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双亡亭壊すべし 完走した感想

漫豪”藤田和日郎”先生の最新作、「双亡亭壊すべし」が8/18発売の25巻を以て完結しました。

完結してしまったのでした。。。。。

[余談]
藤田作品を読んだことが無い人の入門編として滅茶苦茶おすすめ。
展開にスピード感があって、何より他の代表作に比べて巻数が少ない。
うしとらもからくりもダラダラするところは1巻単位でダラダラ説明されることが多いからね。
藤田先生の短編漫画は当然その懸念をクリアしているわけで、結果的にどれも傑作モノが多いけど、遂に週刊連載の長編漫画である双亡亭にそのクオリティをそのまま持ってきてしまった。

[感想]
毎度思うけど、どうやってシナリオ考えてるんですか、コレ。
色んな作品読んでて、「このシーン凄くいいな、〇〇編マジでめっちゃ熱い展開だな」みたいな局所的に読んでて楽しいところがあっても、何かどっかで歯車が狂って、ガチャガチャってまとめてラストに入る漫画って割かし多くないすか?ていうか普通40巻超えてくる作品ってそうなるもんだと思うんだよね。想定してなかった脇役が人気出てきて、そいつを使って別の風呂敷を広げて熱を維持しようみたいなことがあったり、まぁ競争の激しい業界だし別に悪いことでもないし、それが面白ければ大正解なんだけど。
藤田作品ってマジで、最初に決めた設計図通りに動いて、ある時あるキャラが行動した結果がちゃんとご都合展開無しに、舞台を去るところまでキッチリ反映されていて、それら各々が全部ラストに向かって一本の束でビタハマりで収束していくのが凄いなと思うんですよ。
キャラが増えれば増えるほど、「こいつは結局どういう意図で動いたの」とか「ポっと出てきて訳分らんとこで退場してた」とかってのが一人、二人紛れること多いけど、なんか常にマネジメントが行き届いてるよな、結末に対して無駄に登場したキャラがいないわ、藤田作品。
ということを改めて感じた最終巻だった。
25巻短い、って言ったけど短編漫画みたいに、ここまでビタ嵌めしてラストに持っていくことを考えたらすげぇ長さだと思いますわ。
と、ここまでは双亡亭だけには当てはまらない、いつもの藤田作品の感想。

最終巻について。
「こいつシンプルにバトル描かせたらめちゃめちゃ画力あるのに、結局セリフだけで最高の少年漫画作りあげるやん」
大体少年漫画のラスボス戦って、過去の藤田作品も例外に漏れず、ぐちゃぐちゃで血反吐吐きながら戦って、多くの犠牲の上に勝利。。。ってなると思うけど、結局元を正せばどれもこれも思想vs思想なんだよね。
よっしゃ、じゃあタイマンで座り込んで問答させたろ!をやるのが双亡亭。
いやいや、、、絵の少ないゲームノベルゲームならわかるけども。
ガチガチ殴り合い中に敵とゴチャゴチャ喋るの好きじゃないけども。
ただねぇ、やっぱおもろいもんはおもろいんだよな。
どれだけ残虐非道に味方を屠ろうとしてきたラスボスでも、そいつにしか刺さらない言葉で、相手の貫いてきた思想を折って、負けを認めさせるの普通におもろいんだよな。
「そんなんで説得されるくらいなら最初から________!」ってならないだけの説得力があるわ。突如湧いて出た超パワーで圧倒するでもなく、誰にでも発することのできる言葉でしかないけど、ラストまでの展開を読んできた人だけが分かるカタルシスというか。
これをやるためには、引いた設計図が完璧じゃないと一気に安っぽいラストになるから勇気いると思うんだけど、改めて前段の感想に紐づいて、話の作り方が上手いなぁと思ったのでした。思ってしまったのでした。
結局微妙なラストだったって思う人出るだろうし、これも賛否分かれそうだな。最終巻ほぼ丸々使った問答、ネタバレになるから何も言えんけど本当に熱くて、学生時代に何かに打ち込んでた時のノスタルジックが襲ってきて、椅子から立ち上がれなかったけどな、おれは。
個人的にはめちゃくちゃ爽快な読後感だったし、何なら泣けたし読み直すとまた違う場面で涙を誘う良く出来た作品でした。
最期の学校帰りのシーンさぁ、〇〇の視点で物語が閉じるの、ズルだろ。
なんでズルだと思ったのか。

「その理由は、わからない。」

一番好きなキャラ:坂巻泥努
泥なんてなんだい!(うしとら参照)
彼の思想を芸術じゃなくて、自分が好きなものに置き換えると凄く共感出来るポイントがあって、複雑だった。
弟キャラやっぱつえーわ、こいつつよい、もうダメだ。
ちなみに2番目はアウグスト博士。
彼の科学に対するアプローチというか熱意は、漫画のテンプレ博士じゃなくて現実に寄り添った熱さで、親父との回想とか助手とのやりとりが凄い好きだった。
上昇志向のある技術職が転職考えてるときにこいつに合ったら、人生ほんとに変わりそう。俺は刺さった。

おしまい。








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