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ZZ-R(C型)にこだわる

以前、写真のZZ-R1100のC型を製作しました。
コスワースピストンを使ったエンジンOH、FCRキャブレターの取り付け。

当社でお客様希望の左だし薄いチタンの材料を使ったワンオフマフラー製作など色々行いました。

乗ってみるとD型より明らかに軽快で乗って面白い。C型はD型よりも使用する速度域がいくらか低い設定です。
この車輌は前後サスペンションにも手を入れているのでそのせいもあるのですが、ノーマルよりとても乗りやすいです。ホイールはノーマルですがそれでも軽快に走れます。

ZZ-Rといえば当社にはほとんど入ってこないバイクですが、私はC型はD型よりも形も乗っても好きです。
ただし整備性は良いとは言えず整備する側にとっては難しいバイクです。

基本的にノーマル車は最高速度は早くともツアラーで、乗っていて(操っていて)あまり楽しいというバイクではありません。

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まずすべての反応が入力に対して鈍い、ということがあると思います。言い換えるとメリハリがなくダイレクト感が薄い。すべてにワンテンポ遅れる感じで間に柔らかいゴムが入っている感じです。
プロのテストライダーのように特別上手い人が意識して乗ればどのようにも走れますが、われら一般ライダーの場合それでは乗っていても面白くありません。ですから、操作に対して鋭すぎにはならないように手を加えます。

まず、FCRキャブレターに交換と当社でチタンマフラーを製作。これでアクセルの開度に応じて忠実に反応します。(加減速)
エンジンはフルオーバーホール。コスワースピストンにより圧縮比、排気量を少し変更して、さらにメリ張りがある加減速になり、ノーマルとは大きく印象が違うエンジンになります。出力アップだけがエンジンOHの目的ではありません。

足周りはリヤショックを変更して、さらにフロントブレーキのパッド(社外品)ラジアルポンプのマスターシリンダー、ホースなどを変更し、ブレーキの効きを確保した後に、フロントフォークのスプリングレートをアップし、さらにオイルなども変更します。
これによりきちんと安定して強くブレーキがかけられ、アクセルを開けたときにも不安定になりません。今は良いブレーキパッドとマスターシリンダーがあるので良い時代になりました。それに合わせてスプリングレートを変更して再セットアップするのです。

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ですからピッチングなどを自分の意思、タイミングで誘発しやすくなって、車体姿勢を一般ライダーも頑張らずに簡単にコントロール出来ますから曲がりやすくなります。しかも乗り心地も良い。
先程書いたマフラーの方も軽量で、さらにサスペンションのセッティングで車体姿勢もきちんとしているのでハンドリングも軽快になり車体が軽いバイクに乗っているように楽に扱えます。
Uターンも安定しておこなえます。

さらに今回は、クラッチ側のマスターシリンダーも変更して、見た目の好みはいろいろあると思いますがお客様の希望でスペーサーを製作してハンドルを少しアップ、手前としました。(その後一般的なパイプハンドルに変更)
これで操作系が軽くなってさらに軽快感が増し、ポジションがコンパクトで小さなバイクに楽に乗っているような感じになります。

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さらにホイールを適切なものをつけたり、ステップの位置を体格にもよりますが少し上にしたりというようにさらに良くする方法もありますが、充分に良いバイクに仕上がりました。現状でその必要はあまり感じません。

横風に元々あまり強いバイクではなく、超高速域の安定感などD型にはかないませんが、サーキットなどで250キロ以上出すという特別な使い方をする人以外(少ないと思いますが)でニンジャ同様カワサキ好きにおすすめ出来る一台です。
ただし程度の良いベース車輌がほとんどなく、整備性がとても悪いので簡単にお引き受けできるバイクではないのですが。

紹介しているこのZZ-Rも仕入れた時、走行距離がとても少なくとても状態の良い物でしたがミッションの方はクランクケースを割って、一度分解された形跡があり組み間違いがありました。元々ハイパワーが上のギヤ抜けが起きやすい車種で、その対策品(純正)が組まれていたのでその時に組み間違えたのでしょう。この時も納品前にエンジンオーバーホールして良かったと強く思いました。

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