人事評価の穴_私生活を持ち込む人



どういう人?

ここでは下記のような人物像の方を想定しています。

  • 子供が小さい、親の介護がある、持病があるのだから、仕事の締め切りに遅れたり、仕事の質が落ちるのは仕方がないと考えている。

  • リマインドしたり、抜け漏れを指摘した際に、上記のような事情を言い訳にし、改善しない。

仕事をする人なら?

  • 自身の仕事を完遂するため働き方の調整を相談する

  • 急に対応できなくなる場合に備え、事前に協力を要請する等、調整をはかる

プライベートの事情は多くの人が抱えているものと思います。
その事情により、お休みを余儀なくされたりすることはあると思いますし、それ自体は誰にも起こることですので問題ないと思います。
ですが、それが仕事をしなくてよい理由にはなり得ませんので、状況に応じて仕事を遂行するための具体的な措置を講じる行動をするのが妥当かと思います。

対応方法は?

分析

実際に私生活が多忙ではある場合が多いです。
ただ、私生活が多忙な人がすべて、それを仕事に持ち込むわけではありません。
持ち込まない理由も人それぞれと思いますが、基本的に私生活は個人のものですので、職場に持ち込まれて解決できる部分は少ないため、わざわざ持ち込まない、というのは一つの姿勢だと思います。

それをあえて持ち込む人というのは、もともと「私は大変」アピールが好きな方か、もしくは実際問題テンパっていて自分では調整解決できない状態になっているか、等が考えられると思います。
前者はともかく、後者の場合は、キャパオーバーしている状態といえるため、自ら「仕事をする」ための解決をはかることは期待できにくい状況と思われます。

対応方法

例えば下記のようにアプローチします。

単に「私は大変」アピールが好きな方であっても、事実テンパってる方であっても、一次応対の方法は同じでよいと思います。

私生活の多忙さについての陳述に対しては、人として常識的に対応するに留め、業務上の話としては、原則として感情的な深入りは避けます。

例えば、その方と個人的にも親しくしているようでしたら、休憩時間に聞いてあげるとか、もしくはその事情がその人の精神にも影響を来しているレベルであれば適切な相談先を紹介する、等、状況や関係性に応じて対応するのは問題ありませんが、「業務上の話」とは明確に、相手にも伝わるレベルで分かりやすく、切り離して対応することが大事です。

感情の部分を区別した上で、業務上は「業務の調整」一点張りで交渉するのがおすすめです。
働き方に柔軟に対応できるのであれば、フレックス制や固定残業代を上手に活用して、双方無理のない提案が可能ですし、制度的な調整が難しいようでしたら、多少の交渉は必要になるかもしれませんが、残業や深夜業務と給与とのバランスを調整する方向にも道はあると思います。

ここで大切なのは、業務量・業務レベルと給与額とのバランスが不公平にならないよう常に念頭に置いておくことです。
つまり、例えば、私生活の事情で「必要な業務時間が取れない」場合に給与額を据え置く選択肢は外す必要があります。
この場合は、短い時間でできる業務レベルの高い仕事をしてもらうか、もしくは給与額を下方修正するかの2択になるかと思います。

最後に、「私は大変」アピールが好きな方の場合は上記対応で合意した後も同じことを繰り返す可能性がありますので、その方の性質や業務上の影響度を鑑みて、アピールについては休憩の時しか聞かない、忙しい場合は今は聞けないと伝える、等の対応が必要かもしれません。

穴は?

陥りがちなのは「業務と給与バランスをうっかり崩してしまうこと」かなと思います。

ときどき、業務内容に応じた給与調整を進めようとすると「生活が大変でお金がいる」というような交渉をされる場合があります。
気持ち的には「確かに、分かる」という思いになり、つい、いったん据え置きましょうか、みたいな謎対応をしてしまうことがあります。

しかし、雇用は「業務に対する対価の契約」であり、上記交渉は根本的に考慮外ですので、混同しないよう注意が必要です。
また上記交渉を呑むということは「生活が大変だったら一定レベル以下の業務でも満額給与を支払う方針である」ということと同義になってしまうので要注意でもあります。

人事評価の穴一覧


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