(11)社会保障協定 その3
社会保障協定を結んでいる国に派遣される方や日本に派遣されてくる方がどちらの国の社会保障を自由に選べるわけではありません。
☆☆☆☆☆資料11 ~ 年金Q&A(社会保障協定〔共通〕)/日本年金機構のホームページより
①協定により両国社会保険制度への二重加入が防止されるとのことですが、
日本の制度か相手国の制度か、加入する制度を自由に選べるのですか。
A ・・・
1)協定の二重加入防止の考え方は、どちらの国の制度に加入するかを事
業所や本人が自由に選択できるというものではありません。
2)日本の事業所から相手国の事業所に一時的(原則5年以内)に派遣さ
れる人は、引き続き日本の制度に加入して相手国制度への加入が免除
されます。
3)一方、長期的に派遣される人や相手国の事業所に現地採用された人は
相手国の制度に加入することになります。
★★★★★資料11はここまで ~
日本と社会保障協定を結んでいる場合、次のように二重加入を解消します。
☆☆☆☆☆資料12 ~ 社会保障協定の主な内容(二重加入の防止)/厚生労働省のホームページより
①適用調整 ・・・ 相手国への派遣の期間が5年を超えない見込みの場合
には、その期間中は相手国の法令の適用を免除し自国
の法令のみを適用し、5年を超える見込みの場合に
は、相手国の法令のみを適用する。
★★★★★資料12はここまで ~
自分でどちらかの国の社会保障制度を選択するのではなく、日本から相手国への派遣の当初の予定期間が「5年」を越えるか否かでどちらの国の社会保障の制度に加入するかが決まります。
社会保障協定を結んでいる国から来日して働く場合でも、日本から社会保障協定を結んでいる相手国に行って働く場合でも、派遣当初から派遣期間が「5年」を超える見込みがあるかどうかで、どちらの国の社会保障を適用するのかが決まってきます。
☆☆☆☆☆資料13 ~ 協定を結んでいる国から日本で働く場合の加入すべき制度について(二重加入の防止)/日本年金機構のホームページより
①二重加入の防止について。(被用者の場合)
1)協定発効前 ・・・ 海外において被用者として就労する人が事業主
により日本に派遣される場合、日本の社会保障
制度に加え、派遣元国の社会保障制度に二重に
加入しなければならないことがありました。
2)協定発効後。(原則)
a)協定により原則として就労する国の社会保障制度のみに加入す
ることになります。
b)つまり、派遣元国の事業主により日本の支店などに派遣された
場合や現地の企業に採用された場合には、日本の社会保障制度
のみに加入することになります。
3)協定発効後。(一時派遣 〔5年以内〕)
a)しかしながら、事業主により日本に5年を超えない見込みで派
遣される場合には、協定の例外規定が適用されます。
b)すなわち、引き続き派遣元国の社会保障制度のみに加入し、日
本の社会保障制度の加入が免除されます。
※協定によっては、派遣期間の見込みにかかわらず、派遣開始
日から5年間は派遣元国の社会保障制度のみに加入し、日本
の社会保障制度の加入が免除されます。
4)協定発効後。(同一期間に両国で同時に就労する場合〔日英・日韓協
定のみ〕)
a)日本国の領域内及び相手国の領域内において同時に就労する場
合は、生活の本拠を基準として、その国の年金制度のみに加入
することになります。
b)日本に生活の本拠を置く場合には、日本の年金制度のみに加入
し、協定相手国の年金制度の加入が免除されます。
c)協定相手国に生活の本拠を置く場合には、協定相手国の年金制
度のみに加入することになります。
②加入する社会保障制度 ・・・ 加入する社会保障制度は、就労状況や派
遣期間により以下のようになります。
1)協定相手国の事業主による派遣。
a)5年以内と見込まれる一時派遣
・・・ 協定相手国の社会保障制度。
b)上記の派遣者の派遣期間が、予見できない事情により5年を超
える場合。
ア)原則 ・・・ 日本の社会保障制度。
イ)両国の合意が得られた場合には、協定相手国の社会保障
制度。
c)5年を超えると見込まれる派遣期間
・・・ 日本の社会保障制度。
2)日本での現地採用 ・・・ 日本の社会保障制度。
3)協定によっては、派遣期間の見込みにかかわらず、派遣開始日から5
年間は協定相手国の社会保障制度のみに加入することになります。
4)派遣期間が5年を超える場合、申請に基づき、両国関係機関間で協議
し合意した場合には、引き続き協定相手国の社会保障制度のみに加入
することが認められます。
★★★★★資料13はここまで ~
上記の資料13については、日本に派遣されてきて日本で働く場合の取扱いですが、日本から社会保障協定済み国で働きに行く場合も基本的には同様の取扱いとなっています。
今回はここまでです。よろしければ次回(6月18日予定)もお読みください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?