圧倒的にパフォーマンスと成長角度が変わるたったひとつの冴えた考え方

1. 導入

「私はその人を常に先生と呼んでいた。」(『こころ』/夏目漱石)

 NPO法人en-courageの活動において、『先生』と呼ぶべき人を見つけるのは非常に困難だ。「就活を終わった学生が運営する」という性質上、活動を始める頃には先輩たちは卒業して就職している。社会人マネージャーの方々も取り組む仕事が違いすぎる。目指すべきものを見つけるのは意外と難しい。

 そんな後輩たち、特に重い責任を負って深い霧の中で足掻くリーダーたちのために、少しでもためになる資料が残せたら、と思いこのnoteを書くにいたった。
 テーマは「圧倒的にパフォーマンスと成長角度が変わるたったひとつの冴えた考え方」。en-courageでの活動に限らず、あらゆるところで活きるマインドセットについて語ろうと思う。

 そもそもen-courageとはなんなのか?と思っている方もいるだろう。私の友人がnoteでわかりやすく解説していたので、ここに載せておく。

『日本一のキャリア支援団体en-courageで僕が学んだこと』|たたた @katata_kota

今更だが、私、たすくはen-courage神戸大学支部副支部長、そして本部のメンバーを務めていた20卒メンターだ。神戸大学支部では組織設計・運用と中間リーダー陣のマネジメント、主要KPIに対する戦略立案と施策のマネジメント等を担当していた。神戸大学支部は年間KPIを全国最速、1月末期日のところ11月に達成するという快挙を成し遂げた支部だ。本部では『ちょっと外部の人には言えないプロジェクト』を担当していた。


2.まず、プロフェッショナルマインドを持て


 私が伝えたいのはただひとつ、スキル云々を語る前に、まずプロフェッショナルマインドを持てということである。
 プロフェッショナルマインドの内訳は後で説明しよう。一旦簡単にいうと、「目標を明確に持つこと」と「その達成にフルコミットすること」である。

 その前に、皆さんが疑問に思っていることがあると思う。
「え?ロジカルシンキングとかマーケティングのフレームとかじゃなくて、精神論の話?」
 論理的思考力やマネジメントスキル、ビジネスリテラシー、コミュニケーション力…様々な能力の中で、なぜこれを一番に意識すべきなのか。

 その答えは二つ。
「スタンスが上がれば、スキルの習得効率が上がるから」。そして、「スタンスが上がれば、スキルを十全に発揮できるようになるから」だ。

もちろん、課題を解決し目標を達成するためにスキルはスタンスと同じくらい重要だ。だからこそ、僕はスキルの身につけ方、「より成長角度を上げる方法」を一番大事なものとして紹介したい。
 そんなスキルの習得の効率と発揮の仕方が、スタンスの持ちようで段違いに変わってくるのだ。

 スキルを身につけるには、以下の三つの要素がある。


① インプット量
② インプット効率
③ 定着率


この一つ一つに、プロフェッショナルマインドが強く寄与するのだ。

① インプット量
 これは想像に難くないだろう。成果や成長への意欲が高ければ、本を読んだり人の話を聞いたり…と、能力を身につけるための努力量が増える。努力の動機付けが強まることで、努力量が増加する。

② インプット効率
 インプット効率が上がるのには二つの理由がある。
 一つめは、方向性の明確化だ。達成すべき目標を決め、どう達成するかを考えれば、今の自分に足りないものが明確になる。漫然と様々な情報をインプットするのではなく、目標達成のために必要な力を絞り込んでインプットすることで、成長角度が上がる。
 もう一つは、インプット時の集中力の向上である。①の動機の強化とほぼ同じ理屈だ。同じセミナーを聞いても、やる気がある人とやる気がない人では身に付く情報量は雲泥の差だ。

③ 定着率
 インプットしただけでは真に「スキルを身につけた」とは言えない。自分の頭に定着させ、必要なタイミングで使えるようになって初めて自分のスキルとして身につけたと言える。
 プロフェッショナルは、今の自分にできないことにも果敢に挑戦する。目標達成にコミットすることで「今できないから」を言い訳にせず、「じゃあ、できるようになろう」と考えるからだ。積極的にアウトプットすることで、インプットした知識を自分のスキルとして身につけることができる。

 そして、スキルを十全に発揮するためにはそもそも「課題に立ち向かう意思」が必要だ。困難に直面するとすぐ諦める、すぐ逃げる、人任せにする…これではどれだけスキルが高くても宝の持ち腐れである。
 スキルは身につけるだけでなく、実際に使って初めて価値を持つ。困難な課題に粘り強く取り組む中で初めて十全に発揮されるものなのだ。

 以上の理由で、成長や成果を志す次世代リーダーたちはまず『プロフェッショナルマインド』を持つべきなのだ。


3.『プロフェッショナルマインド』とは?


僕が神戸大学支部副支部長、そして本部メンバーとして活動する中で意識していたのは三つ。

① リーダーシップ…目標を達成するという強いコミットメント
② 目的合理性…達成に向けて最善の選択をする
③ Must起点…「できる」ではなく「やるべき」を軸にする

だ。

① リーダーシップ
 リーダーシップといえば、世間一般には「人を巻き込む力」や「人望」だと思われているだろう。だが、それは正解ではない。
 リーダーシップとは、「目標を必ず達成するというコミットメント」のことだ。何が何でも目標を達成する、という熱量と執着、それこそがリーダーシップの本質なのである。

(備考)昨今、人を巻き込む力や人望がリーダーシップと思われがちなのは、リーダーは一人では解決できない課題に取り組んでいるからだ。達成するために人を巻き込む、動かす必要がある場合が非常に多いから、その力が重要視され、リーダーシップと同一視されているのだと僕は考える。

 「必ず達成する」というのは、文字で書くほど簡単なことではない。大抵の人は、課題や困難が生じたら諦める。あるいはできない理由を探す。そんな中でも、時に泥臭く、時に賢く、時に強く目標に向かって突き進む力だ。
 「ポジティブシンキング」とも言える。マイナスの状況でも「じゃあ、どうしようか」と考え、実行することだ。

 これだけの単純なことだが、単純だからこそ身につけるのは難しい。リーダーシップを身につけるためにもっとも意識すべきことは、「言い訳しないこと」だ。

 「だって」、「でも」、「けど」で主張を始めていないか、一度注意してみよう。どんな事情があっても、達成できない理由にはならない。

「体調最悪でも、2日寝てなくても、友達に裏切られても、女にフラれても」
「その中で歯食いしばってひねり出した仕事がお前の実力の全てだ」
(漫画『左ききのエレン』より)

② 目的合理性
 目的合理性は、リーダーシップを支える大事な価値基準だ。多くの人は、自分のエゴや甘えに囚われる。

 「めんどくさい」「嫌われたくない」「いい人だと思われたい」「優秀だと思われたい」「頑張ってると思われたくない」etc…

 目的と関係ない様々な要素に悩まされ、達成のために最善の行動を取れないリーダーを数多く見てきた。


 上記に羅列したような目的に関係ない要素は、言うなれば「私情」だ。リーダーとして果たすべき責任があるのに私情を挟むのは、プロフェッショナルとしてはイケてないだろう。
 達成のために最善の選択なのか?フラットな目線で見つめ直し続けよう。

③ Must起点
 多くの人がしがちなイケてない考え方として、「Can=『できること』」を起点に何をするか決めるというものがある。

 「Must=『必要なこと』」を起点に何をするか考える。その中に自分にできないことがあれば、どうやってそれをやるか、という風に思考をシフトする。できる人に頼む、自分でできるようになる…じゃあどうやってできるようになろうか、という具合だ。

 自分にできること、得意なことをやっているうちは成長はない。成長がなければ、今の自分でも達成できる簡単な目標しか届かなくなる。

 Must起点で考えれば、必ず自分にできないことが間に立ちふさがってくる。それを乗り越えるか、「できることだけやろう」となるかが、プロフェッショナルとそうでない人の違いだ。


4.まとめ


 このマインドを持って仕事をすると、目に見える景色が変わる。思考力や巻き込み力、事務処理能力などのスキルが低いことに悩む人は多いと思うが、そもそもスキル以前の話でパフォーマンスが大きく変わることに気づいていただけるだろう。

 さらに、長期的に「目標を達成しなければならない」という責任の重さがそのまま成長の動機にもなる。達成意識が上がれば、自ずと「どう達成するか」を深く考えるようになる。すると、今の自分にはこれができないが、後期までにはできるようになってないとヤバい、そういう思考ができるようになる。切迫感・焦燥感という強い動機と明確な方向性を持ってインプットすることで、スキルを身につける効率も上がる。

 「プロフェッショナルマインド」があるかどうかでこれからの成長角度が変わってくる。en-courageでの活動から得られるものが何倍も変わってくるのだ。折角の貴重な体験からはできるだけ多くのことを学んで欲しいと思う。

 名前も顔も知らない8期の後輩たちが、7期を大きく上回る成果を出すことを心より祈っている。

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