カフカの絶望名言の聴き逃し配信始まりました。『変身』について少し語ります。

弱い本を書かれている文学紹介者の頭木弘樹氏による絶望名言のラジオの聴き逃し配信はこちら↓

カフカの変身は好きです。笑いと涙が同時にくる感覚があって、救われます。悲しんでいいのか、笑っていいのか、読者はわからない。そんなグレゴール・ザムザの状況。それを、読者は、好きに解釈して、今の自分の状況におとしこむ。もしくは、わからない、という感想を抱く。

私は、感想文が苦手だ。人として嘘をつくわけにはいかない。なぜ、感動したのかも、わからない。『変身』は、わたしのことだと思った。こんな筈じゃなかったのに、会社に行かないといけない夢を今でもみる。会社に行ける状態ではないのに。わたしは、朝起きたら虫になっていたグレゴールを、自己投影する。既に人とは、違った形になっているのに、側から見たら滑稽に頑張っている姿を、わたしは、わたし自身にみるのだ。だれも手を差し伸べることのできない次元の、救いのない姿をみて、わたしたちは救われている。

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