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(10)社会保障協定 その2

 令和4年(2022年)6月時点で、日本と社会保障協定を結んでいる国(以下、「社会保障協定済み国」)は22ヶ国となっています。社会保障協定済み国の22ヶ国と日本と社会保障協定を結んでいない22ヶ国以外の国(以下、「社会保障協定未締結国」)とは、取扱いが異なります。(詳細は後日)

☆☆☆☆☆資料9 ~ 社会保障協定/日本年金機構のホームページより

①各国との社会保障協定発効状況及び協定相手国の情報
    ・・・ 2022年6月1日時点における、社会保障協定の発効状
        況は以下のとおりです。

 1)日本は23ヶ国と協定を署名済で、うち22ヶ国は発効済みです。

   ※発効済みの22ヶ国
       ・・・ ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フ
           ランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェ
           コ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、
           ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピ
           ン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデ
           ン。

 2)イギリス、韓国、イタリア(未発効)及び中国との協定については、
   「保険料の二重負担防止」のみです。

★★★★★資料9はここまで ~

 イタリアは平成21年(2009年)2月に署名は済ませているのですが、協定自体はまだ発効はしていませんので「社会保障協定未締結国」に入ります。

 そして、社会保障協定は国際条約でなく国ごとの条約によりますので、社会保障協定の内容はそれぞれの協定によって異なっています。

 対象となる「社会保障」についても、各協定により異なっています。公的年金制度だけの協定もあれば、公的医療保険、労災保険や雇用保険なども含む協定もありますし、また雇用されている従業員のみを対象とする協定もありますし、自営の方も含む協定もあります。

☆☆☆☆☆資料10 ~ 社会保障協定の仕組みと手続きについて/日本年金機構のホームページより

①各社会保障協定の内容は、多くの点で共通しておりますが、協定を締結す
 る相手国の制度内容等に応じて、それぞれ対象となる制度等が異なる箇所
 があります。

★★★★★資料10はここまで ~

 例えば、イギリス協定・韓国協定・中国協定には「年金制度の加入期間の通算」の取り決めはありません。これらの国との協定では「二重加入の問題」だけが解消されてます。またインド協定では、インドの一部の公的年金制度は対象外となっているなど、その国のすべての公的年金制度が対象となっているとは限りません。

 ただし、カナダにはカナダの年金制度(CPP)があるのですが、この制度とは別にケベック州の独自の年金制度(QPP)があります。このQPPはカナダ協定では対象外です。ケベック州の独自の年金制度(QPP)については、「二重加入の問題」は解消されていませんので、注意が必要です。

 また、オーストラリア・インド・中国の各国には自営業者は公的年金制度には強制加入ではないことから、それぞれ協定では自営業者については対象外となっています。またフランスとの協定では、自営業者についての取決めはありませんが、個別の申請に基づいて自営業者の適用の調整を行っています。

 今回はここまでです。よろしければ次回(6月11日予定)もお読みください。

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