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What is comfort food for you?(あなたにとって心地よい食べものは何ですか?)

20年以上前になりますがニューヨークに住んでいました。食の話で盛り上がることが多く、’What is comfort food for you?(あなたにとって心地よい食べものは何ですか?)’とよく聞かれました。話している相手によって、アメリカ料理も好きだけれど(イタリア料理も好きだけれど)、やっぱり私のcomfort foodは寿司、蕎麦、鰻と答えていました。とても一つには絞れません。

コスモポリタンな街での生活は楽しく刺激的でしたが、慣れない仕事、拙い英語での失敗で落ち込むこともありました。ある時、亡くなった義父がニューヨークタイムズに掲載されたSUSHI YASUDAの記事を切り抜いて呉れました。主人と初めてSUSHI YASUDAを訪れたときの嬉しさは今でもはっきりと覚えています。その日以来、たびたびSUSHI YASUDAへ行きましたが、特に沈んだときには一人で行き、カウンターで安田さんとお話しをしながらお寿司を食べるのが一番のセラピーになりました。
私のcomfort foodはニューヨークのSUSHI YASUDAの思い出と繋がっています。

東京へ引っ越してから、飲食店経験の無い主人がNYスタイルのハンバーガーショップをオープンしました。
後に手伝うことになった私が思っていたことは、日本のお客様には本格的なバーガーを紹介すること、ハンバーガーがcomfort foodであるお客様には元気と勇気が出るようなバーガーを提供することでした。アメリカ人にとって、バーガーは肉の旨味を感じるもの。バンズやソースとのバランスも大切だけれど、あくまでも主役は肉。東京に生粋のニューヨーカーが経営するバーガーショップがあってもいいのではないかとも思っていました。
日本に関する新聞記事を切り抜いては呉れていた義父へのお礼の気持ちもありました。

主人がそろそろ引退したいと言った頃に、フランス発祥のレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」に掲載していただきました。ミシュランガイドは知っていましたが、ゴ・エ・ミヨはそれまで知らなかったのですが、フランス人のお客様が「ゴ・エ・ミヨを信頼しているフランス人は多く、とっても名誉なことだよ」と喜んで教えてくださいました。この賞を受賞して、自分なりに納得してお店を終えました。お客様、スタッフ、お取引様に感謝しています。

クアラルンプール に住んでみて、食べものがとても美味しいと思います。そして、東京、ニューヨークと同じように食文化が多様なことに驚きます。多民族国家でお互いの背景を尊重してバランスを取りながら生活していることや食に貪欲な国民性が影響していると感じます。

私は食の力を信じています。日本が多くの人をcomfort foodで元気にする国であったらいいなと思います。


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