叔母はいつも納戸から顔を出す
30年前の話
祖父母の家には
県外に嫁いだ叔母が年に数回、帰省してきていた
私は叔母が大好き
叔母に会うために祖父母の家に行く
声をかけると、叔母は納戸から顔を出す
いつだって納戸にいた
納戸に一体何があったんだろう?
宝箱は一度も出てこなかった
子どもの時には納戸でかくれんぼをしていた
折り畳まれた布団の隙間が格好の隠れ場所
今はもう納戸に入ることはない
祖父母が亡くなった後リフォームされ
祖父母宅は代替りし、近所に住む叔父が第二の家として人を出迎える
今も叔母は年に数回、帰省する
玄関を開けるとすぐに叔母の姿が見える
もう納戸から出てくることはない
あれは生前整理だったんだ
今になってわかる、叔母の気持ち
実家に帰るといつも掃除をしている私
実家には納戸はないけれど
叔母と同じことをしている私がいる
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