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(8)現在の公的年金制度になるまで その2

 平成27年(2015年)10月1日に厚生年金保険と共済年金が統合されたことに伴って、共済組合に加入していた公務員の方などは、公的年金制度は厚生年金保険に加入することになりましたが、公的医療保険制度の方は共済組合のまま資格は継続しています。

 また、厚生年金保険と共済年金が統合する前の話になりますが、共済組合のうち私立学校教職員共済組合は、平成10年(1998年)1月で廃止され、新たに日本私立学校振興・共済事業団が組織され、私立学校法に定める学校法人(私立の各種学校や幼稚園など)に雇用されている方々が加入する年金制度と改編されています。

 さて、例えば役所などで働いていれば、共済組合に加入できるかといえば、以前はそうではありませんでした。各共済組合法で適用範囲が定められていましたので、その加入要件に当てはまらないような非正規(パートやアルバイトなどの短時間勤務や臨時職員などの形態)で働いている方々は共済組合には加入できないこともありました。

 たとえ役所で勤務していたとしても、それぞれの雇い入れ条件(労働条件)によって、「国民健康保険+国民年金」または「健康保険+厚生年金保険」のいずれかに加入することになっていました。

 それが令和4年(2022年)10月1日に、国や地方自治体などで勤務する短時間労働者については、その方の雇用契約が適用要件を満たしている場合には、共済組合(公的医療保険制度)に加入することになっています。

 さて、厚生年金保険と統合前の共済年金には3階部分として「職域加算部分」というのがありました。それが厚生年金保険と共済年金の統合に伴って新たに「年金払い退職給付」という制度が創設されています。民間でいうところの企業年金のような位置づけだといわれます。

 では、民間の企業年金はどうなっているかといえば、平成13年(2001年)の施行された法律により確定拠出年金の制度が設けられました。個人型確定拠出年金は平成13年(2001年)10月から、企業型確定拠出年金は平成14年(2002年)4月から実施されています。

 また平成14年(2002年)4月には確定給付企業年金法も施行され、これと同時に適格退職年金制度が平成24年(2012年)3月末で廃止されることも決められ、後日に廃止されています。国に代行部分を返上した厚生年金基金の移行先または廃止される適格退職年金制度からの移行先として、確定給付企業年金制度(DB)と確定拠出年金制度(DC)に再編が進められていきました。

 なお、厚生年金基金については平成25年(2013年)6月の法改正により、新設が認められなくなり、財政の健全化を図る対策が採られています。

 このように、ご自分の年金の加入履歴を見た場合に、すでに年金制度が厚生年金保険に統合されていることもあります。

 今回はここまでです。よろしければ次回(5月28日予定)もお読みください。

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