#25 話し合い
我々はあるモノの処理について話し合いをするため、毎年この場所に会している。そして、今年もこの話し合いは行われるのであった。
すみません、遅れてしまいました
豪華絢爛な椅子に腰かけて、退屈そうにしている3人に向かって謝罪をする。
はよう席につきんしゃい
自分を含めた中で一番年上の者が怒気交じりに声を発した。
今年もまたこの時が来てしまいましたね
そんなことを言いながら、いそいそと自分に用意されている席へと座る。
年長者が一つ咳払いをして言葉をもらす。
毎年毎年人間もご苦労なことだ
その発言から4人は目の前に横たわっている生娘に注目する。
我々土着神にとって、人間の供物が神通力の源となり、特に、人間自体を取り込むことで初めて得られる境地が存在する。そのため、新たに生まれた神にとって人間を取り込むことは奇跡を行使する上で必須事項ともいえるのだ。
今年の希望者は?
誰も・・・
時代の流れなのだろう。最近では人間の文明も発展し、大きな奇跡を起こす必要もなくなり、人間と神の距離が遠くなったことからも人間の供え物を拒否する神が増えてきている。特に、人間自体を取り込むなど時代遅れも甚だしいとこの文化そのものが受け入れられていなくなってきているのだった。
さらに、一度新境地に至った神にとって再度人間を取り込むことは無意味であるうえに、気を保つことに力を要してしまうので危険も多く、同じ者に頼むこともできないのが現状であった。そのため、毎年捧げられるこの供え物の処遇を決めることが問題となっているのだった。
はぁ、仕方ないが今年もわしらで処理するしかないかのぉ
そうなりますね…
そういうと各々、私は脳、わしは眼球と右腕、我は・・・と言いながら供物の生娘を出際よく分割していく。
今年の話し合いも早々に決着がつき、自分の取り分を確保したので、にやつく顔を我慢しながら嬉しそうにそれぞれ解散するのだった。
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