サッカーの審判について考える③

第3弾。
ようやく元々書きたかったことにたどり着きました...

ルール改正の仕組み

いろいろと偉そうなことを言いながら
サッカーの競技規則(ルール)改正について
ぼんやりとした理解しかなかったので
改めてJFAのサイトを見てみました。

まず、サッカーのルールを制定しているのは
国際サッカー評議会(IFAB)」です。

ルール改正についてはこのような記述があります。

改正後、「新競技規則(新ルール)」は5月末までにFIFAからFIFA加盟各国のサッカー協会に通達され、6月1日から全世界で施行される。国際試合は6月1日から施行しなければならない。但し、6月1日までにその年のシーズンが終了していない大陸連盟及び加盟協会は、その施行を次のシーズン開始まで延期できる。日本では例年6月1日以降のしかるべき日、遅くとも8月中には施行している

審判資格についても言及されています。

つまり、毎年、サッカーのルールは細かく変更されており、審判員 は毎年、更新講習会を受ける必要がある(受けなかった場合は審判資格を失効する)。その他の指示や方向性(通達)は6月か7月の特別会議を経て、改めて情報として伝えられる。

Jリーグの場合はシーズンの途中でルールが変わりますが、
僕がプレーしている神戸市社会人リーグでは
ルール改正の通達があった翌年の開幕から適用となっています。

2019/2020年競技規則の適用開始日について(PDF)

もしシーズン途中での適用となったら

・ルール改正の内容を理解している選手
・ルール改正があったことは知っているが完璧には理解していない選手
・ルール改正自体を知らない選手

が混在するチーム同士の試合を

・ルール改正の内容を理解している審判
・ルール改正があったことは知っているが完璧には理解していない審判
・ルール改正自体を知らない審判(←これは有資格者としてはNGですが...)

のいずれかが裁くことになるので
混乱することは必至ですからね...


協会からはシーズン前にルール改正についての説明があるので、
審判資格の更新時に改めて確認し
資格を持たないチームメイトにも共有していますが

全員が100%理解するのはなかなか難しいです。
(もちろん僕自身も完璧ではありません...)


直近のルール改正

2019/2020年における競技規則の改正については
JFAが配信している動画がわかりやすいです。


・コイントスで勝ったほうがキックオフorエンドを選べる
・ボールが審判に当たって攻守が入れ替わった場合は
 ドロップボールで再開する
・ゴールキックをペナルティエリア内で受けて良い

このあたりの改正は結構インパクトが強くて
適用するしないで試合の展開も変わりますから
審判だけでなく、プレーする選手も
しっかりと理解する必要があると思います。


一番わかりやすいルール・・・?


さて、数あるサッカーのルールの中で
一番有名で、なおかつ一番わかりやすいものって何でしょう?

恐らく多くの方が「ハンド」と答えると思います。

サッカーにあまり馴染みのない方でも
「手でボールに触れてはいけない」
ということは何となく知っているのではないでしょうか。


ただ、ハンドは人々に刷り込まれた誤ったイメージや
ルール改正の影響もあり

実は一番正しく理解されていないルール

だと僕は考えています。


まず、ボールが相手選手の手(「手」が多いな...)に当たった場合
もしくは「当たったように見えた」場合
大抵の選手は反射的に「ハンド!」とアピールします。

僕もついついやっちゃいます。
何もポジティブな結果は生まないので止めた方がいいのだけど、
これはもうサッカー選手の習性みたいなもので...

恐らくこれからもなくならないかなと。


で、手に「当たったように見えた」場合
実際当たったかどうかは
それこそVARレベルでチェックしないとわからない...
いや、それでもハッキリしないことだってあります。
時には本人すら気づかないことも。

なので、それを100%正確に判定するのは無理です。
これは審判のレベル云々ではなく、物理的に不可能だと考えます。


にも関わらず、選手や監督や観ている人は言うんです。

絶対にハンドだ」
どこからどう見ても手に当たっている」
「誤審ということは誰の目にも明らかだ」

いやいや

「絶対」の根拠は?
360°全てのアングルから見ていたの?
あなたはあなたの目しか持っていないでしょ?

...とまぁ、少々幼稚な反論ではありますが

100%の確証が持てないことに関して断定で語られると
拒絶反応を起こしそうになってしまう僕としては

「手でボールに触れてはいけない」
というざっくりとしたイメージが強すぎて

ハンドに対する正しい理解が広まることは
日本がW杯で優勝するより圧倒的に難しい
と思っています。


明文化されたハンドのルール

2019/2020年のルール改正では

「どこからどう見ても」手に当たっているプレーでも
ハンドにならない場合

そして

意図的に手でボールを扱ったわけではないことが
「誰の目にも明らか」だとしてもハンドになる場合

があることが明文化されました。

先程の動画の中では
実際の試合映像をもとに解説されているので
かなり理解しやすくなったのではないかと思います。


前者については
自分や自分の近くにいる選手に当たって跳ね返ったボールが
手や腕に触れても反則にはなりません。

手に当たることを防ぎようがないケースですね。

スライディングをした時に体を支える方の手に当たった場合も同様ですが
こちらは判断が難しいかも知れません。
(体を支えるために手を出したと見せかけて
意図的にボールを止めるような「高等技術」を使う選手がいるかも!?)


後者については
手に当たったことで得点や得点機会が生まれた場合は
偶発的だったとしてもハンドの反則になります。

他にもいろいろとありますが、
この2つに関しては今後主審をする試合で起きた時に

「手に当たってるやん!」
「故意やないやろ!」

って抗議されるのが想像できるので
しっかり理論武装できるようにしておきたいところです。

おわりに

ハンドを含め、既存の競技規則に加えて
改正されたルールも完璧に理解し
なおかつ試合中適正に運用することは至難の業です。

それでも、審判だけでなく選手や指導者、サポーターも含めて
大好きなサッカーに関わるすべての人が
ルールを正しく理解するための努力をするだけでも
無用なトラブルは減るのではないでしょうか。


とりあえず僕は、
チームメイトに先程の動画を観るように勧めることから始めます。

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