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2021年 柴又100K完走の感想(後半)

↑のつづきです

・50~60km

最初の2kmほど、
エナジードリンクの缶を持ってるだけでイライラした。
片手の自由が奪われてるからである。
その他、些細なことでイライラしはじめる。

・給水所のカップに入っている水・スポーツドリンクの量が少ないこと
・カップにフタが付いているので、空けないと量すら確認できないこと
・休めそうなベンチがないこと

また、今年はこの区間が最もつらい状態だった。
吐き気と貧血に襲われ、とにかく気持ち悪かった。
原因は、中間地点で無理やり食べたコッペパンだと推測する。

身体は無理やり食べたコッペパンを消化するため、胃を動かそうとする。
でもそうすると、運動機能の一部を胃に回さないといけない。
満身創痍の状態でそんなことすぐできないので、
消化せず戻そうとしてるのだと思う。

大会中に河川敷で吐き散らすなんて嫌なので、
コッペパンが消化されるのを待つしかない。
待つしかないが、気持ち悪い。
最悪な光景を想像する。突然の嘔吐、倒れる自分の姿……。
リタイアも考えた。
でも、リタイアしてもすぐ楽になれる訳ではない。
収容バスがくるまで呆然と待ってないといけない。
それはそれで嫌。
身体が回復することを信じ、前に進む。

・60~75km

コッペパンの消化が終わったのか、
ようやく気持ちが楽になってくる。
もっと言えば、普段のランニングとほぼ変わらない気持ちとなった。
純粋にランニングを楽しむ気持ちである。
それは良い兆しだったが、脚の調子は絶望的。
何の脈略もなく、いきなり右足のふくらはぎが攣る(こむら返りと言う)。
危うく転びそうになるが、ここで転んだら激痛に襲われるだけでなく、前に進めない。
歩きながら、攣りを治す(移動しながら身体を修正する術は、長年の経験のチカラと言ったところか)。
その後も、ふくらはぎが攣る恐怖におびえながら、走ったり、歩いたりを繰り返す(途中何度か攣りかけるが、その都度修正)。
こうなると、ランニングフォームもへったくれもない。
足の着地位置を変えたり、背筋を伸ばしてみたり、顔を下げたり上げたり。
まだ生きてる身体の部位を探しながら、速く移動できる走法を探す。
歩いてばかりだと、制限時間内にゴールできるか不安になる。

・75~90km

2回目の折り返し。残り25km。
あとはスタート地点に戻るだけ。
ここでゴールを確信した気になるが、
いつもよりひどいタラタラペースなので、1キロ1キロが長く感じる。

歩いていると、後続の走るランナーにどんどん抜かされる。
抜かされる度に、やる気が失われていく。
やる気の消失は、身体にも悪影響を及ぼす。脚の痛みが増したり、攣りやすくなったりなど。
だからといって抜かすチカラはないし、仮に抜いたとしても、すぐ抜かされるようなら抜かさないほうがいい。
マイペースを貫くだけ。

風が強くなってきたが、タタハムにとっては心地よかった。

歩いてる比率のほうが多いので、汗はとっくにひいている。

・90~95km

残り10km。ゴールに現実味がでる。
元気が湧いてきて、積極的に走る気になる。
“気”になってるだけで、相変わらず脚は言う事を聞いてくれない。
それでも立ち止まることはなかった。
最後まで自分の脚を信じる。

・95~97km

残り5km。皇居1周分。
江戸川河川敷は日が落ちて真っ暗。
夜間用にナイターライトは用意されていたが、数は少ない。
数年前は明るいうちにゴールできた年もあったのに。とほほ……(開催月にもよるか?)。
時計を見る。このペースだと12時間切れるか切れないくらいか。
12時間超えると、確実に歴代ワースト2位確定なので、それは避けたいと心の奥底で思う。

・97km

残り3km。ゴールを確信。
ここまで頑張った自分に、がらにもなく涙腺が緩む。
ゴールするまで泣くんじゃない。

・98km

残り2km。
ラストスパート。
最後の給水所はスルー。やっと汗が出てくる。
何度か足が攣りかけて歩いてしまうが、もはや知ったことではない。
治してすぐ走る。
ゴールに突撃ぃ!!

・100km

最後はしっかり全力ダッシュ。
フィニッシュ手前で両足が攣り、へなちょこフォームでゴール。
MCが「笑顔でフィニッシュ!!」とか言うから、仕方なく笑顔でフィニッシュ。

やっと終わった。まずは安心感、そしてやってくる達成感。
カメラマンがいっぱいいて、なんか有名人になった気分。
イスに座る。また右足のふくらはぎが攣る。痛いはずだが、痛覚は麻痺している。「ウルトラ」とか「100km」という単語、聞きたくない。

帰りは家族に車で迎えにきてもらった。
待ち合い場所まで歩くのだが、この時になると緊張が解かれてるので、歩くだけでも痛くて一苦労。

こうして、8回目の『柴又100K』が終わった。
タイムは11時間47分くらい。
8回の『柴又100K』の中で、ワースト3位。

・追伸

・まだいた(笑)
今年の大会のコースは往復×2回なので、4回同じ場所を通る。
流山橋付近に、その4回全て、お相撲さんとピンクのケモノちゃんがいた(いたよね?)。つまり、何時間も同じ場所で応援してくれてたということだ。

マラソン大会の応援って、実はランナーより大変だと思ってる。
友人の応援とかだと来るのを待ってないといけないし、来てもすぐ通り過ぎちゃうし。声援を送ってもタタハムみたいに「スー」しか言わないランナーもいる。
そんな応援を、ウルトラマラソンという超長時間おこなわれる大会でしてくれるなんて……。
外見で表現せず大変申し訳ないが、内心すごく喜んでいる。

・完走者たち
完走後、フィニッシュゲートの近くを歩く。
次々とフィニッシュゲートをくぐっていくランナーたち。
「すげーな」と思う。
何が彼ら彼女らをそうさせるんだろうと、
見ててとても感動した。

完走したタタハム自身にも同じことが言えるかもしれないが、
大会終われば他人事にしか見えない不思議。

・過去の栄光糞くらえ
今年の『柴又100K』を通じてよく頭をよぎったワード。
2年半ぶりの『柴又100K』に向けた、自分へのメッセージだと思っている。

むかし100km走れたことなんてどうでもいい。
重要なのは、今である。

昔は走れた。今も走れる。
生涯現役たれ。

おわり

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