(7)現在の公的年金制度になるまで その1
それでは、ご自分の年金の加入履歴を確認するためにも、日本の年金制度の変遷についてごく簡単に触れておきます。
昭和61年(1986年)4月に現在の年金制度(基礎年金制度)ができたのですが、それまでも国民年金や厚生年金保険(以下、「旧の国民年金」、「旧の厚生年金保険」または「旧の年金制度」)はありました。
しかし、それぞれが独立したような制度設計でしたので、不便な面もありました。そこでそうしたデメリットを解消するために、昭和61年(1986年)4月に現在の年金制度(基礎年金制度)が作られたのです。
現在の年金制度ができて以降、それまでの旧の年金制度の過入履歴などの年金記録は次のように取り扱われます。
☆☆☆☆☆資料7 ~ 国民年金の被保険者期間等の特例/昭和60年改正法附則第8条
①施行日(昭和61年4月1日)前の国民年金の被保険者期間は、国民年金
の適用については、第1号被保険者としての国民年金の被保険者期間とみ
なす。(第1項前半)
※「施行日(昭和61年4月1日)前の国民年金の被保険者期間」は、他
の法令により国民年金の被保険者であった期間とみなされた期間を含
む。
②この場合(上記の①)において、その被保険者期間のうち、旧国民年金の
保険料納付済期間は保険料納付済期間と、旧国民年金の保険料免除期間は
保険料免除期間、旧国民年金の付加年金の保険料の保険料納付済期間は付
加年金の保険料の保険料納付済期間とみなす。(第1項後半)
★★★★★資料7はここまで ~
このように現在の年金制度になっても、旧の年金制度のときの国民年金の被保険者期間などはもちろん有効です。老齢基礎年金などを計算する上でも反映されます。この取扱いは厚生年金保険でも同じです。
さらに、昭和61年(1986年)3月末の時点で、すでに旧の年金制度の老齢年金を受給しているような方(現在ではだいぶんご高齢だと思いますが)は、そのまま旧の年金制度(改正前の年金制度)の年金給付を受給し続けることになっています。
また、以前には船員保険(職務外年金)や農林漁業団体職員共済にも共済年金制度があったのですが、船員保険(職務外年金)は昭和61年(1986年)4月に、農林漁業団体職員共済は平成14年(2002年)4月に、それぞれ厚生年金保険に統合されています。
そして、JR(日本鉄道公社)、JT(日本たばこ産業公社)、NTT(日本電信電話公社)で働いている方々も、民営化後も引き続きそのまま国家公務員共済組合制度に加入していましたが、平成9年(1997年)4月にこれらの3公社で働いている方々の加入する共済組合も、国家公務員共済組合から厚生年金保険に統合されています。
その後、平成27年(2015年)10月1日に厚生年金保険と共済年金の統合に関する新たな法律の施行に伴い、平成27年(2015年)9月末で各共済組合の共済年金(公的医療保険の部分は存続しています)は廃止され、同年10月1日から厚生年金保険と共済年金が統合されました。
現在の日本の公的年金制度は大きく分けて「国民年金」と「厚生年金保険」の2つとなっています。
今回はここまでです。またよろしければ次回(5月21日予定)もお読みください。
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