経産省トイレ利用制限訴訟

とてもインパクトがあったようですね。
少数派(マイノリティ)の権利救済という、裁判所が本来なすべき役割を全うしたと思います。
明日から始まる司法試験にはさすがに出題されませんが、重要判例です。

今回の最高裁の判断を受けて、色んなリスクを思い巡らす方もいらっしゃるようですが、そんなことにはなりません。「判例の射程」というものがあるからです。盗撮目的などで女装した男性が女性トイレに入ったら、建造物侵入罪(刑法130条前段)になることはこれからも変わりません。

色んなリスクを思い巡らす場面は、むしろ政府が検討している内容の是非を問うときです。これまでも国会による立法ではなく、恣意的な「運用や法解釈の変更」により目的を達成してきました。

たとえば、マイナンバーカード問題は運用の変更、検察官の勤務延長・定年延長問題は法解釈の変更です。どちらも恣意的だと考えます。

今回の判断は裁判官全員一致の意見でしたが、5人全員が補足意見(自分の意見)を述べています。私たち一人ひとりが考えていくヒントになっています。銭湯の事案などにも当てはまる内容となっているかどうかは、判決書をお読みになればお分かりになると思われます。直接ご覧ください。

◆初めて判決書(判決文)をお読みになる方へ

主文(1頁前半)

理由(1頁後半〜5頁前半)

補足意見(5頁後半〜13頁)

の流れで書かれています。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/191/092191_hanrei.pdf

なお、今回の事案は「性的自認」でした。「性的指向」については、東京都(府中)青年の家事件が有名です。読みやすいWikipediaを引用します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?