリフに高らかな歌声が乗せられる。



続いて会場の照明が落ち着き、弾けるドラムとうねるベースが祭囃子を奏でる。
濱野夏椰は、白のテレキャスターに持ち替え、クールなバッキングを魅せる。
色鮮やかな旅の途中、辿り着いたのは“月光荘”。

相変わらずめちゃめちゃ良い。
未だ音源になっておらず、公式には小山田壮平の弾き語りのみでしか聴けない曲ではあるが、バンドがもう最高。
後半へゆくに連れて楽器の密度があがり、アウトロでは小山田壮平がメロディーを奏でて余すことなく音たちがはしゃげば、夜の闇に戻るように消える。

早く音源化してくれ。




一変して、落ち着いたバンドサウンドで会場を包んだのは“それは風のように”。

小山田壮平の非凡な叙情詩とメロディーセンスが光るこの曲も未音源化。
2017年以来、昨年の弾き語りツアーで5年振りの披露となっていたが、恐らくバンドサウンドとしては今回のツアーが初。
次のアルバムでの音源化が期待されるこの曲では、「あの頃は夢のように」という歌詞が「思い出は夢のように」と、変わっていた。(もしくは歌詞を間違えたか。)



たしかこのタイミングでMCがあり、今回のツアーの話に。


「今年もこうして全国をまわってきました(壮平)」

「このツアーも残すところ2箇所です(壮平)」

「全国では色んな美味しいものを食べたね(ヒロシ)」

「札幌ではジンギスカン、仙台では、えーっと、、あ、牛タン(ヒロシ)」

「あとは、、、あ!博多ラーメン、福岡でね(ヒロシ)」

「あとは、、、飛んで金沢では美味しいお魚を食べたね(壮平)」

「あ、ヒロシはアニサキスアレルギーだから刺身を食べれないんだよね。それで昔大変なことになって(壮平)」

「そうそう。昔に大変なことになったね。カンパチは無理なんだけどブリは食べれて、養殖の魚なら食べれるんだよね(ヒロシ)」

「だから、失礼なんだけど、“養殖の魚はありませんか”って聞いたら、食べられるブリを出してくれて。でもブリだけどカンパチみたいな、、で(ヒロシ)」

「似てるもんね、ブリとカンパチ(壮平)」

「だからヒロシは海に近くなるとかわいそうなんだよね(壮平)」

原文ママじゃないです

このMCを聞きながら、

残すところあと2箇所?あと1箇所じゃね?あ、今回も含めて?

てか、去年のバンドツアーと全く同じMCしてるじゃねぇか!

とツッコミそうになる。



「あ、そうだ。金沢を歩いていたら“ガスエビ”っていうものがあって(ヒロシ)」

「“ガスエビ”ってなんだろう。なんだと思う?あ、でも壮平に聞いても分からないか(ヒロシ)」

「ん、なになに??なんでも聞きなさいよ!(壮平)」

「“ガスエビ”ってなんですか?(ヒロシ)」

「知りませんっ!(壮平)」

原文ママじゃないです

去年の再放送のようなやり取りから一変して、“ガスエビ”のおかげで流れが変わったかと思えば、コントのようなやり取りを見せる2人。



そんでガスエビってなによ!知りませんっ!




相変わらず不思議なMCを挟むと、軽快なドラムから始まった“恋はマーブルの海へ”は、背景の照明がカラフルだった。
間奏やアウトロでブルースハープを奏でる小山田壮平。


続く“ベロべロックンローラー”は、ライブとしては久しぶりに聴いた。
可愛げのある歌詞の合間に現れる濱野夏椰によるギターソロは、真っ赤な照明も相まって痺れまくる。


そして、ステージ床から上ってきた貝の養殖網のような謎の装飾と共に始まった“スランプは底なし”もギターがカッコイイ。
半ばヤケクソのように叫ぶ歌声を聴いて、最高だな、と思う。



昨年の弾き語りツアーでも聴けた“ダンス”を歌う姿は昔のままで、続いてアコギに持ち替えて歌った“ゆうちゃん”では、2番で

ゆうちゃんはいつも
遅刻ばっかりの私を
綺麗なノートを見せてくれるの
昨日の夜はだらだらと
毛布に潜りこんじゃった
だめだな でもゆうちゃんは気にしない

と複雑な間違え方をしていた。




再度エレキに持ち替えて始まったのは“兄弟”。
サビではコーラスとのユニゾンが響く。
『菅田将暉のオールナイトニッポン』でのセッションが印象的すぎて、この曲を聴くといつもそのときの小山田壮平のコーラスが聴こえてくるんだよな。




歯切れの良いベースから始まった“旅に出るならどこまでも”では声を枯らしながら歌う。


“グロリアス軽トラ”では「渋谷の空の下」と歌い、会場が弾ける。
今更だが、グロリアス軽トラのベースめちゃめちゃ楽しそうだよな。

そんで今更だが、ヒロシの白いベース初めてみた気がする。
前回のライブで使ってた水色のベースも初めて見た気がするし。
地味にヒロシと健二が出てるこの動画で使ってるのは、andymori時代からお馴染みのベース。なはず。


って思ったら、KEENのときは白いベース使ってた。



「ここまで駆けて来ましたが、もう少しで終わりです(壮平)」

「寂しいね、奈良くん!(壮平)」

「寂しいです。(奈良)」


「今年もこうやってツアーができて、、、皆さんの思いがあればきっと次もあります(壮平)」

原文ママじゃないです

地味にライブで初めて聞いた久富奈良の言葉が、「寂しいです。」になるとはなんだか不思議な感じ。





もうライブも終わってしまうことを感じながら始まったのは、、、


ちょまてまてまてまて、、、
ミスりました。

イントロを盛大にミスって1度仕切り直す小山田壮平。
あたたかいMCのあとのお茶目な小山田壮平に大爆笑の会場。



よし、といって再度始まったのは、、、、、



ぶふふふふふふ、、


2度目もミスり、思わず吹き出す小山田壮平。
ステージの4人も含め大爆笑。


「何年やってんだって話だよ(壮平)」

「さすがににやばいよ笑(夏椰)」

「ギターって難しいですね、(壮平)」

原文ママじゃないです

そういって、おもむろに天に両手をあげる小山田壮平。

「LINE CUBE SHIBUYAよ、、、パワーを、、、(壮平)」

「最初にやったときは渋谷公会堂だったね(壮平)」

「そうだね(ヒロシ)」

「渋谷公会堂よ、、、CCレモンホールの時もあり、、、シュワシュワしてた頃もあり、、、(壮平)」

「こんなことしたら余計プレッシャーで良くないんじゃ、、(壮平)」

原文ママじゃないです

改めて濱野夏椰がスチールギターに向き合うと、その間、お茶目小山田は左手で指の動きを練習していた。




観客も一際集中して、ついに始まったのは“Sunrise & Sunset”。
軽快なドラムに散歩しているようなベース、そして白昼夢のようなスチールギター。
三度目の正直でイントロを成功させた小山田壮平は跳ねながら歌う。

この曲、良すぎるよな。

明るい曲調に似合わないサビの暗い歌詞と、“君”へのささやかな愛。
曖昧なやるせなさを抱えたまま、日は登り、また沈む。
アウトロのギターもきっちり成功させ、大きな拍手が沸き起こる。



続いて、たしかアコギに持ち替えて歌ったのは“君に届かないメッセージ”。
昨年の弾き語りツアーで披露された最新曲。
マジで歌詞を覚えてられないためあやふやだが、

「不貞腐れても 腹は減る 綺麗な花を見つけに出かけよう」
「そうして船に乗る」

というフレーズが。

“人生”をひとつの“船”と見立てて、流動していく命の流れに乗っていく。
やはり、お子さんが生まれてからできた曲のようで、バンドバージョンがまた良かった。
上手く説明できないのだが、神秘的で、荘厳で、エンドロールのようで。



同じく最新曲の“時をかけるメロディー”は、昨年のバンドツアーから弾き語りで歌われている歌で、真っ暗なステージの中、1人スポットライトに照らされた小山田壮平が、美しいアコギの音色と歌声を響かせる。

光を連れていく
時代に殴られても
瞳に映るあの人がまた歌えるように

“時をかけるメロディー”



本編最後は“1984”。
イントロのメロディーをブルースハープで鳴らし、終わらぬ競走と争いの中でずっと変わらぬ原風景を歌う。

椅子取りゲームの連続で少し苦しくなっていた自分は、最近この曲をよく聴いていた。

間奏では、ライブアルバムで印象的なコーラスが響く。




そして、ラスサビでキーが3つ下がり、これまで裏声で歌っていたサビを表声で叫ぶように歌う。
アウトロでは赤い太陽が足掻き燃えるように音が騒ぎ、ふっ、と地平線に消えるようにして終わる。

圧巻だった。




魂が抜けたままいつの間にかステージは真っ暗で、アンコールの手拍子が鳴る。




大きな拍手とともに4人は再度現れる。


「ありがとうございます(壮平)」

「丁重なあいさつだね(ヒロシ)」

「やっぱりこのような会場では背筋がスっとします(壮平)」

「ひげ、いいね(壮平)」

「ツアー始まった時はそうでも無かったんだけど、全国を回るうちにこうなりました(ヒロシ)」

「これは‘ひげ’なのかな、‘無精ひげ’なのかな(ヒロシ)」

「ん?なになに?(壮平)」

「これって‘ひげ’?それとも‘無精ひげ’?(ヒロシ)」

「ん〜、、、‘ひげ’です!(壮平)」

原文ママじゃないです




相変わらず不思議なコントのようなMCからヌルッと始まったアンコール1曲目は‘16’。

涙が止まらなかった。

無常な世界の中で、自分だけが動けず、藻掻けず、足掻けずに、どこか諦めたまま明日を待つしかなくて。
変わろうと思わなければ自分が変わることなんてないのに、そんなことわかっているのに、明日の自分はなにか変わっていることを願うしかなくて。
そうして空を眺めながら、自分は必死に生きているフリをしながら眠ることしか出来ない。
朝目覚めれば、また何も変わっていないことに悲しくなって苦しんでいるフリをしながら、マイペースに16のリズムで進むことしか出来ない自分を、周りの景色を追いかけられない自分を許すことしか出来ない。

なんかもう、、、大切な曲すぎて。
ずっと歌っていてほしい。



ラストは“アルティッチョの夜”。
もう、覚えてません。





もうスペシャルハッピーの神セトリで、実に26曲を駆け抜けた小山田壮平は「ありがとうございました」と感謝を述べ、去り際にもう一度小さく手を振ってお茶目にに去っていった。






余韻に浸りながら家に帰れば、さらにずっと余韻に浸りTwitterを眺めていたら、マジで意味分かんないツイートが流れてきた。


カツヲが密かに色んな人に激推ししていた大好きなYouTuber『雷獣』のメンバーで、兼ねてより小山田壮平が好きなことを明らかにしていた‘かべ’のツイート。


ふざけんな!!!
羨ましすぎる!!!
ふざけんな!!!
意味分かんないヨ!!!

どうやら今回のライブに来ていたらしく、そもそも‘かべ’にあいたかったのはあるが、小山田壮平に会ってるじゃないか!!!

しかもめちゃめちゃ素敵なツーショット!!!

羨ましすぎる!!!


ライブの余韻で十分だったのに、「遭遇した!」ツイートへの羨ましさの余韻で全く眠れなくなってしまったカツヲは、やらなければならないことを思い出して、そのままオールして、バッキバキの目のまま大学へ向かったのだった。




そんなこんなで最高の一日を終えたのだが、早く新しいアルバム出してください。
先日のKEENのインタビューで、「今年中には出せるだろう」と言っていたのでもうワクワクだけども待ちきれないよ。




『THE TRAVELING LIFE』以降、音源化、またはライブで披露された曲である、

“恋はマーブルの海へ”
“月光荘”
“スライディングギター”
“アルティッチョの夜”
“時をかけるメロディー”
“君に届かないメッセージ”

は収録されるとして、昔からある未音源化の曲で、近頃ライブで再編、よくセトリに組み込まれる曲である

“彼女のジャズマスター”
“それは風のように”

も収録されるとしたら既に8曲。

これまで、andymori時代から明確にコンセプトアルバムを作ってきたことを考えると、いわゆる‘まとめアルバム’的な立ち位置になってしまう可能性があることに少し寂しさを感じるが、とにかく楽しみに待っていようと思う。
もちろん、音源化した“スライディングギター”などはアルバムに収録されない可能性があるが、小山田壮平はCDにこだわりを持っていると思うから、CD化してくれることを期待したい。


なんだかんだいって今回も7000字オーバーになってしまいましたが、これから数ヶ月は、教育実習やら、院試やら、研究やら、で当分ライブに行けないので、その名残惜しさの分でございます。


また次会える日まで!






 [セットリスト]
1. 夕暮れのハイ
2. 彼女のジャズマスター
3. Life is Party
4. サイン
5. 光
6. スライディングギター
7. HIGH WAY
8. Kapachino
9. 雨の散歩道
10. OH MY GOD
11. 月光荘
12. それは風のように
13. 恋はマーブルの海へ
14. ベロべロックンローラー
15. スランプは底なし
16. ダンス
17. ゆうちゃん
18. 兄弟
19. 旅に出るならどこまでも
20. グロリアス軽トラ
21. Sunrise & Sunset
22. 君に届かないメッセージ
23. 時をかけるメロディー (弾き語り)
24. 1984

~アンコール~
25. 16
26. アルティッチョの夜

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