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アタランテ 猪を狩る駿足の乙女~ギリシャ神話美少女シリーズ~

 

今回の美少女は俊足で知られる美貌の女狩人・アタランテ。
 孤児として牝熊に育てられたという野性的な美少女で、処女神アルテミスの信奉者でした。
 彼女の名を高めた出来事が「カリュドンの猪狩り」。カリュドンの国を荒らしまわっていた巨大な化け猪を退治するためにギリシャ中の勇士たちが集まったのですが、女性として参加したのは彼女ただ一人でした。そして並みいる男たちが手こずる中で、最初に猪に傷を負わせるという手柄を挙げたのでした。
 このエピソードに因んで、猪とともに描きました。

 まあこれだと猪と仲良く歩いているようにも見えますが、あくまでイメージということで。
 
 カリュドンの猪狩りの一件の後、いろいろ事情があって結婚を拒んでおり、競走で自分に勝った男としか結婚しないと宣言しました。負ければ死が待っているという条件です。
 彼女は人間のなかで誰よりも速い足を持っていたので、それは無理ゲーにしてデスゲームも同然なのですが、それでも挑戦者は後を絶たなかったというのですから、よほど魅力的だったのでしょう。
「たかが女ひとりのために命まで賭けるとは愚か者どもめ……」と鼻で笑っていたヒッポメネスという青年も、彼女の走る姿の美しさを目にしてあっさり前言撤回、自身も恋の虜になってしまいます。
 ということで、「俊足」のイメージから、森を疾走する姿で描きました。

 彼女を諦められないヒッポメネスは、まともに競走しても勝ち目が無いのですが、女神アプロディテの加護を得て、黄金の林檎とともに秘策を授けられます。それは「黄金追い抜かれそうになったら林檎を投げ、彼女がそれを拾っている間に引き離す」というもの。これが功を奏して競走に勝ち、2人は結ばれることになります。
 ドーピングで勝ったようなものなのですが、アタランテもこの結果を受け入れました。彼女の方もヒッポメネスに心動かされていて、競走でもそもそも手加減しようかと迷いがあったようで、原典の『変身物語』には彼女のそんな心情がありありと描かれています。

 ということで「黄金の林檎」も絵には入れたかったのですが、これは無理でした。

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