或る少年、或る人生

笑うことはできないのに、泣くことはできるんだ
身体への痛みは耐えられるけど、心の寂しさは耐えられない
親からの抱擁を知らないから、ぎこちなく子供を抱きかかえる、子供は無邪気に笑っている
傷跡は今も心と身体に共に残っている
どれだけ表面を取り繕っても、逆に強固に浮かび上がってくる
呪いみたいだ
暗く狭いところが好きだ、そこは昔から安心出来る場所だから
暗く狭いところが嫌いだ、そこは昔を思い出させる場所だから
今はただ漠然と生きている
地獄から抜け出しただけで、天国に行けたわけじゃない
周囲にいた大人たちはみんな暗くて狭いところに行ってしまった
僕はまた1人になった
あと何年生きれるのだろうか、
あと何人不幸にするのだろうか、
あと何個傷跡を増やすのだろうか、
あと何度後悔の味を知るのだろうか、

あと何回僕は人を笑顔にできるのだろうか。
この終着点の分からない、人生にどんな終止符をつけられるだろうか
花火のように散る度胸もない僕は、この人生にどんな花を咲かせられるのか
今はまだ何も分からない。

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