【大奥第一話】今日の舘様ポイント！

第一話での宮舘涼太さん(以下、舘様)演じる松平定信の登場場面はそう多くはなかった。
それでも高貴な重さを纏った身のこなしは、ドラマの中に確かな存在感を与えている。

舘様演じる松平定信。今回の将軍徳川家治のライバルとされ、物語の中心人物にとっては厄介な役どころとなりそうだ。しかしながら、御台所として嫁いできた倫子に話しかける声色や表情は、柔らかく穏やかであった。倫子も親しげに近づいているようにも見え、束の間気を抜いたそのとき、定信の言葉は突然不穏な雰囲気を纏う。倫子を案じ、忠告しているようにも見えるが、脅かし怯えさせているようにも見える。

大奥と聞けば、上様の妻の座を狙い、女たちが醜いまでに争うという印象が強い。しかし、それは世の中にとってはほんの一部。実際は男たちの壮絶な権力争いが繰り広げられる。互いに互いを騙し、誰も信じられず、今日の味方は明日の敵。そんな恐ろしい男たちの争いの気配を一瞬にしてドラマの中に落として去る。定信の台詞は、限られたものでありながら、倫子に不安を残し、世の中の闇を視聴者に伝え、気の休まらない日々へと導いた。