音楽
tatacuuc
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2000年。初めての曲を作った。2005年一人での初舞台を踏んだ。2008年。何かをしに田舎を離れた。音楽がなくなった。
2012年。音楽を自分の手に戻した。
人が怖かったあの頃、マンションの10階、飛び降りないようにと母が窓に作ったバリケード。
調律の狂ったピアノとドラムスティック、ギター、シンセサイザー、PC。
外には向かわない蠢くひたすら心の内側を手でかき回し、すくったその掌に残ったものを音に変え、
誰もいない日常の中その作業を繰り返した。
音楽が必要なくなった2008年から今、仕事をしている。友達がいる。恋人がいる。何気ない世間話に波風立たぬ返答ができる。
人が怖いものの、病院通いなものの、外に出られる。買い物ができる。他人と会話ができる。
音楽が無くなった。自分から捨てた。今必死に取り戻そうとしているが、もう後姿さえ見せてくれない。
宮沢賢治の告別は何回も読んだ。ブルーハーブの2ndを何回も聴いた。
俺はなくした。この通りに無くした。
何度も警戒しながら真剣に考えなかった結果、音楽への情熱をなくした。
他人と話せることと引き換えに音楽を放棄した。
才能やセンスなんてものは知らない。そんなものはどうでもいい。
他人との円滑なコミュニケーションのために、没頭することを忘れた。音を楽しむことを、
明日を気にせずに今音に自分を捧げることを忘れた。
そして作り終えた後、不満を残したまま、良いのか悪いのか自分でも判断ができないようなものを完成と言って、
満足だけを得ようとしている。
完成の達成感や感触が忘れられず、それだけを目当てに、2013年。音楽を作っている。
情熱のスタミナはどこかへ行った。
音楽が無くてもそこそこ楽しい日々が過ごせることを覚えて、そこに腰かけた。
生ぬるい見た目の音楽を否定しながら、自己満足に満たない音楽を作品なんて呼んでしまう。
しかし
一般を目にし、限りなくそこに近づいたが、結局それは満足に至らなかった。
結局は狭くも広くもなく、明るくも暗くもない音の羅列だけがある部屋を望んでいる。
地上10階。自分に巻きつけたロープの先の杭だった音楽は、未だに姿を変えていなかった。
精神を正常に保つためのものだ。この世に肉体を繋ぎ止めておくためのものだ。
色々な人に頂いた日常の幸せは、結局自分には だった。
止まっていたレコードに針を戻す。
音楽が鳴る。
2012年。音楽を自分の手に戻した。
人が怖かったあの頃、マンションの10階、飛び降りないようにと母が窓に作ったバリケード。
調律の狂ったピアノとドラムスティック、ギター、シンセサイザー、PC。
外には向かわない蠢くひたすら心の内側を手でかき回し、すくったその掌に残ったものを音に変え、
誰もいない日常の中その作業を繰り返した。
音楽が必要なくなった2008年から今、仕事をしている。友達がいる。恋人がいる。何気ない世間話に波風立たぬ返答ができる。
人が怖いものの、病院通いなものの、外に出られる。買い物ができる。他人と会話ができる。
音楽が無くなった。自分から捨てた。今必死に取り戻そうとしているが、もう後姿さえ見せてくれない。
宮沢賢治の告別は何回も読んだ。ブルーハーブの2ndを何回も聴いた。
俺はなくした。この通りに無くした。
何度も警戒しながら真剣に考えなかった結果、音楽への情熱をなくした。
他人と話せることと引き換えに音楽を放棄した。
才能やセンスなんてものは知らない。そんなものはどうでもいい。
他人との円滑なコミュニケーションのために、没頭することを忘れた。音を楽しむことを、
明日を気にせずに今音に自分を捧げることを忘れた。
そして作り終えた後、不満を残したまま、良いのか悪いのか自分でも判断ができないようなものを完成と言って、
満足だけを得ようとしている。
完成の達成感や感触が忘れられず、それだけを目当てに、2013年。音楽を作っている。
情熱のスタミナはどこかへ行った。
音楽が無くてもそこそこ楽しい日々が過ごせることを覚えて、そこに腰かけた。
生ぬるい見た目の音楽を否定しながら、自己満足に満たない音楽を作品なんて呼んでしまう。
しかし
一般を目にし、限りなくそこに近づいたが、結局それは満足に至らなかった。
結局は狭くも広くもなく、明るくも暗くもない音の羅列だけがある部屋を望んでいる。
地上10階。自分に巻きつけたロープの先の杭だった音楽は、未だに姿を変えていなかった。
精神を正常に保つためのものだ。この世に肉体を繋ぎ止めておくためのものだ。
色々な人に頂いた日常の幸せは、結局自分には だった。
止まっていたレコードに針を戻す。
音楽が鳴る。
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