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旧車バイクの望むこと(8)エンジンOH交換部品編1

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写真はバルブガイドになります。

今回から部品ごとに細かく分けて、エンジンオーバーホール時にチェックし、交換したほうが良い部品や、修正したり加工したほうが良い部品などを説明していきたいと思います。

タサキチューニングではこの20年、多くのエンジンフルオーバーホールを実施してきました。

そして実際に良い結果、つまりオーバーホール直後だけではなく、10年単位で好調で、なおかつエンジンオーバーホール直後に得られる高いトルク、高い出力をなるべく大きく損なわないことに注力してきました。

それにプラス故障が少なくて済むためには何をチェックして交換すべきかを今回から説明していきます。

エンジンオーバーホールは実施してすぐではなく10年~20年と長きに渡って使用し、それで初めて良い作業だったかが解るものです。

古いバイクの場合、構造や、使用するガスケットの材質、エンジン自体に巣があったりで、OH直後の100キロ~200キロの走行テストで問題なくても、その後1年以内にオイルにじみなどが実際にでてしまうこともあります。

ですが、オーバーホール後1年などではっきりとエンジンに力がなくなった、などという事はレースで使用するなどでなければ、ないと思っていただいて大丈夫です。もしそういうことになったのなら、どこかに問題が発生しています。

良い結果を出すためには何を交換すべきなのか、それを知ることが無意味なダメオーバーホールで無駄なお金と時間を失わないために重要な知識となります。

どんなに組みたてが良くても、部品がよくなければ良い結果は100%でません。

車種、製造するメーカーにより頑丈なところ、弱点は違いますが、古いバイクの4サイクルエンジンはエンジンOHで交換すべき部品の基本部分は同じで、それに車種ごとの弱点部分を考えて作業していくという感じになります。

今回説明するのは写真のバルブガイドです。
バルブガイドは毎回交換する必要はありません。

エンジンを分解後にバルブとのガタをチェックし、ガタが多い場合で、バルブの軸部分の消耗だけでなくガイド側の穴径が広がっている時、またはエンジンヘッド側とガイドの圧入具合が緩くなっている時、その部分からオイルが侵入している形跡がある場合に交換します。

また多いのは2バルブエンジン車で、すでに過去ガイド交換が行われており、それが失敗していること。とても多いです。

そうなると再度交換の必要があります。この時はヘッド自体も傷んでいることも多く修理がとても難しくなります。圧倒的にカワサキのバイクに多く、スズキ車など他メーカーで変な作業をしているものを見かけることは少ないです。

2バルブエンジンはバルブ自体が大きく重いため、それを支えるバルブガイドに負担がかかるためか交換の必要があることが結構あります。
ですがバルブガイド交換は正しい判断と技術のいる作業であり、バイク屋さんや、専門であるはずの内燃機屋さんで薦められても安易に交換作業することは勧めません。よく考える必要があります。

純正のバルブガイド圧入作業は、当たり前ですがきちんと行われており、交換せずに済めばそれにこしたことはないわけです。

もし交換の必要がなければそのままで良く、それであればバルブシートとバルブの位置関係も変わらず、シートカットすり合わせ作業のミスも少なくなります。

古いバイクであればポート内に突き出したバルブガイド先端部分がとても大きく吸排気の抵抗になりそうでオーバーホール時に削り取ってしまいたくなるのは解るのですが、レースなどで少しでも高出力が欲しいなどという場合を除き、この部分を全て削り取るのではなく、形状を変更し(例えばテーパー状に)抵抗が少なくなるようにするだけでも効果があります。


カワサキZ1などはバルブガイドの材質自体が減りやすい材料ですので、交換が必要になることがほとんどですが、後期型のZ1000MK2などは減りにくく、こういう場合はヘッドとバルブガイドの圧入が緩くなっていなければ、ポート内の先端部分を形状変更するだけで十分な場合もあります。

4バルブエンジンでは、交換の必要があるほどガイドが減っていたりして問題になることは少ないですが、全くないわけではありません。今まで見た4バルブ車ではZZ-Rで減っているものを見たことがあります。

必ずチェックはしておかないといけない重要な部品ではありますが、安易に交換すべきではない、もし交換するなら本当にその作業ができる店か、人か、経験と結果を見て判断することが重要です。

なかなかバルブガイド交換がキチンとできる店や人の判断は難しいかとは思いますが、軽く考えている人には出さないほうがいいでしょう。

手間もかかり、儲かる作業ではないので、喜んで受ける店は少ないと思います。受けてくれるのは本当の専門店ぐらいではないかなという印象です。当社でも単品作業では受注しておらず、エンジンオーバーホール時で必要な場合のみ作業しています。

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