見出し画像

(18)社会保障協定 その10

 日本に来日して以来、相手国の社会保障制度に加入していた方が、延長が認められず日本の社会保障制度の1つである厚生年金保険に加入することになり、厚生年金保険の被保険者となります。日本に滞在しているなどの健康保険の被扶養者としての要件を満たす親族がいれば、健康保険の被扶養者となります。
親族のうち20歳以上60歳未満の被扶養配偶者については、国民年金の第3号被保険者となります。

 逆に相手国で勤務している厚生年金保険の被保険者が延長が認められず、相手国の社会保障制度に加入することになった場合も同様に考えます。その厚生年金保険の被保険者だった方に健康保険の被扶養者がいる場合には、その被扶養者としての資格も喪失します。被扶養者だった方が被扶養配偶者であった場合には、国民年金の第3号被保険者の資格も併せて喪失します。

 派遣期間の延長について各社会保障協定では、おおよそ次のように決められています。なお、細かな要件などが定められている場合もありますので、実際に手続きをなさる際には、事前に日本年金機構などにお問い合わせください。

☆☆☆☆☆資料24 ~ 派遣期間延長について

※どの協定でも予見できない特別の事情があり、両国で個別に協議のうえ合
 意した場合に限り、下記の延長が認められることになっています。

※延長が認められなかった場合には、滞在している国の社会保険の制度が適
 用されます。

①3年を上限として延長を認める協定 ・・・

 1)イギリス協定。

 2)韓国協定。

 3)アメリカ協定。

   ※予見不可能である場合などは3年まで、その上重大な困難を避ける
    ために必要な場合などには4年まで延長可。

 4)カナダ協定。

 5)チェコ協定。

 6)スペイン協定。

   ※2年以上3年以内の延長の場合は、詳細な理由を届け出る必要があ
    ります。

 7)アイルランド協定。

 8)ブラジル協定。

 9)インド協定。

   ※総派遣期間が8年を超える場合でも、インドの年金制度に加入でき
    ない場合は延長可。

 10)フィリピン協定。

 11)スロバキア協定。

    ※延長期間が3年を超えないことが条件。

 12)フィンランド協定。

    ※延長期間が3年を超えないことが条件。

②1年を上限として延長を認める協定 ・・・

 1)ベルギー協定。

   ※原則1年、特別の事情があれば最大2年。

 2)フランス協定。

 3)オランダ協定。

 4)スイス協定。

 5)ハンガリー協定。

   ※当初の派遣期間と延長期間の合計(「総派遣期間」)が6年を上
    限、総派遣期間が5年以内でも延長できるのは1回限り。

③5年を上限として延長を認める協定
    ・・・ 中国協定。

 ※特段の事情がある場合には、派遣期間が合計10年を超える場合でも、
  申請に基づき、両国関係機関間で個別に協議の上合意したときには、さ
  らに引き続き派遣元国の年金制度のみに加入することができます。

④36暦月を超えない期間を上限として延長を認める協定
    ・・・ ドイツ協定。

⑤一定の理由があれば延長は認められるが、協定では延長期間 が定められ
 ていない協定
    ・・・ オーストラリア協定。

⑥協定に延長に関する規定がない協定
    ・・・ ルクセンブルク協定。

 ※ごく短期間であれば例外的に延長が認められる場合があります。

⑦派遣期間が5年を超える延長についての規定はないが、例外 的に両国の
 話し合いにより認められる場合がある協定
    ・・・ スウェーデン協定。

※当初派遣から通算して5年を超えない期間の延長については、両国の関係
 機関間の協議により合意する必要はなく、延長の理由を考慮したうえで認 
 められる場合があります。

★★★★★資料24はここまで ~

 今回はここまでです。よろしければ次回(8月6日予定)もお読みください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?