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雑感(5)低走行距離車でもそのまま乗れない

写真は実走行距離5500キロ GSX-R1100に
積まれている油冷エンジンのヘッドカバーを
外した写真です。

まるでオーバーホールしたてのような
綺麗さですね。

ですがこのようなエンジンが積まれている車体が
そのまま走れるかというと、そういう事には
なりません。
このエンジンも車体整備のためにフレームから
降ろしています。
このまま整備せずに乗ればオイル漏れなどが
発生するでしょうね。ガスケットが劣化したり
オイルシール、オーリングが硬化したり
しているからです。

奇跡の様に極まれに
エンジンオイルとバッテリーとキャブ、
タイヤ交換、ブレーキ、フロントフォークの
整備程度で乗れるものがあったりしますが、
当社の取り扱い量ぐらいだと
タサキチューニングを立ち上げて約25年ですが
その中で1台だけです。少ないですよね。

それでもしばらく走れば整備していない所から
整備すべき部分が出てくるでしょう。

それぐらいの確率ですから、それ以外の物は
低走行距離のバイクでも整備は確実に必要です。

ですから低走行距離車を飾るのではなく
乗るつもりなら、安く乗れるなんて考えは
捨てたうえで、なるべく上手く買えたらいい、
それぐらいの考え方でないと
探しているだけで終わってしまいます。

もし少しでも安く乗りたいのであれば
自分で整備するということで
走行距離が少ないものを現状販売で手に入れ
(売ってくれればですが)
ご自身で作業すればよいということですかね。

自分で整備はしたくない(できない)
でも低走行距離車を安く乗りないなんて
そんな自分だけに都合の良い話など
友人から譲ってもらうなどでなければ
あるわけもありません。

皆さんそれなりに支払いするために
頑張っていますよ。

どれ位から古いバイクと線引きするのであれば
新車で販売されてから大雑把に言って
15年くらいまでは低走行車でほとんど
そのまま乗れるものがあるということで、
もう少し緩めに考えたとして
20年を超えればはっきり古いバイクと
言っていいと思います。

実際には30年以上前の1990年ぐらいになれば
ネオクラシックと言ってよく、カワサキZZ-R1100、
GPZ900RのA7ぐらいのもの、DUCATI900SS、
スズキGSXR-1100のそれぐらいの年式のものは
低走行車であるからこそ、動かしていない部分に
不具合が発生しているので、がっちり整備が必要な
車両であると断言して良いと思います。

それでもそれより前の1970年代のバイク比べれば
エンジンオーバーホールまではしなくてよい、
車体も部分的なレストアで充分きれいに仕上げる
ことが可能な場合が多いので費用対効果として
メリットは大きいですね。

ネオクラシック世代でも整備が必要だと
一番解りやすいのはガソリンタンクの状態です。

低走行車のガソリンタンク内は大体ゲロゲロ状態ですよ。
しかも間違ったタンク内の処理をされたものも
とても多い。
これ手間を避け簡単に処理したいからこその
まずい作業です。

これを本当の意味でまともな状態にするのは
結構な大仕事になることが多いですね。
一度大はまりした時はタンクをバーナーで焼いて
内部の固形物を取り去ったのですが、
とにかく大変でした。

低走行車の良いところは機械的消耗が
殆どないところで、それは先ほどの写真を見ても
納得していただけると思います。

逆に悪いところは動かしていないことでの
固着や、各部の錆、ゴム、シール類の劣化、
外装の劣化がおきていることも結構多いですね。
ガソリンタンクは漏れが発生していることも
多いです。
つまり走るためのまともな状態にするとなれば
そのための整備費用は結構掛かるのは間違いありません。

では古いバイクに乗りたいが
低走行距離車を買うには予算が足りない、
そうなった場合にはどうするのが良いのか。

まずは車種の見直し。
それと実際にどれぐらいの距離を自分は
走るのかを確認することです。

車種の見直しは今はまだ値段が上がっていない
車種で好きなものがないかを探すことですね。
いまであれば間違いなく91年からの97年ぐらいまでの
DUCATI900ssです。
200万円ぐらいで整備して素晴らしく良く走る
物が手に入る。

SSはスーパースポーツの略ですが
尖ったものではなく、ゆっくり走っても
飛ばしても大変扱いやすい車両です。
ポジションもきつくない。
まあ、高速道路をずっと走るにはいいとは
思わないですが、それはそれの得意な車種が
安くて腐るほどたくさんあるので。

では気に入った車種が決まっていて
変更できない時は
1年あたりどれぐらいの距離を走るのか
考えることです。

ある程度年齢を重ねると1年あたりの走行距離は
それ程伸びない方が多くなります。

1年で2000キロ位の方も多くいて、
数百キロしか走らない方もいます。

そりゃ仕事して、家庭もありとなれば
それ程自由に時間を使えないですから
それも納得。

となると走行距離25000キロの程度の良いものが
でてきた場合、仮に1年2000キロ走ったとして
10年で20000キロです。
今私は50代ですが60代で45000キロであれば
もう充分元を取った感じになるのでは
ないでしょうか。

先日点検に来られたGPZ900Rは途中で
エンジンの整備を行っていますが(他社さん)
10万キロ位走っていました。
まだまだ乗っていくそうですが。

たいして距離を走らないのであれば
それなりに距離を走っているものでも
問題ないということです。

と言っても5万キロになると、
車よりも常用回転域が高いバイクの場合は
消耗が考えられます。

まあ、使い方や車種によりますが3万キロ
ぐらいまでが良いのではないでしょうか。

バイクによっては前オーナーさんにより
とてもよくメンテナンスを受け、
大切にされている車両があります。

そういう車両は状態を見ればすぐに解ります。
全体の点検は必用ですが消耗品もきちんと
交換されており、すぐに整備しなくても良い箇所も
多くなります。

低走行距離車のように車体全体を
整備しなくても良い。

このての少し距離が進んでいるもので
状態よく過去整備が良くされているものは
それなりに仕入れ価格は高くなります。
一見すぐに乗れそうな状態のものだからです。

ですがそれでも低走行距離車に必要な整備したもの
物より買いやすい価格になることが多いですね。

一度ご自分の使用状況を考えて、
車両選びをされても良いのではないでしょうか。


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