「WHERE ARE YOU NOW」佐野元春@2022.04.09三郷公演

ネタバレが含まれています。
これからコンサートに参加される方は、お気をつけ下さい。

************

佐野元春が、本気でぶち上げてきた!

3年ぶりのホールツアー「Where Are You Now」が4/9 三郷市文化会館からスタート。
初夏を思わせるような気持ちのよい日だった。

ツアータイトルと同名タイトル曲であるスゥイートなソウルナンバーが流れる中、コヨーテバンドの面々が現れ、飛び出したのは「彼女はデリケート」!!

声に出来ない歓声。
恐らくは会場の大部分が、新譜からの1曲を想像していたと思うが、それは鮮やかに裏切られた。
履き慣れたジーンズのように、身体に馴染んだメロディに会場は早くもヒートアップする。
そこから数曲、ナイアガラトライアングルvol.2と「SOMEDAY」からの選曲が続くが、若き日の佐野元春がいかに才能溢れていたか、あらためて驚愕した。

人々は不寛容になり、この国は真ん中から腐りかけている。世界を見渡しても、目を覆いたくなるような悲惨なニュースばかりが届いて、気持ちがふさぎ込んでしまう。
ステージに立つ佐野元春もまた、私と同じように、否、私以上に世界を憂いている。
全ては、愛が足りないのだ。
だがしかし、彼は諦めてはいない。
こんな時代だからこそ、光を。希望を。そして、平和を。
この日演奏されたcoyote bandでの曲の数々はひとつ前の時代に発表されたものがほとんどだが、災禍に見舞われたこの時代を預言したような言葉のなんと多いことか。
「ポーラスタア」だったと記憶するが(間違えていたらごめんなさい)ウクライナカラーの照明に、私は救われた気持ちになった。

深沼、藤田両氏のギターはアグレッシブで、まるで先輩に誘われて、バンドを始めた高校生がガレージでギターをかき鳴らしているような、疾走感とみずみずしさを感じる。
ときに、佐野さんがセンターを外れ、ギターの2人が向かい合ってのバトルをするなど、猛烈にカッコいい!

近未来的な光線が印象的だった「銀の月」、渡辺シュンスケさんのキーボードと、間奏では高桑さんのベースと小松さんのドラムのソロが挟まれて、この夜のハイライトともいえる盛り上がりだったが、オープニングからラストまで、客席のパワーは本当に半端ではなかった。

佐野さんはバンド指向のミュージシャンだと思うが、歴代のバンドと比べてもcoyote bandのポテンシャルは非常に高いと感じるし、バンドとして叩き出してくる音の塊にワクワクが止まらない。
コンサート中、ずっと「ああ、楽しい!」と、この日のコンサートに参加出来た喜びを噛み締めて、そしてぽろぽろと泣いた。

飛び上がってしまいそうなほど身体に響いた「サムデイ」の一発入魂のドラム、そして続いた「ニュー・エイジ」
星の世界では、風の時代の到来と言われて久しいが、この先を照らす光として、佐野元春から「真に美しく善なる人生を歩むように」と示されたような気がした。

コロナ禍もはや3年、エンタテイメント界においては、演る側も観る側も我慢を強いられてきて、ようやくフルハウスのホールツアーが始まったという、特殊な状況を鑑みても、三郷の夜は素晴らしく、一夜の夢が終わった今も多幸感に包まれている。
人生の第3コーナーを回ってから、まさかこんなふうにノックアウトされるとは。
こんな気持ちに揺れてしまうのは、佐野さん、間違いなく君のせいなんだぜ!

#佐野元春
#coyoteband
#whereareyounow
#音楽
#ライブレビュー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?