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西武鉄道の歴史!その歴史から我々が学べるものとは?

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#甲武鉄道 #川越鉄道  
#西武新宿線 #西武池袋線

母の友人に、駅前で美容室を営んでいたOさんという女性がいた。この人の旦那は西武鉄道で生え抜きの鉄道マン。母とOさんとは仲が良く、たまにこの旦那を連れ、我が家にも遊びに来ていた。そこで私もこの旦那からいろいろな話しを聞いたものだ。

驚いたのは西武池袋線と西武新宿線、この2つはもともと別会社だったということ。そうして、合併してから相当な日数がたっているにもかかわらず、いまだに従業員同士は仲が悪いというのだ。そんなことがあるのか?少し不思議とも思われたが、歴史を調べてみると、合併前にそうとう揉めたようだったから、これは嘘じゃないことがわかった。

*鉄道会社の合併!
西武新宿線と国分寺線が、旧西武鉄道であるのにたいし、西武池袋線は武蔵野鉄道だった。この2つの路線は所沢駅で交わっている。ここから問題が発生したようだ。駅舎の駅員が、旧西武側の人間だったことで起こった。それは所沢駅での乗車券の発売に原因がある。

旧西武の駅員が、武蔵野線の駅も管理したためだ。所沢駅では毎日所沢から都心にいく数千の旅客にたいし、切符係はだいたい高田馬場経由の切符を売る。運賃は同額だったため、客としては武蔵野線に乗ってしまう人も多くいたようだ。これに武蔵野鉄道は怒りシントウ、腹の虫が収まらない。

この両者、競争意識をかなり持っていたようだ。駅員同士の暴力事件もたびたび起きていたという。前述のOさんの旦那の言葉では「いまだに一緒に飲み会をする事は無い」とまで話していた。昭和9年(1934年)武蔵野鉄道の社長となった堤康次郎。堤もこの問題には、頭を痛めていたようだ。そこで考えたのが、旧西武鉄道を手に入れること。昭和17年(1942年)に旧西武の株を買いあつめ、自分の側近たちを経営陣として送り込んだ。

そして戦後すぐ(1945年) 9月22日に両鉄道が合併した。これは武蔵野鉄道が、旧西武を吸収したということだ。しかし堤は「旧西武の従業員に劣等感を与えてはいけない」との考えから、逆に西武鉄道の名称を使ったという。これにより、旧西武の社章もそのまま残された。

*旧西武鉄道とは?
明治20年代は、鉄道ブームとなった。日本初の私鉄である日本鉄道は、上野と高崎間に蒸気機関車を走らせ、大きな利益をあげたのが発端となる。日本中に、鉄道敷設の機運が盛りあがった。明治22年には東海道本線が全通。同じ年に甲武鉄道(中央線)ができ、新宿ー八王子間の往来が盛んとなった。

この明治22年、城下町川越への鉄道も計画される。発起人は、所沢狭山の地元有力者と、甲武鉄道に出資していた人たちだった。その狙いは、甲武鉄道の延伸にある。川越から所沢までの農産物や生産物を都心に送るという需要が見込まれ、大幅な利益アップにつながるということだ。

この路線、当初は川越鉄道という名称だった。これが旧西武鉄道の母体である。経営は、甲武鉄道に委託されていた。しかし明治39年、甲武鉄道が国有化されることになる。そのため、川越鉄道は自ら経営することとなった。しかし、それも14年間のみで終わる。電力会社がいちじ合併したのだが結局は分離され、旧西武鉄道となった。

*堤安二郎という人物?
前述のOさんの旦那「堤康次郎には、子供が多くいて、大型バス二台の乗客数にも匹敵する!」と言っていた。それが本当なのかはさておき、「ピストル堤」の異名もある人物。軽井沢と箱根の不動産開発をかわきりに、西武グループの礎を築いた実業家である。しかも滋賀県選出の代議士となり、衆議院議長まで上りつめた。

大正12年(1923年)の関東大震災。これにより都市に住む多くの人々が郊外へ移り住むようになる。ここに堤は目をつけた。開発するには、まず鉄道を手に入れること。そうして手に入れたものが、武蔵野鉄道と旧西武鉄道である。堤には人並み以上の商才があったといってよい。ただその手法にはかなりの強引さもあり、いまだに悪口を言われている。

まとめ
狭山市の偉人のなかに、清水宗徳という人物がいる。この清水は地元の実業家の一人として、川越鉄道の敷設をすすめた人物。家は代々の名主と広瀬神社の神官を務めている。その長男だった。清水がこの地の発展に目をつけたのが養蚕。当時の狭山にはこれという産業がなく、人々はきわめて貧しかったという。

清水は各地の養蚕施設に出向き、学んだとされる。そして狭山にも機械紡績工場をつくった。この生産物を都心にとどける目的で、鉄道の敷設にも力を注いだという。狭山市駅をみて気づくのは、駅自体が曲がっていることだ。これは無理にこの地に駅をつくった結果でもある。川越から所沢を結ぶには、狭山を通らないほうが近い。この駅の曲がりにこそ、清水宗徳の努力が見えるのだ。

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