30人の壁:全体


30人の壁という言葉は、スタートアップで働いていると耳にする機会は多いと思います。
それが何なのか、どういう風に解決するのがスタンダードか、という記事は世の中にたくさんあり、多くは経営者目線で企業理念の浸透であったり、人材確保であったりという視点からまとめられています。

それらも至極まとを射た内容なのですが、ここでは、バックオフィス目線で、もう少し具体的なところで書いてみようと思います。


なぜ、30人が壁になるのか

30人という人数に達するときに会社が揺らぐ原因の一つは「力技が効かなくなること」だと私は思っています。

30人くらいまでなら全員の顔が分かるし、どういう性格かも概ね分かるし、バックオフィスが初期メンバーならみんなの入社の経緯も知っているし、というので、まずコミュニケーションの問題はほぼ生じません。

誰にしつこくリマインドすべきか、誰は放っておいても大丈夫かも手に取るように分かるので無駄な動きをしなくて済みます。

また、所詮30人の動きですので、資料が散逸しようが、謎のフローが進行していようが、適当なところで収拾をつけることが可能です。
多少の残業に目をつむれば。

これが効かなくなるのが30人を超えたあたりではないかな、と私は思っています。

何を備えればいいのか

では、来るべきその時のためにバックオフィスは何ができるか、というところですが、まず、全体として「効率化、システム化、規模拡大に向けて動く準備ができている」ことが大事ではないかと思います。
具体的には例えば下記のような状態です。

  • 定例業務について事務的に進められるようになっている

  • よくあるイレギュラー業務について基本的には事務的に進められるようになっている

  • バックオフィスに必要な人員の数、スキルの計画が立てられる状態になっている

  • 実務において、自社サービスに特異な点が把握できている

  • 特異な点の管理方法が見えている

つまり、自分がやっている業務は何なのかが把握できている状況ということです。
担当者の中には、それは分かってる!と思う方もいらっしゃるかと思いますが、例えば自分だけが分かっていて、どこにも明文化されておらず、誰かに説明するには自分が時間を取って話す必要がある、という状態なら不十分です。

なぜなら、「動く準備ができている」とは言い難い状態であるためです。
せっかく分かっていても、いざ動くときに担当者の時間をがっつり使う必要があるのであれば、おそらく動けないか、少なくとも動きは遅くなるでしょう。

そうなると、壁の向こうで混乱が起こった場合にどうにも対処できなくなります。

具体的には?

では具体的にどういう状態にあればよいのか、ですが、上記に記載した内、次のワードが肝になります。
「事務的に進められるようになっている」
「特異な点」

■ 事務的に進められるようになっている

簡易的でもいいのでマニュアルや進捗表が整備されていれば、担当者自身が事務的に進められるだけではなく、いざとなれば担当者以外の方が業務を遂行できます。
これができていれば、壁の狭間で混乱が生じても、担当者はその対処に必要な時間を確保でき、かつ、レギュラー業務の滞りも防げます。

■ 特異な点

どんな会社でもその会社に特有の事項というものは存在します。
それが業種によるものなのか、CEOの趣味によるものなのかは様々ですが、とにかく、その会社がその会社であるべきために譲れないもの、というものがあります。

様々な理由でそれらすべてが、理想のままに運用できるとは限りませんが、可能な限り大事にしたいものでもあります。
その一方で、それらはおそらく混乱の主原因の一つとなりえるものでもあります。

ですので、予測を立てる意味で、特異なものを把握しておく必要があると思うのです。

30人の壁:記事一覧

各実務の個別具体の話は上記にまとめています。




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