(87)厚生年金保険の特定適用事業所について その4
以前は従業員数(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が501人以上の企業が対象となっていましたが、令和4年(2022年)10月からは「101人以上」となっており、令和6年(2024年)10月からは「51人以上」の企業が対象となっています。そして、この「特定労働者」の人数は、次のように数えます。
☆☆☆☆☆資料112 ~ 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大/日本年金機構のホームページより
①特定適用事業所の概要。
1)特定適用事業所とは、1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金
保険の被保険者の総数が51人以上となることが見込まれる企業等の
ことです。
※「適用事業所の厚生年金保険の被保険者」は、短時間労働者は含ま
ず、共済組合員を含む。
2)厚生年金保険の被保険者数の総数の考え方
a)法人事業所の場合は、同一法人格に属する(法人番号が同一で
ある)すべての適用事業所の被保険者数の総数。
b)個人事業所の場合は、適用事業所単位の被保険者数。
参考までに ~ 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内(日本年金機構のホームページより)
②厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等とは。
1)1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時
間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数(※)が51人以上
となることが見込まれる企業等のことです。
※法人事業所の場合は、同一法人格に属する(法人番号が同一であ
る)すべての適用事業所の被保険者の総数、個人事業所の場合は適
用事業所単位の被保険者数となります。
2)なお、この企業等のことを「特定適用事業所」といいます。
★★★★★資料112はここまで ~
上記の資料6の「常時51人」というのは、法人などの事業所全体のすべての「短時間労働者」(新たに被用者保険の被保険者となるパートタイマーなど)の人数ではありません。
その事業所全体(同じ法人番号)で勤務するいわゆる正社員(70歳未満の被用者保険の被保険者)と以前から被用者保険の対象となっている「1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が正社員(常用雇用者)の3/4以上」の短時間労働者を合計した人数です。しかも本店や全国に散らばっている支店・営業所全体を含めた人数を指します。
月々の従業員数(被用者保険の被保険者の人数)を数えて、直近12ヶ月のうち6ヶ月で基準を上回った場合には「特定適用事業所」となります。なお、従業員の人数は、法人であれば同一の法人番号である全事業所単位で、個人事業主の場合は個々の事業所単位で判断します。
また、健康保険は75歳未満の方が加入しますが、厚生年金保険が70歳未満の方が加入することになっています。「特定適用事業所」に当てはまるかどうかの人数を計算する場合には、70歳以上の健康保険の被保険者は含みませんので、注意が必要です。
今回はここまでです。またよろしければ次回(11月24日予定)もお読みください。
余談・雑談・戯言その他 ~
現在毎週更新していますこの『日本の公的年金制度(適用関係編)について』が終わったら、「年収の壁」について取り上げていく予定にしていました。
しかし、「103万円の壁」はどうやらなくなる方向のようですし、「106万円の壁」も厚生労働省は廃止(年収や企業規模にかかわらず被用者保険の適用)するような報道もあり、さらに「130万円の壁」もどうにかしないとダメだろうという声が国会議員から出始めているような(そうでないような)気配があります。
そうなると、いまさら「年収の壁」を取り上げても意味がないような気がしてきています。それでも取り上げるのか、それとも別のテーマとするのか考え中です。
この『日本の公的年金制度(適用関係編)について』は、来年1月中に終わる予定にしていましたので、今年中には決めたいと思っています。