008 ショッピング


ダートムア風景

 わが家の周辺の歩ける距離内には店舗は一軒もない。一番近いモアトンハムステッドの町までは約1マイル強、大体2kmぐらいある。道路を歩いて行けば20分ぐらいで着けるが、狭い道路でその上歩道がないので危険である。車の通る道路とは別に自転車、歩行者専用の道路(Cycle Path)があるので、それを使うと歩いて30分ぐらいかかる。道路を車で行けばたった5分である。この町まで行けば、小さなスーパーから郵便局、ホテル、B&B、不動産屋、薬局、雑貨屋、肉屋、八百屋、カフェ、レストラン、インフォメーション・センター、それにパブが3軒も揃っている。

モアトンハムスデッドのカーニバルの賑わい

 最初はショッピングがとても不便だと感じた。新聞を買うのでも車で行かなければならないし、パンやミルクが無くなった場合にもいちいち車で出かけることになる。東京育ち、ロンドンで長く生活していた身には何かとても苦痛なことの様に感じた。しかし、これも慣れてくるとあまり苦ではなくなってくる。先ず車で出かけることに不便を感じなくなる。
そして出掛けたときには、ついでに別の買い物をするという習慣がつく。例えば新聞を買うために出かけたときには、パン屋によってクロワッサンを買うとか、バターが少なくなったので買っておくとか、そのためには常に冷蔵庫や冷凍庫のストックに注意を払っていなければならない。

週に一度魚屋さんが車で売りに来る

 わが家では週に一度か10日に一度、大きな町ニュートン・アボット(Newton Abbot)に出かけてセインスベリー(Sainsbury’s)とかリドル(Lidl)という全国チェーンの大型スーパーで1週間から10日分の買い物をする。この町までは車で30分ぐらいかかるが、テスコ(TESCO)やアスダ(Asuda)といった大きなスーパーのチェーン店や家具、自動車修理工場、ガーデンセンター、銀行、役所、病院、リサイクルセンター等、何でも揃っている。この町は近郊のハブ都市となっており、とても便利な存在である。
 また別の大きな町エクセター(Exeter)にも時々出掛ける。モアトンハムステッドからバスが出ているので便利な存在だ。ここはデボンの首都で大学があり、いつも若者で賑わっている。大きなカテドラル大聖堂を中心にハイストリートにはジョン・ルイスのデパートからマークス&スペンサー(M&S)、ブーツ(Boots)、WHスミス(WH Smith)、ウォーターストーンズ書店(Waterstones)といった全国展開の大型チェーン店を始め、特に衣料品の大型店や靴屋さんが多く、カジュアルな衣類が比較的安価に買える。映画館、劇場、博物館もあり、銀行や住宅金融組合(Building Society)、携帯電話の店も揃っている。

エクセターのハイストリート

 田舎の生活では車が非常に大切な役割を果たしている。バスのサービスはあることはあるが、便数も少なくあまり役に立たない。例えば我が家の前を通る道路にはバスが走っており、モアトンハムステッドとニュートン・アボットを結んでいるが、朝1本、夕方1本と1日2回だけのサービスで、通勤客には向いているが一般の人向けではない様だ。
 齢を寄って車の運転が出来なくなった時には困るのではという心配はあるが、確かに心配ではあるが、デボンにも年寄りはたくさん住んでおり(実際、若者より年寄りの方が多い)、車を持たない人も多い。デボンでは食料品の配達が非常に進んでいる。大手スーパーを始め、ほとんどのものがオンラインで購入できる。また、社会福祉が発達しており、ケアラーが買い物をしてくれたり、病院へ連れて行ってくれたりする。日本でもこの種のサービスは行われているが、英国ではすでに一般的な通常行為となっている。隣近所の助け合いも盛んで、老人をダートムアやお祭りに連れ行ったりととても親切である。もちろん自力で運転して楽しめることが出来るのが最高だが、動けなくなった時にもヘルプはしっかりシステムになっていて安心である。(以下続く)


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