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逃げるに如かず

1996年6月23日(日)
まだ10代なのに彼の歴史は迫害者とのたたかいの明け暮れだ。
此の国の人を母として彼の国の人を父として彼は生まれた。
彼を迫害する者たちが迫害する根拠としているのは、この若者の血管に流れている血液は「正しくない」という信念だ。謎の信念に基づき「正義」を遂行している迫害者たちは内省を斥ける。

迷彩に身を包んだ若者は、血の気のない削いだような頬を動かさずに言った。
「ぼくは逃げません。いまの子は嫌なことからすぐ逃げますけど、ぼくは絶対逃げません」

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