CSOというクソゲーであり神ゲーについて

CSOはネクソンのかつて運営していたFPSゲームで、ゾンビモードやサッカーモード、レースモードに対人戦など本当に多岐にわたるモードを遊べるバラエティ色の強いFPSだ。

はっきり言おう。
神ゲーでありクソゲーである。

チャージマン研がクソアニメであり神アニメであるように、CSOもまたそのチープな味付けに虜になってしまう。
まずい!もう一杯!を地で征くゲームなのである。

2009年にリリースされてから2019年にサービス終了するまで、10年間その珍味を味わい尽くした私がその不味さについて語りたい。

1.運営が素晴らしい

CSOを語る上で外せないのが、運営の素晴らしさである。
メンテナンスはまず時間通りに終わらず、1〜2時間延長する。
大した内容もないのに何にそんなに時間を費やしていたのかはサービスが終了した今もわからない。
ダーツでもやりながらメンテナンスをしていたと私は思っている。

算数ドリルという意味不明なイベントがあった。
相手プレイヤーを倒すと「0~9+-÷×=」のうちいずれかの札を落として、それらを組み合わせて四則演算の等式を完成させると報酬がもらえる。
「1+1=2」のような式を作るのだ。

どのような会議を経て決まったイベントなんだろうか。
プレイヤーを馬鹿にしているとしか思えないが、実際プレイヤーは馬鹿しかいなかった。
珍味を美味しく食せるのは馬鹿だけだった。

ゾンビモードに登場するゾンビのキャラクターであるライトゾンビをマスコットとして作られた公式Twitterが一時期存在したが、企業の公式アカウントとは思えないほどプレイヤーとバチバチに言い合っていた。
もはやライトゾンビではなく、中の人の自我そのものであった。
ライトゾンビというていのおっさんと、プレイヤーはTwitterを通して喧嘩していた。

私が好きなのは、あるプレイヤーが「部屋に鍵をかけているのにたまに人が入ってくる!どういうことだ!」と嘆いていたところライトゾンビが「運営権をもったアカウントがたまに偵察していて、鍵のついた部屋に入ることがあるよ」とリプライを返している場面である。
個人的にはすでに「運営が鍵付きの部屋に入ってなにがしたいの?」とか「そんなアナログなやり方じゃなくても、部屋内のデータとかログ見ればわざわざアカウント作って入らなくても分かるんじゃ…」とは思っていたが、プレイヤーが馬鹿なら運営も馬鹿なので仕方ない。
そんなライトゾンビのリプライに対してそのプレイヤーは「そんな権限持ったやついねーよ!」と返していた。
公式が言っているのに否定する理由はわからないが、それだけ公式もライトゾンビも信用されていなかった。
このリプに対してライトゾンビが返した一言がこれだ。

「はい、バイバイ」

回答拒否である。
もうこいつには何を言っても無駄だ、というライトゾンビの静かなる呆れと怒りが伝わってくる。
答えたくなかったら無視でもいいはずだ。
それなのに、会話をぶった切るように突如「はい、バイバイ」と勝利宣言を高らかに叫び、こんなクソゲーをプレイしてくれている貴重なプレイヤーをひとり突き放したのである。

ある日のイベントで、ガチャの当たる確率2倍キャンペーンのようなものを行っていた。
当然のように不味い飯を好むの蓼食う虫たちは課金を始め、この小さなネットゲーム山の猿大将になるために躍起になっていた。
しかし、運営は後日イベントのアップデートが失敗していて、全く当たり確率が2倍になっていなかったことを公表した。
運営はいつにもなく素早い対応で、このイベント中に使ったガチャ券を返すと発表した。
次の日、ガチャを回した人だけでなく全てのプレイヤーにガチャ券が渡されていた。
運営はこれをミスだと発表し、キャンペーン期間に課金していないプレイヤーに渡されたガチャ券は没収すると発表し、すぐにメンテナンスが入った。
メンテナンス後、プレイヤーが確認すると確かにガチャ券は無くなっていた。
その他のアイテムと共に。
そう、運営は何を間違えたのかガチャ券だけではなくプレイヤーが元々持っていた課金装備まで回収してしまったのだ。
全員に起きたわけではないが、掲示板の人たちや私の知り合いはその被害にあっていた。
あまりにも杜撰である。
私の知り合いは抗議の連絡をしたが、運営が反応することはなく、アイテムも戻らずその事件は闇に葬られた。

ちなみに、失敗した2倍キャンペーンだが、やり直しと称して行われた2回目の2倍キャンペーンもアップデートの失敗で2倍になっていなかった。
お茶目だね。

運営の素晴らしさについては語りだしたらまだまだ止まらない。
なんと言っても、ゲーム内で「運営」とか「ネクソン」と言った単語はNGワードで表示されないのだ。
「運営」が使用される場面はすべて運営への批判だということをよく理解しているからこそのNGワードなのだろう。
あと「黒人」はNGワードなのに「白人」がNGワードでないことが一番の差別だと思う。

2.バグとチート

CSOの代名詞とも言えるのがこのバグとチートである。
ドストエフスキーが現代に生まれてCSOをプレイしていたら「罪と罰」も「バグとチート」になっていたに違いない。

このゲームのプレイヤーの多くがチートを使用し、ゲームを破壊していた。
高速で走り回り、壁の向こうから頭を打ち抜き、ゲームを破壊する。
中にはゲームの設定自体を変えてしまうプレイヤーもいて、1ラウンド5秒にして即終了させてしまう人もいた。

代表的な事件として、運営がアイドルとCSOをプレイするというニコニコでの生放送があった。
見たことも聞いたこともないアイドルはやりたくもないクソゲーをやらされているが、表面上は楽しく努めようとしていた。
問題はゲームが始まってからである。
運営は一般プレイヤーの参加を募って、視聴者参加型で放送を進行したかったのだろうが、ここにいた多くのプレイヤーがチーターであった。
ゲームが始まるなり理不尽に殺され続けるアイドル。
目にも留まらぬ速さで駆け抜ける味方。
暴言や下ネタのチャット。
アイドルからは徐々に笑顔が消えていき、最後には憎しみだけがそこに残った。

公式はすぐに放送を中止し、そこにいた全てのプレイヤーはの部屋から退去させられた。
自らの杜撰な運営をこれでもかというくらい見せつけたのである。

チーターはどうしようもない。
私達の力ではどうにもならない。
チーターがいない試合が運よくあれば、その試合を楽しもう。

それすらも許されないのがCSOである。

ゾンビサバイバルというモードがあり、プレイヤー同士が協力してボスを倒すというcoopモードがある。
このボス、出てこないことが頻繁にある。
かっこいいボス部屋のエフェクトとBGMが流れる中、一生ボスが現れない。
そう、マップの向こうで地形に引っかかり動けなくなってしまっているのだ。
こうなったらもうどうしようもない。
ただただ流れる禍々しいBGMを聞きながらその空間で一生を過ごすか、ゲームの電源を切るかの二択を迫られる。

チーターがいなくても、ゲームはできないのである。

ただ、このような進行不能バグ以外にはなかなか面白いバグがたくさんある。
CSOとは、数あるバグを網羅し適所で発揮する力を求められるゲームなのである。
バグへの理解がCSOへの理解だ。

肩車と言って、プレイヤーの上にプレイヤーが更に乗ることで、トーテムポールのようになることができる。
このような状態で二人のジャンプのタイミングを合わせると天井を突き抜けて異世界へ行くことができる。
これを駆使してルートを短縮したり、安置へ移動したりなど用途は多岐にわたる。

そしてこの肩車のバグ、公式公認なのである。
マップ内にはこのバグを使用しないと入れないイースターエッグのような部屋があり、ライトゾンビもこれを認めていた。
しかしある日、一転してこれをバグだと主張するようになった。

運営の話は信用してはいけない。
その日の気分で回答が変わる。
サイコロを降って出た目の回答をしているのかもしれない。
ライオンのごきげんようで小堺一機が振っていたサイコロのようなものがネクソンのオフィスにもあるんだろう。

正直、バグについては本当に凄まじい量ある。
バグのゲームなのかゲームのバグなのか判別ができなくなってくるほどだ。
話しだしたら枚挙に暇がないので、個人的に好きなバグを発表したい。

OICWジャンプといって、誰がどういう経緯で発見したのか意味のわからないバグだ。
しかし、実用性はピカイチで、そのギミックの異様さとどこでも使える使いやすさから個人的には大好きだ。
説明しても一切意味がわからないと思うが、一応説明してみる。

OICWという武器があり、爆弾を射出することができる。
この爆弾は自身を含めたプレイヤーを吹き飛ばすのだが、このタイミングでCTRL+変換キーを押すことによって、windowsの辞書登録画面を出すことができる。
そして何故か、その状態だとCSOがフリーズし、他のプレイヤーから見てもその場に停止してしまうのだ。
この辞書フリーズ、エネルギーを蓄積するのである。
時間停止の能力者が止まっている対象を殴って解除するとその瞬間吹っ飛ぶように、OICWの爆風も停止中にエネルギーを保存して解除と同時に吹っ飛ぶのである。
これを利用してマップをショートカットしたり、ボス部屋に侵入したりするのだ。

なんで辞書パッドを開こうとしたのか、見つけた人に聞いてみたい。

3.圧倒的な村社会

CSOはその性質上、まともな人間は存在していない。
プレイしているプレイヤーはもれなく物好きであり、そういったプレイヤーが強烈な村社会を形成している。
暗黙の了解で溢れており、バグを利用したプレイが義務教育となっている。
その為バグを知らず、利用できないプレイヤーはCSOのプレイ資格がないと認定されてしまうのだ。

例えば、ゾンビサバイバルモードでは壁に向かって銃を撃つことで壁の向こうの敵やオブジェクトを攻撃できるポジションがある。
そういったマップでは古参プレイヤーが固まって何もない壁を数分撃ち続ける。
何も知らないプレイヤーがこれを違反すると、古参プレイヤーたちは怒り狂い部屋から追放するのである。

対人戦では一部の明らかに武器としての性能が高い銃を規制しており、どこにも通知していないのにその武器を使うと怒られる。
理不尽極まりないが、それがこのゲームの掟なのだ。
郷に入ったら郷に従うしかないのだ。


運営が管理できていないのだから、代わりにプレイヤーが管理するしかない。
しかし、そのプレイヤーもまた独裁者と化し身内と保身をし合うという共産主義国のような図が出来上がる。
一部のトップランカーたちはクランを立ち上げ、ゲーム内での支配力を強めようと奮闘している。

私がプレイしていた当時、私が所属していたクランも上から2~3番目のトップクランではあったものの他のクランのような異様さはなく寛容であった。
しかし、当時の一位のクランはゲーム内で何故か自分が偉くなったと勘違いし、意味不明なルールを押し付けてくるときもあった。
彼らが私の部屋に来たとき、他のプレイヤーの迷惑になる不正な行動を行っていたために部屋から追放したのだが、ゲーム終了後に彼にチャットで呼び出された。
私は彼のいる部屋にいくと、次々とそのトップクランのメンバーが集まってきて、これからお前のいるゲームをすべて荒らすとかなんとか宣言された。
しかしやはりCSOプレイヤーである。
彼らは一通り鳴き声を発声し終わると部屋を出ていったが、すぐに忘れてしまったのかその後私の部屋を荒らすようなことは一度も起きなかった。

このような人間が蔓延ることもまたこのゲームの楽しさの一つである。

4.名誉

CSOには名誉という名の不名誉が存在する。
トロフィーのようなもので、ゲーム内である一定の条件をクリアすると称号とポイントが貰える。
このポイントを多く集めると表示される称号の色が変わり、一目で関わってはいけない人間だと察知できるようになる運営の気の利いたシステムである。
赤名誉といって、最上級のポイントを集めた人間は称号が赤く表示される。
かくいう私も赤名誉であったが、これはこのクソゲーを全力でやっていますという意思表示にしかならない。
多くの廃人は称号の色を変えるためだけに何千時間も費やすのである。

この名誉のとり方も非常に面白い。
誰もまともに取らない。
バグやチート、放置を駆使して、全力で称号を得るのだ。
そもそも、まともにプレイして取れるように設定されていないとも感じるほど高難易度だ。
実際に正しい手順で赤名誉まで行った人もいるらしいが、正気の沙汰ではない。

プレイヤーを1000体倒す称号なら仲間と固まってひたすら供託して殺し合うのだ。
ゾンビを10000体殺す称号なら、安置でボタンを押しながら放置し範囲攻撃武器で殺戮するのだ。

こうして最適化された美しい不正を共有しあい、赤名誉という不名誉にたどり着く。
しかし、CSOプレイヤーにとっては不名誉こそ名誉なのである。
クソゲーで頂点を取ったという快感を、赤名誉という不名誉を獲得した名誉を感じられなければ続けられない。

5.最後に

こうして全ての品質が低い素晴らしきゲームCSOは、末期の数千人しかいなくなったプレイヤーに看取られて大往生したのである。

ひどいゲームであり、ひどい運営であり、ひどいプレイヤーたちが闊歩しているゲームではあったが、確かにここでしか味わえない妙な楽しさがあった。

きっと、このゲームのプレイヤーたちは文句を言いながらも、ここでしか出来なかった体験が心にあるはずだ。

CSOをプレイしていたという人生の一点は、最高に不名誉で最高に名誉であると感じてほしい。

ちなみに、私がプレイしていたとき、オシリヒエヒエ丸という名前のプレイヤーがいた。
面識はなく、たまにゲーム内で見るだけであったし、彼は常識的で真っ当なプレイヤーであった。
だが、オシリヒエヒエ丸というネーミングセンスは数々のオンラインゲームをやってきた中でも一番いい。
もし見てたら、誇りに思ってくれ。
自分のプレイヤー名をオシリヒエヒエ丸にしようと思ったその精神とセンスを。 

※こんなクソみたいなことあったぞ!という書かれていないことがあったら教えてほしい。薄い思い出で書いているのでかなり抜け落ちている。インターネットという集合知を使ってCSOの悪歴を完成させるのだ。

追記 書くの忘れてた歴史

※チーターによって荒らされたアイドルの生放送、チーターによって公式アカウントが退場させられていた。かわいそう。

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