瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』part2

こんにちは。

たすくです。

先日、大学院の成績が公表されまして、結果としては無事に卒業が確定しました。

修士論文の単位が認められ、無事に修了という形になります。

今の気持ちとしては、とりあえずホッとしています。

成績も思ったより良かったので、2年間頑張った甲斐があったなと感じているところです。

ただ、卒業式がコロナウイルスの影響で中止となってしまったのは少し残念ですね。

まあこの話はさておき、今回も引き続き僕の人生の一冊、『僕は君たちに武器を配りたい』の第4章から第6章までをアウトプットとして解説していきます。

今回も内容の濃い、そして多くの学びのある部分となっているので是非とも読んでいただければと思います。


第4章 日本人で生き残れる2つのタイプと生き残れない2つのタイプ

本章では、資本主義社会で儲けることができる人と儲けることができない人はどこで決まるのか、漁師に例えて説明しています。

ちなみに儲からない人、いや漁師というのは思考停止状態のただ人に使われている、雇われているだけ、つまりコモディティ化した漁師であると指摘しています。

つまり、何も考えないでただ会社に雇われて働いているだけの人は資本主義の下では稼げないということですね。

今度は、逆に資本主義の下で儲かる漁師の特徴を見ていきましょう。

氏によると、儲かる漁師の特徴は以下の6種類に分別できるそうです。

①とれた魚を他の場所に運んで売ることができる人
→トレーダー

②一人でたくさんの魚を捕るスキルを持つ漁師
→エキスパート

③高く売れる魚を作り出すことができる漁師
→マーケター

④魚を獲る新たな仕組みを生み出す漁師
→イノベーター

⑤多くの漁師を配下に持つ、漁師軍団のリーダー
→リーダー

⑥自分自身が漁師である必要はないが、魚に対する知識が深く、魚を売るビジネスのあらゆる側面について熟知している投資家的な漁師。→インベスター
漁船と網といった資本を持ち、彼が所有する船で獲った魚を乗組員の漁師に報酬として配り、残りを自分のモノにできる。
その反面、「投資家的漁師」は究極の結果責任を負う。全てが自己責任で自分で考えて判断しなければあっという間に資本を失うリスクを持つ。。。

氏によると、コモディティ化せず主体的に稼ぐ人間になるためには、以上のタイプになることが一番の近道であると述べます。

だが

この6つのタイプでも今後生き残っていくのが難しくなるタイプがあるといいます。

それは何か・・・?

答えは、トレーダーとエキスパートであると言います。

まずトレーダーがなぜ生き残るのが難しくなるかというと、インターネットの普及によって人々の購買行動が劇的に変化したことが一番の要因であるそうです。

現代では営業マンの能力による商売は時代遅れになり、それによって利ザヤを抜くのが難しくなっているそうです。

氏はこれを広告代理店を例に説明します。

広告代理店のAE(Account Exective)といえば業界の花形でしたが、不況の煽りを受けて大企業の広告宣伝費が減少したこと、テレビCMに代わってネット広告が年々台頭してきたことで大手代理店はその価値が低下していったと言います。

また、大手総合商社も従来のビジネスモデルが通用しなくなっており、儲けているのは過去に資本を投下した油田の開発など資源開発のみであるそうです。

大手広告代理店や大手総合商社と言えば、就活生からの人気が高く入社さえすれば高い収入を得ることができるとのイメージが強いですが、その一方でインターネットの進歩に伴いビジネスモデルが厳しい状況に置かれているとは、世の中の変動がいかに激しいのか痛感させられますね。

生き残りが厳しくなるもう一つの職業が、エキスパートだそうです。

大学院で専門を深めてきた僕がこれを聞いたとき、思わずゾッとしてしまいました。

医師や弁護士のように一つのジャンルに特化して専門知識を積み重ねてきた人は、これまで、そして今も尊敬の対象なのは周知の事実です。

だが、産業の変化のスピードが比べものにならないほど早くなってる現代社会ではせっかく積み重ねてきた専門知識があっという間に過去のモノとなってしまい、必要性が無くなってしまうからだそうです。

例えば、炭鉱全盛期の頃の炭鉱技術者は高給取りで人気の高い職業でしたが、エネルギーの主体が石炭から石油へ変わったことで炭鉱技術者は仕事が無くなってしまったと言います。

これは過去の話ではあるものの、現代では石炭から石油レベルの変化が毎日のように起こっており、せっかく苦労して得た専門知識が役に立たなくなるまでのスピードも早くなっているそうです。

確かにAIの発達によって医者や弁護士の仕事が奪われるというのをを最近よく耳にしますが、それと同じことでしょうね。

いくら頑張って勉強して資格を得たからといって、それに甘んじていてはコモディティ化、あるいはAIによって仕事を奪われるから安心するなというのが氏のメッセージだと僕は思ってます。

修士課程の修了が決まったばかりの僕からすると大変勉強になる話ですね。


第5章 企業の浮沈のカギを握るマーケターという生き方。

第4章では、生き残りが厳しくなる職種がトレーダーとエキスパートで、生き残れるのがマーケター、イノベーター、リーダー、投資家であると述べました。

ただ、これに注意が必要なのはどれか一つを目指せばいいという訳ではないということです。

望ましいのは状況に応じて4つのタイプを使い分けることができる人であると氏は述べます。

第5章では、マーケターという生き方に焦点を当てて話を進めていきます。

まずマーケターとは何かと言いますと、氏は

顧客の需要を満たすことができる人

と定義しています。

マーケターの本質は「顧客自体を新たに再定義する」つまり、人々の新たなライフスタイルや新たに生まれてきた文化的な潮流を見つけることができる人だといいます。

ここで重要なのは、世の中で新たに生まれつつある微かな動きを感じ取る感度の良さと、なぜこれが生まれてきているのか正確に推理できる分析力である。

そして、付加価値や違いを創ることができる。。。

これがマーケターであるそうです。

マーケターがなぜ必要なのかというと、そもそも資本主義社会ではあらゆるモノがコモディティ化していくことが定められています。

コモディティ化した商品はどんどん価値が下がっていき、終には市場から淘汰される。。。

これが資本主義社会での定めです。

ただ、逆を言えば企業や商品が衰退を避けるにはコモディティ化しない、つまりイノベーションを繰り返すことで商品の差異を作り続けなければならないという訳です。

氏によると、この良い例がPanasonicのノートパソコン「Lets' Note」に見ることができるといいます。

ノートパソコンはかつて20万円ほどしていたのが、現代では5万円代で手が届くほど競争により価格の下落が続いています。

ただ、先ほども述べたようにコモディティ化を避けるキーワードは「差異」です。

ここで言う差異とは、「ストーリー」と言って良いでしょう。

マーケターはこの差異、つまりストーリーを生み出す、あるいは発見して最も適切な市場で商品を売る戦略を考えられる人間であると氏は言います。

では、なぜLets' Noteがマーケティングの良い例かと言いますと、広告では高性能をウリにせず、「できるビジネスパーソン」というイメージを載せて売っているからだそうです。

Lets' Noteはできるビジネスパーソンが持つノートパソコンというイメージ戦略が功を奏した結果、価格の下落が続くノートパソコン市場でも高価格ながら高い評価を得て最上位の評価を得ているところが、マーケティングの良い例だそうです。

また、こうしたマーケティングはコモディティ化によって価格競争を余儀なくされた企業を復活させる力を持つといいます。

例えばNOKという自動者部品を作っている会社では、オイルシールというエンジンからのオイル漏れを防ぐ部品を作っており、その品質は世界でも屈指の会社があります。

だが、製品はコモディティ化してしまい、主力製品の収益は低下を続けていました。

そこで、自動者以外の分野で自社のスキルが市場価値を持つと信じて新たな市場に売って出ました。

その結果、このオイルシールの技術が携帯電話の可動部分に採用され、現在では同社の売上の大きなシェアを占めるまでになりました。

このような話は個人にも適用することができます。

例えば、筆者の友人は高校の英語教師を辞め英会話教室を開きましたが競合が多く、経営難に陥りました。

だが、発想を変えて外国人向けの日本語教師になることで活路を見出した結果、これが大当たりしたそうです。

以上の二つの事例のように、自分や自社が持つスキルや知識をどの市場でどのように売るかによって、得られる報酬は大きく違ってくると言います。

個人の働き方においても、自分の強みを環境の変化に合わせて上手く変えていくことが現代では求められるそうです。

そして、この際に必要なのが、マーケター的視点です。

例えば、会計士でもコモディティ化によって価格競争が起きています。

この会計士のなかで一番儲けているのは法人向けの「節税商品」を作っている人たちだといいます。
特に節税した金額の数%を成功報酬として貰う場合だとかなり稼げるそうです。

会計士と同様に、弁護士も一番儲けているのは大手の弁護士事務所を所有している人だといいます。

また、アメリカでは日本の数十倍もの弁護士がいるため、日本より遥かにコモディティ化が進んでいます。

このコモディティ化が進むアメリカで儲かっているのは、ニッチなビジネスの市場を見つけて、自分たちでマーケットを作り出した弁護士事務所であると氏は指摘します。

例えば、アメリカの有名な弁護士、ジョー・フロムは「企業の敵対的買収」を専門とする弁護士となり莫大な利益をあげました。

ただ、法曹界にこのビジネスが最初からあった訳ではなく、フロムはこれは儲かると思いついて実行し、このマーケットを作り出したという訳です。

このように、結局は士業に就いたからと言って稼げる訳ではありません。

資格や専門知識よりも、むしろ自分で仕事を市場を創るなど新たなビジネスを創り出す能力の有無で稼げる人か否かを分けると氏は指摘します。

この能力こそがマーケティング的能力だそうです。

マーケティングとはこれまで縁遠い存在でしたが、これからの時代を生き抜いていくためには必須の能力だということはこれで充分理解できました。

これから勉強しなくてなならないことがまた一つ増えましたね。

第6章 イノベーター=起業家を目指せ

本章では、イノベーションとは何か、そしてイノベーションのために必要なことについて述べれらています。

まずイノベーションとは何か?

そもそもイノベーションとはオーストリア出身の経済学者、ヨーゼフ・シュンペーターが作った言葉であると氏は言います。

彼は起業家の生み出す絶え間ないイノベーションが経済を変動させ、資本主義を進歩させていくと主張しました。

ちなみに、イノベーションというと「革新」と訳されますが、氏によるとそれは本質を捉えていないそうです。

「革新」よりも「新結合」の方が本質を捉えた訳語であると氏は指摘しています。

既存のものを今までとは違う組み合わせ方で提示すること。。。

これがイノベーションの本質だそうです。

また、イノベーションを起こす、あるいは社会に大きな変革を起こすのに全く新たな技術を生み出すことは必要なく、今すでにあるものの組み合わせを見方を変えることで充分それは実現できると言います。

例えば、SONYのウォークマンはその典型であると言います。

カセットテープにイヤホンを付けることで音源を持ち出すことができるというのが、ウォークマンが出た当初の特徴でしたが、カセットテープを再生する技術も、イヤホンの技術も全く新しいものではなく、あくまでカセットテープとイヤホンという既存の異なる技術をこれまでとは違った形で組み合わせたというだけに過ぎません。

そう思うと、思ったより簡単にイノベーションが起こせそうな気がしますよね。

ちなみに、こうしたイノベーションを生み出す、あるいはイノベーター型の企業を目指すのであれば、特定分野の専門家を目指すよりも浅くても良いから色々な専門知識を知って、その組み合わせを考えられる人間になることが大切だと氏は言います。

浅いけれども色々な知識を幅広く知っておく。。。

これこそ正に「教養」ですよね!

そう思うと、教養のある方はイノベーションを生み出す力を秘めているとも言えそうですね。

また、氏はイノベーションを生み出すための発想は大して難しいことではなく、その業界で「常識」とされていることの反対を検討してみれば良いと言います。

例えば、自動車販売店でターゲットを大人から子どもに変えることも充分イノベーションだと氏は言います。

実際にとある販売店が子どもが遊べるスペースを設けるなどターゲットを大人から子どもに変えたことで家族連れの来客が増え、売上を大きく伸ばすことに成功したという事例があるそうです。

このように、今あることの逆を考え実行するというのはイノベーションを起こすうえで非常に有効な手段だそうです。

ビジネスで今までのやり方で上手くいってないのであれば、あえてその全く逆をやってみた方が成功する確率は高まるケースは往々にしてあるのだというのが本章を締めくくりになります。


まとめ

さて、part.2ということで第4章から第6章までを見ていきましたがいかがでしょうか?

個人的に印象に残っているのは、第5章のマーケティングの話と第6章のイノベーションの本質は「革新」ではなく「新結合」であることですね。

マーケティングに関しては、これまで一切勉強してきませんでしたから、全くどんなモノか分かりませんでしたが、実際に本書を読んでからマーケティングは企業活動の基本でもあり、そしてこうした思考を持っておくことが社会で生き抜くうえで必須であると学んだので、これからはマーケティングの勉強も進めていきます。

イノベーションに関しては、全く新たなモノを生み出すには高度な技術が必要とばかり思ってましたが、以外と実は全くそうでなく、あくまで発想の問題なのだと気づかされたのは個人的には良い発見を得たと大変満足してます。

これまでとは全く逆のやり方をやってみるとか、異なるモノ同士の組み合わせを変えてみるとかこうしたイノベーターの発想は、サラリーマンとして働くうえでも大きな武器になると思うので、普段からこうしたイノベーターの視点で物事を見てみようと思いました。

マーケターとイノベーターの話だけでも充分密度が濃いのですが、これに加えてエキスパートは生き残りが厳しくなるというのも、自分のキャリアを考えるうえで非常に考えさせられますね。

エキスパートが厳しくなるなら、場合によってマーケター、イノベーター、リーダー、インベスターと4つの顔を使い分ける存在になりたいと本書を読んで強く思いましたし、これを知れただけでこの本と出会えて良かったと心からそう感じています。

次回は最終章となります。

最後も教養の大切さを説くなど、個人的に非常に勉強になるので読み返すのが楽しみです!

また次回も期待していてください!

それではまた👋







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