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読書録019:心に折り合いをつけてうまいことやる習慣

読書録019です。精神科医である中村恒子さんの「心に折り合いをつけてうまいことやる習慣」です。

前回の読書録「反応しない練習」に引き続き、日々起こるいろいろなことに対する捉え方、ストレスや悪感情を溜めずに健康に生きるためのコツについて深く学びたく、読んでみました。

本書からの抜粋

  • 特に野望もなく、子どもを育てるためにお金が必要やから働いてきた。そしたら子どもたちもとっくに独立して、私もええ歳になったからやめたいんやけど、なじみの患者さんもいてなかなかやめられへん……。そんなこんなで、気づけば約70年です。よく言えば、流れに身を任せているというんでしょうかな。大げさなことは考えんようにしてます。仕事に対する構え方は、そんなもんでええのでないでしょうか。

  • 「自分はこんな仕事をすべき人間ではない」なんて、たいそうに考えるからおかしなことになってしまうんです。余計な力を抜いて、「まあこれくらいやってやるか」「今はそういうときなんやな」と変に力まず素直に受け入れてしまったほうがラクですわ。そうすれば頼まれた仕事もハイハイと取り組めるようになるし、仕事を頼んだ人にも喜ばれる。もっと気楽に働けるようになります。

  • 別に60歳で人生が終わるわけではありません。そこからが長い人も多いでしょうからね。必要以上に気を張らないで、「ちょっと目の前の人のお役に立てればいいかなあ」ぐらいの気持ちで仕事をしてみるのはどうでしょう。ご飯が食べられて、そこそこの生活さえできたら上出来。さらに、自分の仕事で目の前の人が喜んでくれたらもうけもんです。そんな心持ちが、長い人生を送っていくには大切なんやないでしょうか。

  • やらないよりは、やるほうがマシかな?それくらいのモチベーションが、仕事を無理なく続けるコツやと思います。そうすると過剰に期待しなくてすみますから、めんどうくさいこともイヤなことも「まあ、ときどきはそういうことも起こるやろ」と大らかになれますわ。その中で、ふと嬉しいことや喜びがときどき味わえれば、それで十分やと思いますね。

  • 今の時代なら「好きでも嫌いでもない」くらいの仕事は見つかるはずです。急がず焦らず、よ~く考えて「大好きじゃなくても長く続けられる仕事」を見つけていけばええと思いますよ。そして歳をとってきたときには、食事や掃除のように、仕事が自然で穏やかな習慣になっていたら言うことなしやと思います。

  • お金も暮らし方も、「己にとってのほどほど」を知らないけません。出世する人生も、しない人生も、子どもがいる人生も、いない人生も、人と比べたところに正解はありません。自分で、納得していくことなんです。今大切にすべきことを中心にして、ぼちぼち行動していくことです。いろいろ試したけど、どうしても今のままでは納得でけへんというなら、現実的にできることを考えて、ちょっとずつ新しいことをやってみればええと思います。

  • 結局、どこに行っても一緒なんやなあ。100%満足できる環境はないんです。だから大事なのは、「今いる場所で、どうしたら己が快適に過ごせるのか」を中心に考えることやと思います。他人さんを変えて快適にするのではなく、「自分がどう動けば快適になるやろうか」「ここで気持ちよく過ごせるようになるやろうか」なんです。

  • 何かをしてくれることはあたりまえでないと考えて生活できると、ちょっとしたことにも感謝できるようになりますわ。与えられるのはあたりまえではない。自分の言うとおり・思い通りになることはあたりまえでない。そんなクセをつけて人と付き合っていけたら、必要以上に落ち込んだり悩んだりしなくてすむと思いますよ。

  • アドバイスしたり、目の覚めるような妙案を与えることができなくても、自分と同じところまで降りてきてくれて、話を聞いてもらえるだけで、人はちょっとラクになるんですわ。相手と同じところまで降りるといっても、変に同情する必要はありません。「へぇ~そうなんか」「大変なんやねえ」と、一生懸命聞くだけでええ。気持ちを入れすぎると大変やから、「みんな大変やなあ」くらいのいい距離感がいちばんやと思います。

  • 小さな親切はケチケチせんで、どんどんやってあげたほうがええんです。相手も喜んでくれるし、仲よくなれる。そしたら、ときにはこっちのお願いも気持ちよく聞いてくれたりする。それが人間関係やと思います。

  • こっちが歳をとればとるほど、若い人や立場が下の人が、表面上はこっちに合わせてくれることも増えるのやけど、それに胡坐をかいていてはいけないと思ってます。とにかく「己のほうがえらいんや」という我はできるだけ捨てたほうがええ。自分もラクやし、周りの人もラク。それに、そういった我がなければ、平気で「ちょっと教えてや」「ちょっと助けてよ」と若い人に尋ねられるし、結構お得です(笑)。

  • 物事は両面やから、しんどい体験というのは、それはそれで人間の性根を太くしてくれますわ。筋肉なんかと同じかもしれませんな。もしも、今後しんどいことを経験することがくれば、それは「新しいものの見方」を学ぶ時期でもあるということです。

  • 「うまくいかないからがんばろう」やなくて、「うまくいかないけど、まあぼちぼちやりましょう」くらいの気概でええと思いますな。全力が100点だとしたら、60点ぐらいの力でええ。可もなく不可もなく、くらいの運転をしていきます。「なんでこんなにもうまくいかないんや?」と思い詰めたらしんどいですから、心を入れすぎないようにして、言われたことや目の前のすべきことを「ハイハイ」とやっていくだけ。「難儀な勉強をさせなさるなあ……」くらいにとらえてみてください。そうやってペースを変えずに粛々とやっていると、いつか慣れていきますし、気づけば谷を抜けていきます。

  • どんな立場になったとしても、生きる上での苦しみや悩みはついて回ります。そのしんどさに上も下もありゃしません。だからね、自分と人とを比べて落ち込んだり、うらやんだりしても意味がない。まったくムダなエネルギーですわ。「私もしんどくて大変やけど、あんたもきっとしんどいんやろうな。もしかしたら私よりもっと大変かもしれへんな」そんなふうに思うようにしてみてください。それぞれいろいろ大変なんやけど、そう見えない人は、試行錯誤の中でなんとなく折り合いをつけている人なんやと思います。

  • 完ぺきを目指して挫折するよりも、不細工な形でも続けていくことのほうが大事なんやないかと私は思います。「ここだけは超えたらアカン」という一線を一応決めておいて、それを下回らないようにがんばる。下回らなければ、中途半端でもええ。そんなふうに切り替えてみると、あとは、「なるようになっていく」もんです。

  • 理想だけ高くして、あれができない、これができないと悩むよりも、親がニコニコ笑って機嫌よく子どものそばにいてあげるほうが、よっぽど子どもの成長には大切なことです。あれやこれやしてあげられなくても、親が精いっぱいの愛情とともに見守ってくれていることを感じられると、子どもは安心してがんばることができるんですから。

  • 私の座右の銘の一つは、「一隅を照らす存在になれればよし」というものです。成功や活躍せずとも、自分の置かれた環境で一隅を照らしていければええ。そんな考え方です。職場でも、家庭でも、自分のまわりにいる人に温かい光をささやかでも遅れればそれでええやないかと思うのです。

感想など

とっても良かったです。このバランス感や肩の力の抜け感は、人生経験を積んだ方にしかないものだなと思います。

若いうちに自分を追い詰めたり、「上を目指そう」と頑張ることもステキだと思います。一方で、それをやりすぎると、苦しくなったり本当に大事なものを失くしてしまったりするな、とも思います。

自分自身、20代は常に自分を追い詰め、余裕なくがんばっていました。その経験は今にも非常に生きているので結果良かったのですが、もう少しでつぶれそうになっていたことも確かです。今も経営者としてさまざまなチャレンジがあり、苦しくなることもあるのですが、そのようなときに中村先生の言葉を思い返します。

大変おススメです。ぜひ!


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