”気分に合わせる”缶コーヒーは何が違う? 味分析結果を比較する。

みなさん朝に飲むのは牛乳ですか? それともお茶? 眠たい頭にコーヒーを流し込み出かける人も多いのではないでしょうか。

今回はそんなコーヒーについて、とりわけ缶コーヒーを深掘りしていきます! 朝に目覚ましのブラック缶コーヒー、昼ご飯の後に缶コーヒーで一服、いろんなシーンで活躍し、多くの人に親しまれる缶コーヒーに注目です!

5分で気分を変える? 缶コーヒーの魅力

コンビニ、スーパー、道端の自動販売機などなど、どこにでもすぐに手に入る「缶コーヒー」。短時間で気分転換ができることも大きな魅力です。

缶コーヒーはその小さいサイズゆえに短時間で飲むことができ、パッと次の作業に向けて気持ちを切り替えることができる特徴を持ちます。仕事の休憩には缶コーヒーというイメージがありますが、まさに仕事が行き詰まったとき、少し疲れがたまってきたとき、「缶コーヒー」は小さな癒しをもたらしてくれるものなのでしょう。

大容量のペットボトルコーヒー飲料が登場し、長時間かけてちびちびコーヒーを飲むスタイルも確立されました。コーヒーの飲み方が多様化し、個人が自分の飲みたいようにコーヒーを楽しむ時代。シーンに合わせてコーヒーを選ぶ、多様な選択肢も今では当たり前に感じられるのではないでしょうか。

2021年に発売されたアサヒ飲料「ワンダ X-BITTER」とサントリー「BOSS 5ミニッツコーヒー」は、いずれも「短時間での気分の切り替え」がコンセプトになっています。しかし同じコンセプトを持った2商品のターゲットは異なり、ワンダはクールなデザインで容量も多く、ブラックコーヒーの苦みを強調しているのに対して、BOSSは柔らかく明るいデザインになっており、ミルクを加えた味わいも“軽やかな気分になれる”と謳っています。*1

*1 サントリー食品 ニュースリリースより
https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF0932.html

このように「短時間での気分の切り替え」という缶コーヒーの魅力を前面に打ち出しながらも、消費者のニーズを細かく区切り、それぞれに合わせた新商品が生み出されています。
飲む場面・ターゲットを明確にした缶コーヒーに着目し、味わいを調査していきます!

実験概要 2020年3月調査
ブラック缶コーヒー18品(キリン「ファイア ブラック 目覚めの深煎り」、アサヒ飲料「ワンダ X-BITTER」を含む)
ミルク入り缶コーヒー24品(アサヒ飲料「ワンダ デミタス 食後の一服」「ワンダ モーニングショット」、UCC「BEANS & ROASTERS 朝のラテ」、サントリー「BOSS 5ミニッツコーヒー」を含む)

“シーン特化型”缶コーヒーの味わいを詳しく見てみよう!

まずはブラックコーヒーを見ていきましょう! 強い苦みによって眠気を吹き飛ばすブラックコーヒーは習慣的に飲んでいる人も多いのではないでしょうか。ブラックコーヒーの中でも味わいによって飲むシーンは変わってくるのでしょうか?

今回は「ワンダ X-BITTER」と「ファイア ブラック 目覚めの深煎り」に注目しながらブラックコーヒーの平均値と味わいを比較してみました!

コーヒー1

ブラック缶コーヒー18品の平均値を基準(ゼロ)として、酸味と苦みのバランスを示しました。

「ファイア ブラック 目覚めの深煎り」は酸味が強く、キレのある味わいが特徴的です。すっきりした味は目覚めの一杯に向いているのではないでしょうか!
「ワンダ X-BITTER」は酸味・苦みともに強い味わいが特徴です! さらに容量も245gと多く、より気分の切り替えニーズに特化した商品を目指したそうです。

容量は、昨今のRTDコーヒー市場を取り巻く大容量化・コストパフォーマンス重視の流れや気分の切り替えには容量が多い方が良いという調査結果があり、通常の185gよりも増量し245gとしました。
(アサヒ飲料 ニュースリリースより)
https://www.asahiinryo.co.jp/company/newsrelease/2020/pick_0203.html

同じブラックコーヒーですが、「朝の一杯に」「気分の切り替えに」とシーンやニーズの違いに合わせて味わいに差があることがわかりました。

ミルク入り缶コーヒーにも差はある?

ミルク入り缶コーヒーも味のバランスを見ていきましょう。
ミルクが入ることでまろやかになると予想されますが、それぞれどのような味のバランスを実現しているのでしょうか?

分析した24品のうち、アサヒ飲料「ワンダ デミタス 食後の一服」「ワンダ モーニングショット」、UCC「BEANS & ROASTERS 朝のラテ」、サントリー「BOSS 5ミニッツコーヒー」の“シーン特化型”缶コーヒーを見てみます。

コーヒー2

まず、「BOSS 5ミニッツコーヒー」と「ワンダ デミタス 食後の一服」を比較します。

「BOSS 5ミニッツコーヒー」は焙煎感やまろやかさが控えめな穏やかな味わいで、少しほろ苦い優しい味バランスになっています。
それと比較して「ワンダ デミタス 食後の一服」は酸味・苦味がともに強く、苦味の余韻もあります。食後の気分を切り替えるコンセプトのため、ブラックコーヒー同様に酸味と苦味のインパクトが大きいようです。

気分を切り替えるためには、酸味と苦味のインパクトが重要なのかもしれませんね。

コーヒー3

続いて、“シーン特化型”缶コーヒーの先駆けである「ワンダ モーニングショット」と「BEANS & ROASTERS 朝のラテ」の味バランスをグラフに示しました。

「ワンダ モーニングショット」は酸味と苦味が強く、先ほどの「BOSS 5ミニッツコーヒー」、「ワンダ デミタス 食後の一服」とも似たバランスになっています。
これに対して、「BEANS & ROASTERS 朝のラテ」は焙煎感やまろやかさが控えめで、酸味が際立つような味わいでした。ラテ系の中でも豆の個性が感じられる味わいと考えられます。

これからの缶コーヒーとは?

ペットボトルコーヒーやコンビニコーヒーの台頭によって、コーヒー飲料の競争は激しくなっています。これからの缶コーヒーは手軽さを生かした”ちょっとした隙間のシーン開拓”が進んでいくのではないでしょうか。

味だけでなく、”楽しむ場面”や”飲むスタイル”でも選べるように変化してきたコーヒー。新たなトレンドが生まれるコーヒーから今後も目が離せません!



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