人生100年時代を迎えて

こんにちは。いかがお過ごしですか。
高畑です。

安倍前首相が「人生100年時代」と言う言葉を発した時、違和感を覚えた人も多いと思います。
実は、最初は私もその1人でした。

その背景には、2007年に日本に生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推測されております。「人生100年時代」に向けて政府や官邸、厚生労働省の構想会議は、それを見込んで基盤社会づくりを指針としています。

その背景には世界的にベストセラーになったリンダ・ギラットン、アンドリュー&グラットン共著『LIFE SHIFT』があります。
事実、リンダ・グラットン氏は、日本政府の人生100年時代構想会議」の有識者メンバーのお1人に任命されています。

とはいうものの、多くの人にとっては、今すぐには自分にとって「人生100年時代??」と言ってもピンとこないでしょう。

事実としては、じわじわと私たちの現実として始まっているのです。
たとえば、
100歳以上の長寿者は49年間連続して伸び続け、2019年では7万1,247人となっています。

今のあなたがどのような環境で、年齢はお幾つなのか?
お仕事は? 性別は? 家族構成は?

私には、あなたの情報は全くありませんが、これまでのライフプランをライフデザインと言ってもほぼ同義です。
これから文脈に応じて使い分けていきます。
ライフデザインを見直す経済社会の変化の中に私たちは生きています。

厚生労働省の発表では、
・幼児教育の無償化
・待機児童の解消
・介護人材の処遇改善
・リカレント教育
・高齢者雇用の促進

─を挙げています。

ライフプランづくりは、今、ステージ1からステージ3の局面に入りました。
ステージ1には、モデルライフがありました。
たとえば、
夫婦、専業主婦、
子ども2人、
そして日本的雇用制度や、大量生産・大量消費等。

当時は、私たち講師の同僚の多くは、生命保険会社の資料をベースに資料を作成し、企業・団体に招聘されておりました。
私も、弊社用の資料のテキストを作成,販売したこともあります。

ステージ2は、従来の価値観がゆらぎ、女性の社会進出、非婚化(単身家族)、晩婚化、モバイル化等により、モデルライフなき時代となりました。

ステージ3は、
令和の年号の始まった令和時代のライフデザインと言っていいでしょう。
詳しくは以降から触れていきますが、
教育期間+会社人としての期間+引退期間の中から、人生100年時代を見すえたライフデザインを自らの手で考えていく自立の時代に入っていることです。
実は人生100年時代においても、参考になるライフデザインの仕方が古くからありました。

それは、中国の栄の時代の思想家、朱新仲が唱えた人生五計説です。この五計説は、人生100年時代に応用できるとともに、ホリスティック的です。彼は、①生計、②身計、③家計、④老計、⑤死計の5つのライフデザインを唱えました。

それぞれを紹介してみましょう。

1.生計 
「生」は命の意味で、いわゆる「生計」とは意味合いが大きく異なります。
私たちが天から授かった、命を大切にするという意味です。いってみれば、健康デザインです。
人生100年時代にも、健康のデザインは、とても重要な項目です。

2.身計
身計は、何をもって身を立てるかの計画です。いわば、キャリア開発とも言うべきものです。
今、会社生活→定年というライフ設計の図式が崩れてきています。先も述べましたが、令和の時代を迎えてはステージ3の段階に入りました。朱新仲は「出処進退は自覚的に行うものである」と述べてもいるのです。

これは、まさしく、これからの時代の人生哲学とも言うべきものです。

3.家計
朱新仲は家計を2つの意味でとらえています。
1つには家庭経済(家計)の意味と、もう1つは家族のデザインです。
家庭のデザインは各自各様なのですが。私はどのような家族生活を過ごしたいかを理想化し、日々実践することです。
これもまた今、ワークライフバランスが指摘される中、重要視されてきている概念なのです。

4.老計 
老いへの計画の意味ですが、今や長寿少子化の時代となりました。
一言で言えば、青年期―壮年期―中年期―高齢期の流れの中の「老い」計画です。
ただし、高年者の雇用の「多様化」が叫ばれている現代、しなやかなライフシフト・計画が求められています。
雇用の多様化については大きなテーマなので、別途後の稿で説明したいと思います。

5.死計 
死計とは、死へのデザイン化と言えます。
いわば、今忘れさられている感じもある、死生観です。私は若き頃、拙書で紹介したことのある作家の加賀乙彦氏は、
以下のように指摘しておられます。
長くなるが引用したいと思います。

「死刑囚と無期囚。どちらも大半が殺人犯だ。教育、遺伝、
経歴に違いはない。とすればこの二種類の囚人たちの心の
違いは素質的な差によるものではいと言えるであろう。
南方の島で玉砕した日本兵たちは、前夜飲みあかし、
げらげら笑い、泣き、実に多感であったと生き残り兵
は言う。ガンを宣告された学者や作家、そして死刑囚にも、
傑作を残す人が少なくない。死に向かい合うと、人間の
精神生活はひどく濃密になる。」

加賀乙彦さんの言ったかったことは、あなたの日々は無期囚化していませんかということなのです。

日々の生活の繰り返しではなく、人生全般ホリスティックの視座から、日々の生活の意味づけができているかどうかを問っているのです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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