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(76)国民年金の第3号被保険者について その2

 細かい話になりますが、年齢に関連して国民年金の第2号被保険者と第3号被保険者の関係を触れておきます。再度、第2号被保険者と第3号被保険者の要件を確認しておきます。

☆☆☆☆☆資料100 ~ 被保険者の資格/国民年金法第7条

①次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする。(第1項)

 1)厚生年金保険の被保険者。(第2号/以下、「第2号被保険者」)

          ※65歳以上の者にあっては、厚生年金保険法附則第4条の3第1項
    (高齢任意加入被保険者)に規定する次にあげる給付(下記の②)
    の受給権を有しない被保険者に限る。(国民年金法附則第3条)

 2)次にあげるいずれの要件にも当てはまる者をいう。
   (第3号/第3号被保険者)

    a)配偶者自身が第2号被保険者ではないこと。

    b)第2号被保険者の配偶者(妻または夫)であること。

    c)20歳以上60歳未満の方であること。

    d)主として第2号被保険者の収入により生計を維持していること
      (以下、「被扶養配偶者」)。

      ※配偶者自身の収入要件。

    e)原則として国内に居住していること。

      ※国内居住要件。

★★★★★資料100はここまで ~

 厳密にいいますと、国民年金の第3号被保険者は、国民年金の第2号被保険者に扶養されている配偶者であって、厚生年金保険の被保険者に扶養されている配偶者ではないということに注意してください。つまり、国民年金の第3号被保険者との関係でいうと、「国民年金の第2号被保険者=厚生年金保険の被保険者」ではないということです。

 例えば、10代の厚生年金保険の被保険者である方が20歳以上60歳未満の配偶者を扶養している場合を考えてみます。
なお、配偶者は厚生年金保険の被保険者ではないとします。

 厚生年金保険の被保険者は配偶者を扶養してはいますが、20歳を超えていませんので、国民年金の第2号被保険者ではありません。

 国民年金の第3号被保険者は、国民年金の第2号被保険者に扶養されている配偶者であることが要件ですので、配偶者は国民年金の第3号被保険者にはなれないということになります。厚生年金保険の被保険者が20歳になるまでは、配偶者は国民年金の第1号被保険者となります。ということは、国民年金の保険料を納付する必要がでてきます。

 厚生年金保険と健康保険はほぼセットで考えられています。こうした場合でも、国民年金の第3号被保険者ではなくても、健康保険の被扶養者(扶養家族)ではありますので、注意してください。

 話が少し横道にそれますが、もし配偶者が20歳未満の場合、どうなるのか考えてみます。配偶者が20歳未満であれば、そもそも国民年金の被保険者にはなれません。国民年金は原則として、20歳以上60歳未満の方が対象となっています。

 では、この配偶者が20歳になった時点で、厚生年金保険の被保険者が20歳を超えていれば、配偶者は国民年金の第三号被保険者になりますが、厚生年金保険の被保険者が20歳を超えていなければ、配偶者は国民年金の第1号被保険者となります。

 ちなみに、厚生年金保険の被保険者は配偶者の国民年金の保険料を負担した場合には、厚生年金保険の被保険者が税金の申告の際には、社会保険料控除として計上できます。そうして所得税や住民税はいくらかは軽減できます(所得税法第74条参照)。

 平成29年(2017年)1月からは、国民年金の第3号被保険者(第2号被保険者の被扶養配偶者)も個人型の確定拠出年金(以下、「個人型年金」)に加入することができるようになりました。

 ただし、配偶者が加入する個人型年金の掛金を厚生年金保険の被保険者が負担したとしても、その厚生年金保険の被保険者が税金の申告の際に小規模企業共済等控除として計上することはできません。小規模企業共済等控除は申告者本人が負担した場合に計上できる制度設計になっていますからです。(所得税法第75条参照)

 今回はここまでです。またよろしければ次回(9月8日予定)もお読みください。

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