30人の壁:労務周りの整理


労務周りは従業員と密接に関わるため、オンボード整理と併せて、人数が増える前に整えておきたい業務です。
ここでは一例として、おおまかな目標とそのために必要な整理についてまとめてみます。


30人体制に至るまでに到達しておきたいこと

  1. オンボード・オフボード手続きが事務的に遂行できる状態

  2. 勤怠関係のフローが形になっている状態

  3. 就業規則・労使協定が実態に合っている状態

  4. 給与計算のマニュアルが作成されていて内製化ができる状態

必要な整理

オンボード・オフボード手続きが事務的に遂行できる状態

こちらの記事でまとめているような資料ができていて、ブラッシュアップは必要なものの一通りは資料に則って手続きができている状態であれば、到達しているといえると思います。

  • 必要なオンボード・オフボード及び異動の種類の洗い出し
    入退社だけではなく、エンジニア等の業務委託が多い場合は労務とは少しずれますが、業務委託のオン・オフボードも整えておくとスムーズです。
    また、給与変更や部署異動など、想定される異動分も作っておくと全体の流れが把握しやすく、各種類でのステップ抜け漏れも防げる可能性が高くなります。

  • 各種類で必要となる事務的ステップの洗い出し
    バックオフィス×新入社員×担当部署の社員でやり取りをする必要がありますので、なるべく出戻りや問い合わせを防げるよう、ステップ及び順番を精査します。
    最初はそれほど神経質にならなくてもよいので、数人実際に回してみながらブラッシュアップして完成にもっていくのが現実的です。

  • 新入社員に自ら行ってもらうステップの洗い出し
    PC設定やシステムアカウント設定などの事務的なステップに加え、新入社員教育も絡めて洗い出しておくと、バックオフィス及び既存社員側の負担を減らせ、また教育レベルを統一できるのでお勧めです。

勤怠関係のフローが形になっている状態

日々の勤怠、休みの際の手続き等について、フローが明文化され、問い合わせ先が明確になっている状態を目指します。
すべての勤怠関係手続きについてシステム化が完了していなくも問題ないですが、システム化に向けて動けるレベルの整理は完了させておくとよいと思います。

  • 必要な勤怠関連申請の洗い出し
    実際に過去問い合わせがあったもの、就業規則等に記載があるものを参照し、整理が必要な申請を洗い出します。

  • フロー作成
    必要なフローを作成し、周知・運用します。
    当面はブラッシュアップを行い、スムーズに運用できるレベルにもっていきます。

  • フローや問い合わせ先のマニュアル作成・公開
    マニュアルを作成し、公開します。
    ブラッシュアップした場合は忘れずに社内周知をしてください。
    ブラッシュアップがあまりに頻繁だと従業員は混乱してしまうので、ブラッシュアップは一定期間ごとにまとめて行うようにし、その間の期間はバックオフィス側で調整するのが現実的です。

就業規則・労使協定が実態に合っている状態

従業員が10人を超えた時点で就業規則等を作成していると思いますが、そのときと労務実務の状況が変わっている可能性もありますので、今実際に運用しているルールに合うように改定をし、労務関係の事務処理時に規程を参照できる状態を目指します。

  • 就業規則等と実際の運用との乖離点の洗い出し
    規則等に記載はないが会社の判断で付与している夏季休暇がある、等、明文化されていない運用を中心に洗い出します。

  • 改定する場合に論点となる事項の洗い出し
    就業規則等に乖離点を反映させる際、単純に削除、修正や追加をするだけだと矛盾が生じる場合等がありますので、社労士等に相談し、関連する項目も一緒に修正等していく必要があるので注意が必要です。

  • 改定

給与計算のマニュアルが作成されていて内製化ができる状態

内製化できている方が後々よいと思いますが、少なくとも担当を雇用できれば内製化できるレベルでマニュアル化されている状態を目指します。

  • レギュラー業務のマニュアル作成
    毎月もしくは毎年必ず発生する業務についてのマニュアルを作成します。急に担当が変更になったり、担当が休んだりした場合に、初めて見る人でも最低限の業務を遂行できるレベルでの作成が必要です。

  • イレギュラー業務のマニュアル作成
    各社で発生しがちなイレギュラー業務があれば、そのマニュアルを作成します。
    イレギュラーですので、法改正等により以前の処理と状況が異なる場合が考えられますので、その点も留意するよう明記したものを作成しておくと安心です。

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