今日の9表の守り

 外崎の犠牲フライで追い付かれて引き分けで終われていれば、「しょうがない」で済んだ試合だったかもしれない、3点目は確実に失点のリスクを減らすことが出来たからだ。

 序盤の杉山は球数こそかかったものの、ストレートの割合を5割前後に抑え、甲斐も意図的に変化球を多投させ打ち取ろうという明確な意思が見えた。源田にはかなり粘られたが、ここは原因を見つけて次につなげてもらえればいいと思う。

 古谷は完璧な火消しだった。久しぶりにテレビで見たが、あのスコアリングポジションに背負った場面で変化球から入り、勝負してるのを見て感動した。続投でもいいと思ったが、火消し直後の続投はよく失敗してるので結果的にあれで正解。次もこういう場面で使ってもらいたい。

 松本は間隔が定まらない中、ロングを続けてくれたからこういう日もあるとは思う。ただ、同じような結果をここ2,3年で何回か見てるような印象があるので、反省を「次」ではなく「結果」に繋げてほしい。

 岩嵜は相変わらず追い込まれてから落ち切らないフォークを打たれてはいたが、なんとかいい集中力で踏ん張ってくれた。特に山川に対して3-0になったところから、外崎を打ち取るまでの配球、それに応えたボールは満点と言っていい。なかなか外を取ってもらえなかったのは、杉山と松本のとこで四球が立て込んでしまったから、というのが一理あると思う。ただ本来なら審判と戦うような投手陣ではないので、しっかりバッターと対峙するうえで、明日からの3連戦はいい審判団に巡り合うことを望みたい。嘉弥真とモイネロは文句なし。

 問題の9回、森友哉のホームランはハッキリ言って事故。確かにカーブを狙われてたかもしれないが、これまで何回も見てきたような光景だからとやかく言う必要はない。中村のヒット、岡田の送りバントまではまだ安心して見ていた。栗山への四球も守りやすくするためと言えば想定内。山川に対しては外がかなり厳しかったが、上記のような原因もあると思う。だからこそ5球目のインコースでファールを打たせた後に落としてほしかった、というのはあるがキリがない。

 外崎への攻め方も間違いはなかった。犠牲フライに関しては外崎の技術が上回っただけ、ランナーも金子になってたし打球が上がった時点で同点は覚悟していた。何故か刺せなかった釜元が責められているが、確かに釜元より肩の強い谷川原、もしくは上林が一軍にいて守備固めで入っていたら刺せたかもしれない。それでも「たられば」には変わりないし、あのカットプレーの早さを見れば少しは諦めがつくだろう…。

 問題は次の岸だ。場面的に初球のストライクは狙っているだろうし、特に浮いたカットボールなんかは一発で仕留められる気がしていた。そしたら案の定である。初球、ど真ん中打ってくださいと言わんばかりの141キロのカットボールをレフトに、万事休す。
確かに今日の森に本来の球威はなかったし、明らかに疲れは見えていた。起用法に問題があると私も感じている部分はあるが、この議題とは関係ないのでここでは言わない。

 だからこそ、なぜ外崎と岸の間でタイムを取らなかったのか。
野球というスポーツは他の球技と比べても、珍しく「ワンプレー毎にルールにのっとってタイム(間)を取れる」スポーツである。
 犠牲フライの後ということもあり、離塁へのアピールプレーがあるはずだから野手にも間が出来る(ちなみにあの場面ちゃんとアピールしてましたか…?)。しかし今日の森-甲斐バッテリーは恐らく一言二言交わしただけで(もしかすると会話もなし?)すぐ岸と対峙してしまい、この結果だ。
 これがもし普段9回を任されないバッテリーでこの結果だとしたら、まだあきらめはつくかもしれない(そもそもプロとしてはありえないのだが)。
だからこそ、恐らく国内で一番しんどい場面を多く経験して抑えてきてたバッテリーが、このプロセスでこの結果を生み出してしまったというのは残念だし、「ありえない」一球だったと思う。

 最近アマチュア野球をかなり見てるせいだろうか、あの場面ではタイムを取ることが当たり前だと思っていたし、多分高校の練習試合だったら一発でバッテリーごとベンチから外される、そんなプレーに見えた。

 別にカットボールを打たれたことが問題なのではない。あの悪い流れを一度も断ち切ろうとしないで簡単にカットボールで入って打たれたという事実が、私は非常に腹立たしい(どの立場でものを言ってるんだと思われても別にいいですが)。

 森もアクシデントで4か月も1軍から離れた分、責任を感じて頑張ろうとするのは無理ない。全試合投げるという気持ちも非常にわかるし、それは首脳陣に管理してもらえばいい。だからこそ、今日みたいな思うような投球ができない中で、誰からも信頼されている「クローザー」として、あの場面はバッテリーで仕切り直してから同点で帰ってきてほしかった…。

 これが去年までなら被弾だけで勝っていたか、同点で終わっていただろう。つまり今年はそういう年なんだろうと思ってしまった。

 野球は目に見える数字をいい方向にもっていくのが究極のゴールではあるが、本来はその細かいプロセスの中でJK(準備・確認など)をしっかりしたうえで、悪い方向にいってしまう確立を減らすスポーツであると、10年以上やってきて感じている。だからこそ、今日の9回の守備にはこの「本質」が見えた。一人のホークスファンとしてはやりきれなさしかないが、野球ファンとして見ると、かなり面白い攻防だった。

 本気で逆転優勝を目指すならこのような失敗はもう一度も許されない。
明日からは勢いのあるオリックスであるうえに、宮城・山本という二大巨頭にアウェーで立ち向かわないといけない。少なくとも勝ち越しはマストだろう。幸い打線は上向きなので普段以上の得点は期待できるかもしれない。
だからこそ、もう一度谷川原の起用法を見直してほしい。ここ2カード6試合全てに出場しているが、打席は1のみ。本来は打を期待されて上がってきた選手のはずだし、このような使われ方だと急に大事なところで代打を任せても酷だと思う。
 ようやく、若手・中堅・ベテランのバランス配分が良くなり、数字にも結果にも表れてきている。だからこそ、改めて今一軍にいる選手の場面毎の優先順位を見直してほしいし、それぞれが輝ける場所で勝負させてほしい。

 残り19試合、結果がどうなるかはわからないが、来年に向けてもどのような戦い方をしていくか、注目したいと思う。

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