見出し画像

インフィニティ国際学院アカデミア講座 第4期絵本研究ゼミ第2回目リフレクション(振り返り)📚

  
 
 竹内美紀先生の二回目の講義のテーマは『 翻訳の視点を見直す』
まずは1回目の講義からの宿題として、翻訳本を一冊用意し議論をすること。
 今回私はアーカイブでの講義だったので、受講生の皆さんが用意したそれぞれの翻訳絵本の観点を勉強しました。
 
 いくつか印象に残ったものの一つは『 擬音語・擬態語 』についてです。
日本語は動詞が少ない傾向があり、それこそ『 オノマトペ 』で表現されます。
 言葉というものは、最初に来る単語が印象として強く残りやすいとされていますが、日本語の場合、動詞が後ろに配置されるという文法上の特徴があるので、情報が最後まで届かない場合があるということを学びました。
 
例えば・・・
英語文 The dog jumped up and down happily
日本語 いぬは 嬉しそうに ピョンピョン 跳ねた など。

この場合日本語だと、いぬが跳ねていることを強調したいのか、嬉しそうな様子を強調したいのか、原書の表現がどうなのか迷ってしまいます。
            
 また、その反面日本語は名詞が多いのも特徴で、英語に訳すとなると『動名詞』やときに『形容詞』が使われます。例として『光吉夏弥』が翻訳した『ガンピーさんのふなあそび』という絵本の題名について。
 
私が拙い英語で文にすると…。
あそぶ →  play
ふねであそぶ → Mr.Gunpy plays a bout  
ニュアンスとして、ボートのおもちゃなどで遊ぶようなイメージになってしまいますが…。
 
 そこで『ジョン・バーニンガム』の原題をチェックすると
Mr.Gunpy’s outing → ガンピーさんのおでかけ となり、
 
  原題に、外出 → outing(動名詞)を使っていることで、読み手の子ども達が絵本のイラストと文章を合わせて(船に乗ってお出かけしながら遊ぶ)というような、粋なイメージの日本語訳になるのです。
 
 語感というものは、翻訳によって受け取り方がかなり変わってしまうもの。他の受講者の皆さんが紹介していた絵本のバックボーンなどを聞きながら、原書の世界を損なわないように物語(絵本)をつくるということの大切さ(大変さ)を改めて感じました。
 


 講義の後半は、絵本翻訳論研究者の『灰島かり先生』についてお話いただきました。
 灰島先生は、語学がご堪能で絵本や子どもの本を研究されるだけではなく、翻訳や創作活動と幅広くご活躍されました。ご主人の渡英に同行しサリー大学ローハンプトン大学院で児童文学を学ばれています。帰国後大学やカルチャーセンターで講師を務めますが、ご結婚以前は一般企業での職歴もあり、幅広く子ども達が面白いと思う作品を見分け、ご自身の視点で表現された方です。
 
 灰島先生は、格式ばったものを嫌がり「おもしろいものはオモシロイ」と沢山の作品を子どもだけではなく大人にも届けて下さいました。
 
  私はこの講義を受け始めるまで、翻訳家の視点で絵本を選んだことがありませんでした。子ども達に下ろす物語に、聞き手にも読み手にも共感できる喜びがあるかということを柱に絵本を選んでいました。
 
   翻訳するという作業には、語学力だけではなく、幅の広い視野や経験、知識が必要になるとぼんやり感じていただけでしたが、実際に受講生の皆さんが紹介してくださった海外絵本の背景を聞いて、また新しい絵本の選び方を学ぶ機会に触れることができとても嬉しく思います。
 
 勉強を続けることは正直本当に大変です。でも生涯学習として学びを続けることは自分の心を育てるだけではなく、自分とかかわる皆さんや子ども達とのかかわり方も楽しめるようになって行くんだなと感じるようになりました。これからも少しでも広い視野をもっていけるように頑張っていきたいと思います。

最新版 絵本翻訳教室へようこそ
灰島かり 研究社 2021年5月31日初版発行
札幌市琴似図書館より


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?