見続ける夢

一時期は、最推しの彼の存在すら自分を追い立てるものに感じられて、苦しくて仕方なかったのですが、今はまた、最高のヒーローと思えるようになりました。
上手くいっているときも、何かに悩んだり失敗したり、つまづいたりしたときも、やはり、彼の姿は私の支えです。

生きている人間とは違って、揺らぐことがないからこそ、心の底から信じられる。でも、揺らがないのに、彼はちゃんと人間らしい。
そこがまた、魅力のひとつ。

変わらない顔でそこにいて、誰よりもまっすぐに立っていて。迷いのない目で、前を見据える彼の姿。
…憧れではあるけれど、私は、彼のようにはなれない。
いいかげん、私にもそれは分かってきました。
でも、なり得ないからこそ憧れるのだし、輝いて見えるのだろう、とも思うのです。

どうして彼が好きなのか、と聞かれても、答えるのは難しい。
外見だけではないし、内面だけでもない。
彼という存在が、私にとって特別なのです。

ファンとも違うし、恋とも違う。
憧れてはいるけれど、本気で彼になりたいわけではない。
強いて言えば、彼のような颯爽とした歩き方ができる人間になりたい、というところでしょうか。
誰にも、何にも縛られず。まっすぐに、軽やかに。
信念はあるのに、悲壮感を感じさせることはなくて。
強くて、しなやかで。
美しくて綺麗な面だけではなくて、ちゃんと人間味も感じられる。
キャラクターとして以上に、人間としての魅力がある。

これは、私だけの夢。
最推しの彼が、どこの世界の誰なのかは、誰かに明かすことはないと思っています。
彼の存在は、私の夢そのもの。
叶わないと知りながら、それでも抱き続ける夢。
一生をかけても叶わない。だからこそ、見続けられるのです。

意思疎通なんていらない。
言葉もいらない。
彼がいるならば、それでいい。
彼の存在が、名前が、概念が、私の心の中にありさえすれば。

ヒーローと呼んではいるけれど、私を迎えに来てくれる白馬の王子様ではないし、助けられたと言えるほどの具体的な何かがあったわけでもないのです。
彼を知ったこと。それが、私にとって特別というだけ。

愛でもない、恋でもない。遠くから見ていられたら、それでいい。
あわよくば目が合ったらいい、くらいには思うけれど、そんなことがなくたって、私は彼を追うのです。
手に入らない、完全な理解も叶わない。それでも、手を伸ばしたくなる。見続けたいと思う。

…いつ見ても、最高にかっこいい背中。
この人以上なんて、きっと存在しない。
最高の人です。


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