見出し画像

丘のある風景(丘の写真家)

今日は、北海道上川郡美瑛町 字拓進にある写真館「拓真館」が舞台です。
丘の風景をここまで広めたのは、風景写真家・前田真三の功績が大きいと思います。
写真家を見るとき、写真が巧いだけではなく、着眼点と写真一枚一枚に込めた深奥があります。一見「丘の風景だね…」としか観光客は見てくれないのですが、その一枚の写真を撮るために、何度も同じところに通い、自然が織りなす瞬間を写真家の想像と重ねる。つまり、「想像と創造の合致」がなければ表現できない世界なのです。また、観る人にも、写真家を目指している人にもその奥深い表現の根底が観えないと、その素晴らしさが伝わっていきません。
写真家になるのであれば、そこが見えてこないと技術だけを磨いても人の心を動かす写真は撮れないのです。さらに、個性(individuality)と独創性(Originality)が表現されなければ、その人の写真ではありません。


写真家・前田真三『奥三河』より

前田真三(1922.6.3-1998.11.21)は、1967年「丹渓」を設立し、写真家活動を始め、1971年に富良野・美瑛の丘の風景と出会い、1987年フォトギャラリー「拓真館」を開設しました。

出逢うためには、自分の足で歩き、見つけ出さなければなりません。そして、その光景を咀嚼(そしゃく)し、オリジナリティーとして発表する。そのことを写真から教えてくれる写真家です。

拓真館

拓真館は、無料です。「四季彩の丘」から近いです。20数年ぶりの再会でした。

白樺回廊

拓真館の横には「白樺回廊」があり、ちょっと歩いてみるのもお勧めです。

@Amazonより

20数年前、最初に購入した「丘の四季」日本にもこんな風景があるんだと思いました。すっきりとした構図の中に、奥深さがあり、色彩があります。とても美しい写真集です。

色とりどりの丘は、そこで農業を営んでいる人々の耕作地です。それが、この土地特有の丘のウェーブで、一層ユニークに色彩のパレットになっています。

奥三河

1977年、愛知県東北部の「奥三河」を取材したときの写真集です。こちらは書店で購入しました。エイトバイテン(8×10inchサイズの大型フィルムカメラ)ならではの精緻な描写がメインですが、小型カメラで同じ被写体を撮ったのとは、表現力が違います。フィルムサイズの大きさから、色と濃淡のグラデーションの深さが違います。
私もかつてシノゴ(4×5inchサイズの大型フィルムカメラ)を山で使っていましたが、エイトバイテンはその4倍もあります。

大型カメラで写真を撮るということは、しっかりと被写体を見つめ、画面構成を的確にし、露出を写真家の想うようにすることに他なりません。

TAKUSHINKAN


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?