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読書録013:科学的な適職

読書録013です。サイエンスライター、鈴木 祐氏の「科学的な適職」です。余談ですが、名前の漢字が一緒で親近感を勝手に持っています。笑

基本的な想定読者は「どのようにキャリアを築いていけばよいのだろうか」と悩んでいるビジネスパーソンでしょう。ただ、ぼくがこちらを読んだ背景は少し違います。

今後、「ここで働けて良かった!幸せだ!」とみんなに思ってもらえるような組織にすることはぼくにとってとても重要です。お客さまに素晴らしいサービスを届けるのは当然ですが、それはメンバーのみんながまず「この会社/仕事、いいよね」と思うことが重要です。そう思えていないのに、お客様にいいサービスを届け続けることは難しいですよね。

そのため、「適職」の基準を明確に理解し、それを実現しやすい組織にするヒントを得たいなと思い、こちらの本を手に取りました。

本書からの抜粋

  • 「情熱は自分の中に眠っている」と考えていれば、少し気に食わない作業なだけでも「これは違う、自分には合わない」と思いやすくなり、そのぶんだけ簡単に心が折れてしまいます。他方で「情熱は自ら生み出すものだ」と考えていれば、最初のうちは困難に思えた作業に対しても「もう少し続ければ別の可能性が見えるかもしれない…」のような感覚がわき、ちょっとのトラブルにも負けずに取り組むでしょう。「やってたら楽しくなってきた」というのは受け身な態度のようにも思えますが、実際は、天職との出会いを待っている人のほうがよほど消極的だと言えるでしょう。

  • 組織内のランクが高い人ほど幸福なのは、ランクが低い人よりもストレスの張りを調整しやすいからです。当然ながら、会社で上の地位に就く人ほど仕事の裁量権が増え、作業を自由にコントロールできるようになるでしょう。仕事が難しいと思っても、概ね自分の好きなペースで行えますし、無理をして嫌な人と付き合わねばならないリスクも減るはずです。ところが、地位が低い人は好きなように締め切りを動かせず、仕事の内容を自分で選ぶわけにもいきません。コントロールの範囲が狭いぶんだけストレスも調整できず、結果として幸福度は下がります。「昇進」といえばまずは給料アップのメリットが頭に浮かびますが、実際にあなたの幸福度を左右するのは裁量権のようです。

  • 「仕事の幸福度を決める7つの徳目」とは次のようなものです。「①自由:その仕事に裁量権はあるか?」「②達成:前に進んでいる感覚は得られるか?」「③焦点:自分のモチベーションタイプに合っているか?」「④明確:なすべきことやビジョン、評価軸はハッキリしているか?」「⑤多様:作業の内容にバリエーションはあるか?」「⑥仲間:組織内に助けてくれる友人はいるか?」「⑦貢献:どれだけ世の中の役に立つか?」

  • これらの要素を満たさない仕事は、どれだけ子供のころから夢に見た職業だろうが、誰からもあこがれられる業種だろうが、最終的な幸福度は上がりません。逆に言えば、これらの要素がそろった仕事であれば、どんなに世間的には評価が低い仕事でも幸せに暮らすことができるわけです。

  • 結論から言えば、私たちに悪影響をおよぼす職場の特徴は、2つに大別されます。「①時間の乱れ」「②職務の乱れ」。「時間の乱れ」は、働く時間の混乱が原因で健康リスクが増大するパターンです。やたらと労働時間が長かったり、出勤時間がコロコロ変わったり、プライベートを過ごす時間がなかったりと、労働のタイミングに問題がある状態を指します。もうひとつの「職務の乱れ」は、仕事や報酬の内容に一貫性がないせいで体を崩すパターンのこと。タスクの内容がバラバラだったり、賃金の支払い基準が不公平だったりと、労働の内容にストレスを感じてしまうような状況です。これらの条件を満たす職場で働く人は肺がんや胃がんなどの発症率が上がり、うつ病や不安障害に苦しみやすく、通院の期間も長くなり、最終的には早死にする傾向があります。

  • 無計画のまま享楽的に生きるのではなく、かといって適職の幻を追い続けるのでもなく、目の前の選択肢についてしっかりと考えたら、あとは人生の流れに身を任せる。これがキャリア選択における「人事を尽くして天命を待つ」の正しい姿です。

感想など

よくありがちな転職理由を「7つの大罪」としてぶった切り、本来重視すべき要素を「7つの徳目」としてフィーチャーする構成は非常にわかりやすかったです。また、この7つの徳目は、自身の経験に即して考えても非常に納得できるものでした。いくら給料が高かったり、ワークライフバランスがとれていたとしても、自由度や達成感がない仕事を続けるというのはなかなか難しいんですよね。。

チーム全体として、この徳目を感じやすくするにはどうすべきなのだろう?というのは、ミドルマネージャーを含めてみんなで考えてみてもいいのかなと感じました。すべてを明確なルールに落とし込むことは難しいかもしれませんが、このような議論をオープンに実施すること自体が、徳目を達成しやすい組織にする第一歩なのかもしれませんね。

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