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第73回春季関東地区高等学校野球大会展望 ~千葉学芸ってどんなチーム??~

 こんにちは、しゅうです。5/15(土)から山梨県の二球場において、第73回春季関東地区高等学校野球大会が開催されますが、コロナウイルス感染拡大防止の観点から、無観客(控え部員、部員保護者、学校関係者の入場は可)での開催が予定されています。
 
 私自身千葉に住んでいるのですが、時間確保して見に行く予定を立てていたので残念なところではありますが、準決勝以降の3試合がJ:COMチャンネル(千葉県、茨城県、埼玉県、群馬県、神奈川県、東京都内の一部地域を除くエリア)で放送されるようなので、それを楽しみにしたいと思います。
 
 今回は、本来現地観戦される予定だったファンの方に向けて、少しでも予習の教材(?)になればと思い書く予定でいた千葉学芸高校について、少し簡略化してどんなチームなのか紹介させていただきますので、最後まで目を通していただければ幸いです。

千葉学芸高校(千葉県1位)

 先日まで開催されていた第74回春季千葉県高等学校野球大会、優勝したのは千葉学芸高校で、創部21年目で春夏秋通じて初めて千葉県を制することとなりました。2017年秋に部員14人で専修大松戸高校を撃破してからはや3年半、順調に部員も増え(2018年春には29人の1年生が入部)、個人的にはいわゆる「新興校」の枠を飛び越え、一気に「強豪校」の仲間入りを果たした印象です。
 
 昨秋は準々決勝で専修大松戸と延長16回(13回からタイブレーク)の熱戦を繰り広げるも、サヨナラ負けを喫してしまう非常に悔いが残る結果だったかもしれません。ただ、秋にベスト8に入った結果、春のシードを獲得。
 そして春は市柏、東京学館船橋、中央学院、成田、専修大松戸と対戦した5校中4校が甲子園出場経験のある学校と非常に厳しい戦いが続きましたが、終わってみれば1試合平均6.0得点、1.6失点と盤石の戦いぶりで一気に千葉の頂点まで上り詰めました。

 そんな今年の千葉学芸の「顔」は恐らくプロ注目のスラッガー、
有薗直輝でしょう。佐倉シニアではクリーンアップを張り、入学直後の1年春から主軸を打ち、1年夏にはZOZOマリンスタジアムのレフトスタンドに衝撃のホームランを放つなど大活躍(生で見ましたけど音えぐかった…)。
ここまで高校通算57本塁打と着実に成長していると言えるでしょう。
 また、今春では有薗の後の4番に座った板倉颯汰も1年時からクリーンアップを張ってきた経験豊富な強打者です。初めて彼を見た野球ファンがいたら、もしかしたら左のおかわり君(?)のような雰囲気を感じるかもしれませんが、彼の持ち味は長打力はもちろんのこと、打席内での落ち着き、対応力、そして抜群の選球眼の良さだと、生で見てて感じました。
 
 少し大げさかもしれませんが、プロで例えるとグラシアルのような「ハードパンチャー」の後ろに、しっかりとボールも見れて長打も打てる中村晃が控えているような並びで怖さがあります。初戦に戦う関東一高バッテリーがこの二人に対してどのような攻めをするのか注目です。

 上記のキーマン二人をうまく抑えていくポイントとしては、当然かもしれませんが1,2番の齋藤聖弥鈴木結翔をどれだけ塁に出さないかというところに尽きると思っています。1番の齊藤は今春は四球を6つ選び出塁率は.560で、盗塁も2つ。2番の鈴木は犠打が7つで盗塁も1つと、どちらかを塁に出してしまうと高い確率でスコアリングポジションにランナーがいる状態で有薗、板倉を迎えてしまうことになります。
 さらに後続にも二塁打を二本放った5番の佐藤柊汰だったり、今春チーム最多安打の7番一戸大輝(僕のイチオシです)など気の抜けない打者が今年の千葉学芸には揃っています。
 
 チーム全体で見ると、5試合で犠打が20個、盗塁が11個と小技と足もかなり絡めてきており、かなりオーソドックスな攻撃をしている印象を受けます。
 それも、有薗板倉という中軸がどっしり座ってくれてるからだと思うし、スタメン全員が状況に応じた役割を確実に果たせたからこそ、好投手を複数枚揃える中央学院や専修大松戸から8点を取れたり、春の優勝に繋がったのではないかと感じています。

 初戦の関東一高との対戦では、恐らくプロ注目の右腕・市川祐と相対することになるだろうし、中軸に対してはよりマークが厳しくなるかもしれません。果たして学芸打線がどのようなアプローチでランナーを溜め、得点につなげていくのか、注目です。

 

 ここまで主に攻撃面について書いてきましたが、はっきり言ってしまうと今年の千葉学芸は「守備」のチームだと思っています。
 シートノックのボール回しや内外野それぞれの送球から「低いボール」が徹底されていた印象を受けましたし、全体で見てもかなりの完成度の高さを感じました。

 今年の千葉学芸のエースは左腕の北田悠斗。最速は137キロ(春は132?)で、一見するとそこまで上背のないオーソドックスなサウスポーに見えますが、実際は9回まで球威球速共になかなか落ちないスタミナや、どんな打者に対してもすぐ自分有利のカウントを作れる制球力、さらにカウント球にも勝負球にもなる変化球(スライダー・フォーク)を2つ使い分け、それを右左関係なく膝から下の高さに投げ込めるコマンド力を持っていたりと、「勝てるピッチャー」の要素を多く持っている投手です。
 実際に与四死球の数が、昨秋が40回1/3で7個。今春が36回で8個と自分から崩れることはほぼ無いと言えますし、チーム失策数も昨秋が4試合で4個。
今春が5試合で3個とチーム全体で高い守備能力を持っており、それが今春の1試合平均1.6失点という驚異的な数字につながったことは間違いないでしょう。

 チーム全体の守備能力もさることながら、守備に対する「意識」という面で見ても、千葉学芸には強いこだわりを感じます。
 試合中、ベンチの監督や部長から大きな声で指示を出す部分はあまり見受けられなかったのですが、主に得点圏の場面を迎えると、まずベンチから、
「〇アウト、ランナー〇、〇塁!!」という「揃った声」が響き、そこから守っているナインがそれぞれ各自のJK(ここでは準備確認の略)を行うという、チーム全体で失点を防ぐという徹底ぶりや、その意識の高さを見て感じることが出来ました。
 
このような決まり事を、1試合9イニング徹底して出来る高校というのは全国で見ても数少ないだろうし、なかなか練習時間が取れなかったにも拘らず、練習から「試合で勝つための練習」をしてきたんだなと感じました。

 また、個人的に注目しているのはキャッチャー・佐藤柊汰の配球で、準決勝の成田戦では、バッターの特徴や成田側の作戦によって配球を変えてきているような印象を受け、それに北田の制球力が相まった結果、ほとんどの打者に対してもバッテリー有利のカウントに持ち込めていたし、成田の各打者に初球から厳しい球を打たせていたということになったのではないかと感じています。
 二塁送球も、投球練習時のものでも半数以上が2.0秒を切っていましたし、北田のクイックやけん制も多くのパターンがあり、ランナーはなかなか走れないのではないかと感じました。まさに「共同作業」という言葉がぴったりのバッテリーです。

~まとめ~

  
今春初めて千葉県を制した千葉学芸ですが、今大会出来ていた野球が関東でも同じように出来れば、十分に勝ち上がっていける可能性があると僕は見ています。初戦の関東一高に勝つと、次戦では選抜優勝の東海大相模と対戦できる可能性があるという、ここまでハイスピードで強豪校のポジションまで上り詰めた千葉学芸にとって、力を試すための絶好の機会になると思っています。
 現地で観戦できないのは残念ですが、ベスト4まで勝ち上がればテレビで観戦できるというチャンスもあります。選抜帰りでさらに強力打線になった専修大松戸とともに、千葉県勢の躍進を祈って今回はここまでにします。ありがとうございました。

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