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[読書]_本当にパートナーシップが必要なのは一見すると『敵』な人たち

SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」をテーマに読書会をしました(2021.11.17)。各自テーマに沿った(と個人の判断で思えた)本を紹介して、そこから話したくなったことをもって対話しました(^^♪

SDGs17をザックリと…

国連広報センターのHPからザックリ抜粋すると、「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。「2030アジェンダ」の実施に当たってパートナーシップを強化すべき目標領域は資金、貿易、技術そして能力構築である。」「政府、市民社会、民間部門、国連システム、その他の主体からあらゆる利用可能な資源を動員してパートナーシップの再活性化を図ることを目的とする。」とあります。

ターゲットはSDGs目標の中で最も多く(19個!)、それだけ重要視されている目標ということですね。そりゃまあ、どれも政府が旗振りしただけではできるものではないし、気候変動とか、平和と公正とか、世界レベルで取り組まないとどうしようもない目標もありますもんね。

今回紹介する本

そんな、テーマに関係しそうな本として、私が選んだのは…

少し前の本ですが、この本を選んだ理由は、単純にタイトルがテーマにピッタリと思ったので♪(パートナーシップとコラボレーションの違いはありますが)だって、SDGsをまともに達成しようと思ったら、自分から賛同できない人、好きではない人、信頼できない人と協働しないと無理っすよね。日常の仕事とかでもなんか役に立ちそうだし( ´艸`)

著者のアダム・カヘンさんは、世界数十か国で政府や企業、ゲリラ、市民団体などなどの間の「対話」にファシリテーターとして関わってきた、その筋では超有名人。そんなアダムさんはこの本で何を伝えてくれているのでしょうか。

従来型のコラボレーション

ここで、この本でよく出てくる言葉の確認として「従来型のコラボレーション」の説明。

従来型のコラボレーションは、みんながみんな同じチームの一員となって、同じ方向をめざし、こうなるべきと合意して、必ずそうなるようにし、必要なことをみんなにさせるというもの。

会社とかでプロジェクトを進める時って、大体こんな感じを求められてますよね。みんなが同じ方向を向いて考えられるよう、まずはコンセプトを立てて合意しようとか。実際その通りできるかは置いといて💦 この前提には、コラボレーションは統制下におけるものであり、そうしなければならないという想定があるとのことなんですが、この本では、その想定が間違っていて、

複雑な状況で、多様な人と一緒に仕事をする場合、コラボレーションはコントロールできるものではないし、そうする必要もない

とのこと。

ちなみに、従来型のコラボレーションでは、合意した最善を実現するため、メンバーと調和して取り組むことに重きをおくらしい。戦うよりも話し合いのイメージ。

そもそもコラボレーションは唯一の方法ではない

コラボレーションは、あくまで、”問題の複合する状況”に対応する方法として考えられる四つの方法のうちの一つであって、最善かつ正しいデフォルトの選択ということではない。ということがポイント。必ずしも正しくはなく、必ずしも間違いでもなく、その時の状況や立場などによって、合理的に、直感的に、あるいは習慣的に、何かしらの判断によって決定される。

ちなみに、四つの方法とは

コラボレーション:置かれている状況を変えることを望み、かつ他者と協力して(多方向的に)変える以外に変化を実現する方法がないと考える場合。望もうと望むまいと、今の状況では、協働しなければならない。そう考える場合。リスクは、ミノリ少なく、遅々として進まないということ。大幅に妥協する、相手側に取り込まれる、自分たちにとって最も重要なことを裏切るという結果になること。
強制:今の状況を他者と協力せず(一方的に)変えるべき、あるいは変えられるかもしれないと考える場合。強いる方法はいくらでもあって、平和的な方法も暴力的な方法もあるし、誘い込むか打ち負かすか、どちらもありうる。強制は多くの人にとって、自然で習慣的な考え方と一致するので、ほとんどの場合で変化を起こすには最善の方法だと信じられている状況がある。リスクは、自分たちがなすべきだと考えていることを押し通そうとすれば、違う考えの人に押し返され、意図する結果を達成できなくなるということ。
適応:今の状況を変えられないから、それに耐える方法を見つける必要があると考える場合。可能な範囲で最善を尽くすことに集中し、周囲で起きていることは無視するか避けるか、それに適応する。変えられないものを変えようとすることにエネルギーを費やさずに何とか生きていけるものの、適応という選択でまずまずの場合もあれば、良くない選択でもそれをするので精一杯という場合もある。リスクは、身を置いている状況が過酷だと適応できなくなり、生き残るだけで必死という事態になること。
離脱:今の状況を変えられず、もはやそれに耐える気もない、という場合。やめる、離婚する、立ち去る、など。離脱が簡単で気楽な場合もあれば、自分にとって重要な多くのことをあきらめなければならない場合もある。

じぁ、どうやってコラボレーションすんのよ?

従来型のコラボレーションで重要視されている、互いに調和をとって関わることだけでなく、議論やデモ、ストライキなど、自分たちの意見を主張することも必要なものとして探求する。

主張することなしに、関わることだけということはできず、その両方を行う方法を見つけないといけない。

いや、なんとなく意味はわかりますよ。

例えば、ファシリテーションの本とかで、ファシリテーターは場全体の利益に貢献するために、アウトカムを設定して、ここに向かいましょう!とか進行するけど、それって参加者一人ひとりの主張は一旦抑えましょう。って言う場合がほとんどですからね。

自分なりに思うところだと、

とにかく主張のない人は正直様子見ばっかりになるから、自分事化できるようになってから参画してね。

で、互いに主張する場って、最初のうちはものすごく不快な状況になるだろうから、関わる事を忘れないでね。

関わりあった結果、変な忖度が働くと、誰かの声が消えて無くなるかもしれないから、ちゃんと主張を続けてね。

という事かなと理解しときました💦ようするに健全な対立を避けずに話し合いましょうって事なんだろけど…簡単じゃいっす😢

本では自分自身が、主張と関わることのバランスを取れるようにするため、「関わることと主張すること」と「話し方/聞き方」について、日々のトレーニング方法なんかも紹介していました。

結局、敵とコラボレーションするって…

複雑な課題を解決しないといけない時、自分と気心が知れた仲間たちだけと課題に立ち向かっても、できる事って限られますよね。

なんとか頑張って、多様な人や組織と関わることが出来たとして、その多種多様な人たちの中に、自分から見ると信頼できない他者がいるのは仕方ないことだと思います。

そういう相手とどう向き合うのか?強制や離脱もできるけど、せっかくならコラボレーションをしたい。

そんな時に自分の背中をちょっとだけ支えてくれる本でした。

ちなみに、自分を振り返っても、役所で働いていた時の経験で、ケンカ腰で主張してくる団体さんと散々やり合ったあとに話し合った場合の方が、温和にお互いの意見を調整し合った時よりも、結果、物事は進んだ印象があります。

とはいえ、役所みたいに自分が逃げられない立場にあるとか、政府や行政組織主体が多様な関係者を集めてくれて、それに参加するとかなら、最初はケンカ上等でも関わり続けることができるけど、普通に生活していて、純粋に思い立って、社会課題を解決するとするときに、そういう一見して「敵」の人たちと関わるって、ちょっと想像もつかないっすよね。

だからこそ、「自分が主張を持った上で、いろんな人と積極的に関わる」。って事が大事なんだろうと思いました。

それができる人ってホントにスゲーっ!(-人-)



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