親子の時間

様々な花が咲き誇り、一気に春めいた今日この頃。進学の為に家を出ていく子供と一緒に過ごせるのもあと僅か。もう2度と会えなくなる訳じゃないのに、ほんのりとした寂しさがある。上の子が家を出ていく時はこんなに寂しかったかなあとぼんやり考える。兄弟の中でも1番甘えっ子なのに、甘えさせてあげられなかったな。あの時、もっと全力で守ってあげれば良かったな。なんて、今となれば全て過去の話。どんなにあの頃に戻りたくても戻れない。だからこそ、その時々に出来る事を精一杯しようと常日頃思っていても、なかなか出来ていない毎日だ。
仕事が休みの日、娘に買い物でも行こうかと誘ってみた。2人でゆっくりどこかに行こうかなと密かに計画してたから。すると、「お母さんと2人で散歩したい」と返事があった。なんて安上がりなと思いながら、花粉症の私はマスクやら何やらで変装に近い防着をまとい、2人で家を出た。
所々、興味がある所へ小走りに走っていく娘の姿はもう何処にもなくて、私に歩幅を合わせて歩いてくれる。たったそれだけの事なのに、いつの間にこんなに成長したんだろうと嬉しく思う。「お母さん、息切れしてきたよ。大丈夫?少し休もうか?」と心配までしてくれる。まだ小さかった頃、散歩の途中で疲れてきて何度も抱っこをせがんできた娘の姿はなく、反対に心配される有様だ。娘の成長を改めて感じてしまう。ゆっくりと娘と歩く散歩は、とても優しい時間を過ごせたように感じた。そして、その散歩の途中、ばったりと娘が小学生だった頃の教頭先生にお会いした。今まで何百人という生徒を見てきただろうに、ちゃんと娘の事も覚えていてくれた。これから短大で資格をとり、子供達と関わる仕事につきたいと話す娘の言葉に目を細めながら、「大変な事も沢山あるだろうけど、いつまでも子供が好きだという気持ちを大切にして下さい」と話された。子供が好きで、もっと言えば人が好きで、人を信じる気持ちがなければ出来ない仕事もあるんだろう。きっと。
いくつになっても、どんなに離れていても「親子」には変わりないのだけど、わかっていても少しだけ感傷的になってしまう今日この頃。あと何日あるかないかの「親子の時間」を大切にしよう。

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