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読書録017:1位思考

読書録017です。アンカー・ジャパン株式会社代表取締役CEO、猿渡 歩さんの「1位思考」です。

1位思考のページより、猿渡さんのプロフィールを抜粋します。

アンカー・ジャパン株式会社代表取締役CEO。
アンカーストア株式会社代表取締役CEO、EAコンサルティング合同会社CEO、他数社の社外取締役や顧問も務める。
Deloitteにてコンサルティング業務やIPO支援に従事後、PEファンド日本産業パートナーズにてプライベート・エクイティ投資業務に携わる。アンカーの日本事業部門創設より参画し、同部門を統括。参入したほぼすべての製品カテゴリーでオンラインシェア1位を実現するとともに、創業9年目で売上300億円を達成。

出典:Amazon

コンサルタント→PEファンド→外資系企業の日本法人立ち上げ&経営、というキャリアを歩まれており、とても素晴らしい実績を残されています。また、以下の日経新聞の記事だと2021年4月12日時点で34歳だったとのことなので、この記事を書いている2022年12月13日時点では35-6歳でしょうか。

この本を読ませていただいた理由は、内容に惹かれたことに加えて、「自分のキャリアと若干被っている」「年齢が非常に近い(猿渡さんが1-2歳年上)」というところにもあります。

ぼくは、コンサルタント→経営企画→外資系企業の日本法人立ち上げ&経営、というキャリアです。ぼくは猿渡さんと違ってPEファンド経験はありませんが、コンサルタントからキャリアをスタートしたこと、現在外資系企業の日本法人経営者をしている、というところは同じです。

外資系企業の日本法人経営者で、年齢が近く、ここまで圧倒的な結果を出されている方はあまり見たことがありません。どのような思いを持ち、どんなチャレンジを経てここまでに至ったのか、ぜひとも学ばせていただきたいと思い、手に取らせていただきました。年間売上300億円って本当にハンパない。

本書からの抜粋

  • 仕事で私が一番大切にしているのは、「全体最適の習慣」だ。個人よりもチーム、チームよりも会社全体を考えようと日頃からメンバーに伝えている。

  • 自分や自分の部署さえよければいいという「部分最適」が広がると、組織は弱くなる。あなたの個人としての成長も止まってしまう。

  • 全体最適の習慣が身につくと、経営者の視座・視野・視点が手に入り、成長が加速する。一見遠回りに見えるが、全体最適の習慣を身につけることが、個人の成長でも1位になるための最善手だ。

  • つまり後発で1位になるには、レッドオーシャンでも差別化できる強みがあるかどうか、それを常にお客様目線でやりきれるかどうかだ。売上が上がってきた後は、どこまで改善や差別化ができるかの勝負である。

  • 正直、これまでと違うことをやるのは面倒だ。だが、自分たちが面倒くさいと感じることは、他社にとっても面倒くさい。面倒くさいことをやって勝ちきると、他社の参入障壁は高くなる。

  • 担当者が大量の「お客様の声」を集め、そのまま上司に渡したら、その人は価値をつけ加えていない。こういう仕事のやり方の人を、私は「コミュニケーター」と呼ぶ。一方、自分が間に入ることで、どんな価値を付加できるだろうと常に考える人を「プロジェクトマネージャー」と呼ぶ。この場合、情報をカテゴリー別に分類する、簡潔にする、事前に矛盾点を確認しておくなどが考えられる。

  • キャリアを築くうえで一番のリスクは何だろう。それは起業することでもスタートアップに行くことでもない。自分の力より会社のブランドで仕事があることを理解せず、学び続ける大切さを忘れることだ。

  • これまでお話してきたように、「現状維持でいい」と思った時点で後退している。アウトプットの「質」は、インプットx思考回数で決まる。その人がどれだけ思考回数を増やしたかが「地頭力」に直結する

  • 地頭は、いつでも、何歳からでも、鍛えられる。地頭のよさは天才だけが持つものではなく、誰でも「学ぶ習慣」によって身に着けられる。確かに、世の中には圧倒的な天才もいるが、成功している企業や成功者を見ても、天才はごく一部である。

  • 先が読めない世界情勢の中、自分の力で稼ぐには他の人にない独自性を身につけることだ。それは片手間ではない、本業を徹底的にやり抜いた先に見えてくる景色だ。社内外でも、替えのきかない存在になれば、あなたの市場価値はさらに高くなるだろう。

  • 最高の仕事を最高のメンバーと期限内にやる。経営陣はそれができる環境をしっかり整えることが重要となる。

  • いろいろな手段がある中で、時には「非合理の合理」を考えてみよう。「非合理の合理」とは一見合理的でないことが、実は合理的であるということだ。

  • プライベートでも仕事でも大事なのは、人としての信頼度を上げること。左脳を使って合理的に仕事をやって入れば、マネージャーまでは昇進できるだろう。だが、リーダーには合理を超えたものが必要だ。上に行けば行くほど人としての信頼感が大事になる。能力は高くてもリーダーとして不適切だと人がついてこない。能力も高く、人として魅力的であることは大切だ。

  • 99.5%まではみんなが努力しているので、残りの0.5%をやりきれるかで成果に大きな差がつく。コンマ数%を高めると差が出るというわけだ。最後までやりきることで突き抜けた結果を得る。これが価格競争に陥らず、お客様に購入してもらえる「差」につながる。

  • アンカー・ジャパンは売上100億円を達成するまで、実は大型プロモーションはほとんど行っていない。一時的な広告効果で商品が売れることはあるが、広告をやめた途端、まったく売れなくなる製品をつくる意義は少ないように思う。

  • ブランディングの定義はいろいろあるが、私なりの定義は「顧客が抱く印象と企業が伝えたい印象を近づける活動」だ。自分たちがこういうブランドなんだと言ってもダメで、顧客が感じた印象こそがブランドイメージになる。

  • 企業自ら「こんなに魅力的です!」と発信することも重要だが、それだけでは多くのお客様は選んでくれない。お客様から「こんなに魅力的なんですね!」と言ってもらえることが、競合との圧倒的な差別化になり、1位になるための大きな近道である。

  • 予算が達成できなかった、プロジェクトが失敗した、そんなときに心から悔しいと一緒に思える仲間がどれだけいるか。相手がどんな強豪校であったとしても、甲子園で負けて悔し涙が出ない球児はほとんどいない。そういうメンバーを集められれば1位は一気に近づく。

  • 仕事ぶりは伝播する。99.5%まで完成した仕事の残り0.5%をやりきろうという人に囲まれていれば、自分も自然とそうなる。8割できれば御の字と思っている人に囲まれていれば自分もそうなってしまう。成長に興味がない人に囲まれていたら、成長しようと思うことがバカらしくすらなる。

  • 本人の意思を保つには、環境が非常に重要になってくる。そう考えれば、リーダーの仕事は環境を整備することだとわかる。1%にこだわる習慣を組織全体に定着させる方が、1%にこだわる一人をつくるより簡単であるともいえる。みんなで高め合い、前向きに成長していく集団になる。

  • 今やっている仕事によって、どのように目的に近づけるのか。暗い森の中を疾走していると、北へ行きたいのに南へ向かっていることがある。立ち止まって夜空を眺め、星の位置で向かいたい方向を確認することが必要だ。

  • 私は経営者なので、「どうしたら売上や利益を伸ばせるか」といつも考えているが、具体的なアイデアが出てくるのは、圧倒的にサボっているときだ。

感想など

誠実に事業に向き合い、毎日の努力を続けることで、ご自身およびアンカー・ジャパンの成長を促してきたんだな、と全編通して感じました。キーワードは「全体最適」「差別化」「非合理の合理」「学び続ける」「やりきる」「こだわる環境」「うまくサボる」あたりでしょうか。

ぼく自身、経営者として日々事業拡大やマネジメントには頭を悩ませていますが、特に「非合理の合理」や「こだわる環境」あたりはとても強く共感しています。「どう考えてもこれはやったほうがいい」という施策は、他の会社も当たり前のようにやっています。それだけでは差がつくことはありません。自社がいるマーケットの特徴をしっかりつかんだうえで、自社の持ち味を生かして「普通ならやらなそうなこと」をやり、それを差別化ポイントとしていくこと。また、他社と同じことをする場合にも、圧倒的なやりきり力でお客様へ届ける価値を高めること。この両方が必要だなと感じます。

ゼニュムは、シンガポールでは5年前に始まっており、アジア全体では非常に強いプレゼンスがある企業ですが、日本ではサービス開始が2021年後半で、まだまだこれからのフェーズです。この本を読みつつ、マウスピース矯正における非合理の合理とは何か、それはゼニュムが手掛けることなのか、それを本当に妥協なくやり切れるのか、そういうことを考える&実行し続けていく必要があるな、と改めて気づくことができました。

大変おススメです!ぜひ読んでみてください。


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