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読書録010:社長のための時間の使い方

読書録010です。マーケティングコンサルタント、ダン・ケネディ氏の「社長のための時間の使い方」です。

ぼくは、アクセンチュアでの最初のプロジェクトでタスク管理ができな過ぎ、パニックに陥ってしまっていました。ただ、それ以降はその失敗経験を活かし、時間の使い方やタスク管理についてはしっかり勉強と実践を繰り返し、ほぼ困ることはなくなっていました。

しかしながら、「社長」という立場になると、今までのタスク管理やスケジュール管理のノウハウをそのまま適用できないことを痛感しました。より「成果に紐づいた時間の使い方」をすることで、一気に会社全体の生産性をあげられそうな感覚もありました。そのために先人の知恵をお借りしたく、この本を手に取りました。

本書からの抜粋

  • 社長とは、自然と身に付いた習慣や、多くの場合染みついた衝動によって、いやもしかしたら生まれつきなのかもしれないが、問題解決者であり登山家なのだ。だが、すべての問題を解決する必要はないし、解決しようと思うべきでもない。目の前に現れたすべての山を征服する必要はないのである。

  • 会議に参加するのは"魅力的"だし、重要人物になったような気にもなれる。それに、会議に出ることは、意思決定を行う責任から目をそらすのに優れた方法でもある。"会議熱"は、ビジネスを非生産的で何も決定しない、緩慢な茶飲み会にしてしまう病気なのだ(私の知る最も厳格な2人のCEOは、椅子を使わない「スタンディング会議」しか行わない)。

  • 平均的な企業経営者は8分ごとに仕事を中断させられている。こう主張する論文を読んだ私は、1日中オフィスで過ごす3人のクライアントに、ある1日、どれくらいの感覚で仕事を邪魔されるか測ってもらった。1人の結果はやや良くて平均10分ごと。残る2人は6分。そのうちの1人は、「うわぁ、ストップウォッチじゃなきゃダメだよ」とこぼしていた。

  • 知り合いの別の企業経営者は、スタッフに自分を頼るのをやめさせ、自分自身も常にオフィスにいてあらゆることに首を突っ込み、終わった仕事についてみんなにあれこれ言うのをやめた。彼にとってはショックであり驚きでもあったのだが、それで万事順調なのである。組織の何人かは突然の状況の変化にもうまく対応することができた。何人かは適応することができず、解雇された。全般的に、売り上げおよび収益はアップしている。

  • 他者から自然と尊敬を受けられるようになれば、人生にとって極めて大きな武器を得たことになる。そしてそうした強みは、自己鍛錬から得られる。他者に対し(どちらかといえばひそかに)優越感を抱くことは、力を生み出すもう1つの強みである。その強みの元もやはり、自己鍛錬だ。自分を厳しく律する人は、欲しいものを手に入れるために誰かに銃を突きつける必要はない。人々はその人の強さを「感じ取り」、持てるすべてを喜んでその人に与えるのだ。

  • 社長にとっては自分自身がボスであり、自分の時間を好きなように使えるので、自己鍛錬は極めて重要なのである。だらしなくて馴れ馴れしい、見境なく何に対しても寛大なボスを持つ社長は、絶対に大きなことを成し遂げられない。人よりも秀でるのは、厳しい師をボスに持つ社長だ。

  • より多くの人々の生産性がもっともっと向上しない本当の理由はただ1つ、その人たちに生産性を向上させずにいられない理由がないことである。個人としての生産性を高めるための秘訣とは、生産性を上げたいと思うほどのもっと良い理由を見つけることなのだ。そのためには、あなたのするあらゆること(およびしないと選択したこと)を目標に結びつけるために努力しなければならない。

  • カレンダーを目の前に広げて、できる限り多くの自分の時間を、できるだけ前から、事前に何かに割り当てる、つまり埋めるのだ - 鉛筆でうっすらと書くのではダメだ。岩にしっかりと刻むくらいの気持ちでやろう。そうすれば、何にも割り当てられない自由な時間は少ししかなくなるはずだ。さらに、あなたが重要で価値の高い自分の役割を果たすための時間を確保しておけば、他の人があなたにとって最も重要で価値の高い活動をリストの1番目から10番目に下げろと要求してきても、そのたびに何度も身を守ることができる。

  • 理想を言えば、1日のスケジュールは最初から最後まで30分刻みで立てるべきである。ちなみに今は、「スケジュール」ではなく「スクリプト」という言葉を使っている。多くの日の予定が"1分ごとに"前もって説明され、やるべきことも事前に決まっている、という意味だ。私と同じようにプロジェクト単位で仕事をしているなら、必要な時間を推定し、時間や期限に追われて仕事をすることが重要だ。どんなタスクも、どれくらいの時間がかかるかを事前に判断し、完了日を決めておけば、より迅速かつ効率的に完了できる。その結果、やはり無計画な活動が最小限になる。

  • 人はプレッシャーから逃げ、プレッシャーを避けるべきだと一般には考えられている。だが、私はその逆だと思う。何かを果たすのに自分により大きなプレッシャーをかけるほど、より高い成果が上げられる。そしてそれぞれのタスクの遂行または達成に必要な時間が短くなり、他のいろいろな問題に対処する時間ができる。あなたの意識と潜在意識の両方は、今求めているレベルよりはるかに高い能力を持っており、意識と潜在意識、そしてあなたは、強力な締め切りのプレッシャーの下で成長することを自然と身に付けられる。

  • 人に任せられる仕事はたくさん、たくさんある。任せた相手が自分と同じやり方をしなくても、自分ほど完璧にできなくても、結果は変わらないはずだ。そういうことは1つ残らず誰かに託した方がいい。いや、託さなければならない。もっと価値のある新しいタスクや責任のための余力を得るには、責任やタスクの一部を排除しなければ前に進めない。

  • 身の回りにシンプルな計算機があればそれを手に取り、眺めてみよう。「クリア」ボタンを押すか、「メモリー」ボタンを押して、その数字を記憶させるかして完全に1つの問題を片づけなければ、計算機を使って次の計算をすることはできない。人間の行動を研究していく中でマルツ博士は、私たちは得てして、「クリア」ボタンを押さないで、頭でいくつかの問題を同時に処理しようとすることがあまりにも多いと気が付いた。最大の個人的生産性を達成するためには、メンタル・パワーを1度に1つのことに、目の前の問題に対して100%向けられるようにすることだ。他のことを考えるのをやめ、いったん棚上げし、目の前から排除することを人並み外れて容易にできるようになる必要がある。

感想など

めっちゃよい本でした。

おそらく少し前の自分が読んでも、「ふーん」で終わっていたような気がします。実際に社長として何をなすべきか、どのように時間を使うべきか…と真剣に悩んでいたからこそ、彼の辛辣な言葉をしっかりと受け止められたような気がしています。

「神は細部に宿る」という言葉がありますが、特にサービス開始当初は細かいところも非常に気になり、自ら改善を主導したくなってしまいます。しかし、すぐに改善がみられる細かいことばかりやっていると、大きなプロジェクトを進めたり、今の10倍の規模にするための戦略策定等に時間が使えなくなってしまうのです。

また、ぼくの場合は本国に上司がいますが、細かく日々のスケジュールやタスクを管理されるわけではありません。PL責任を持っているのはぼくですし、時間の使い方も基本的に自由です。そのような状況の中で、「本当に価値があるもののみに時間を使う」「ほぼすべてのことは他の人にお任せする」「自己鍛錬を欠かさず実施することで、尊敬を集める」などはより強く意識していかないとダメだなと痛感しました。

早速具体的な行動にも移せていて、非常に費用対効果が高い本でした。とてもおすすめです。


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