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Xenoblade3 超長文レビュー(ネタバレあり)

戦うために生き、生きるために戦う───────。

ゼノブレイドシリーズ堂々の完結作。
プレイ175時間にして、ほぼすべての要素を遊び尽くしたので
感想を残しておきます。

当方、ゼノギアス、ゼノサーガEP1のみ、ゼノブレイドクロス、
ゼノブレイド1&2をプレイ済であり、それらを踏まえたレビュー
であることご容赦。

物語概要:
今回の舞台の人間は10年の寿命だけを与えられ、自身が生きるためには
敵国の人間達の命を奪わなければならない、という過酷な環境での生活を
強いられている。主人公達6人は3人1組としてそれぞれ対立する国に所属。
敵対していた主人公達はある時、「10年の寿命に縛られない」第3の勢力と接触、世界の真相を知ることとなる。
自分たちの置かれた過酷な環境の根源を絶つべく、6人の旅が始まる。
やがて6人はこの世界を停滞させ、残酷な戦争ゲームを実行/管理していた
根源を絶つが、それは同時に人類の消滅とリセットを意味していた。
6人はまた再会出来ることを信じて、あるべき世界へと帰還。
元の世界に戻った後、これまでの旅路で形成された人格や記憶も無くなってしまったが、世界は無情にも消滅の未来へ進んでいく。
果たして世界は「消滅」するのか、もしくは消滅後に「再生」するのか、
結末をプレイヤーに委ね、物語は終幕。

感想:
いやー終わっちまいましたねぇ。
物語概要ですが、本編で語られていない部分は個人の解釈で一部、
説明を補っております。
個人的にはゼノシリーズ初作品であるゼノギアスと並び最高傑作と
感じています。
RPGのシナリオ評価軸としては、私個人は以下を重要視しています。
・考察/解釈の余地が多分にあること(本編で説明しすぎないこと)
・恋愛要素があること
・結末に意外性があること
上記は同ゼノシリーズでは基本的に守られてはいますが、最も
その純度というか濃さを感じられたところが最高傑作の所以と
感じます。(勿論バトルシステムや音楽等の評価点もありますが)
恋愛要素だけ、評価観点が浅いと見られがちですが、もっと抽象化
すれば、「感情移入しやすければ良し」です。
恋愛要素が主軸になるべき、とは思いませんが、それがあるだけで
シンプルで台詞少なくても、演出が厚くなるので個人的に好きです。
今作の人間達は、戦争に都合の良い道具として生み出された背景から
性を意識しない描写があり、とある変化から性に対する意識が芽生えて
くるのが、しつこすぎず、非常に繊細かつドラマティックで良かったです。
また、今作は台詞でなく、演出や背景でSFを感じさせるところに進化を
感じました。
(過去作は割かし直接的なSF単語が多い。
ex.マルチバースジョイント、観測者、相転移実験施設、波動存在)
特にラストの主人公達が静止したまま、世界だけが分離する表現は
凄くSF的演出で個人的に大好き。
モノとしても世界の中心におぞましいSF的物体オリジン
(世界再生するためのやべぇ機械みたいなもの)
が鎮座しながら、中身の説明がしっかりとファンタジーに寄せられている
のも配慮されていて非常に良かった。語り部(女王)が機械音痴臭いもんね。
それでいて演出で疎かにされていないが故に考察のしがいがある、
というのが素晴らしいです。
やはり登場キャラの口から説明させすぎるのは良くない。
ゼノシリーズはブレイドになってからは、SFをどう違和感なく持ち込むか、
の回答がずっと出ていなかったように思うフシがあり、今作でやっと見た
かったものが見れたという感覚。
ぶっちゃけ、3が好きな理由のほとんどはココ。
ゼノブレイド1&2は分かり易く、読みやすく、感動もした。
でも、本当は待ってたんだよこういうのを。
わからないやつはわからなくていい、と突き放される感覚を。
むしろ3には、サブイベントという形で1&2と同じ路線で進化したテキストも
あり、隙が無い。
強いて言うならば、敵サイドの魅力が落ちたと、巷では聞くけども。。。
個人的には、「打倒される敵に何かしらのバックボーンがあって、実は
憎めない」の展開を毎度やらなくても良いと思う。3作目だしね。
ただいどちらかというと、もう少し"得体の知れなさ"みたいな不気味感は
欲しかった。大塚明夫さんだと、ちょいやりすぎ。
ただ、最後に立ちはだかるのが人ではなく「"願い"」、というのは
非常に構図として好きです。
ゼノシリーズは少数の例外を除いて基本は、人 vs 神、の構図になります。
ここにきて、ゼノ"ブレイド"の完結作とはいえ、人 vs 願いはアチアチアチ。
正確には願いによって作り出された神の等しい存在、ではあるけども、
高橋哲哉監督の"アンチ神"もここまできたか、という印象。
ただ、この感想は本編の設定を落ち着いて整理できる今だからこそ
であって、やはり初見の流れで追ってきた人には、感情移入しやすい
"キャラ"が存在しないと、ノリきれなさはあるかもしれないね。

あとはキャラクターですね。
言うことないんじゃないかな。
いつも、ゼノシリーズはキャラの素材は良いけど、何かがいつも
一個だけ欠けてた。
(演技だったり、表情のグラフィックだったり、台詞だっだり)
今作は全て満点でございます。
特に台詞の間が空くときの表情の変化は凄いと思います。
同じアニメ調グラフィックのテイルズシリーズや軌跡シリーズでも
ここまでは到達していないように思います。
メインPTならタイオン、ユー二が一番好きなコンビですね。
ノアは歴代主人公の比較なら一番好きです。
前置きで表情の話をしたのは、こいつらが一番恩恵受けてると思ったのも
あります。
タイオン、ユー二は性格が立ちすぎて、分かり易くなりがちなところを
喋らないシーンで、見えてこなかった一面が表情から汲み取れるし、
逆にノアは台詞だけだと何考えてるかわからない部分を、表情が補足する。
文章だと表現難しいな。。。
んでもって、道中の掛け合いが本当に違和感無くなった。
むしろ楽しいまである。
過去作はシリアスモードに入るまでは、割と味しなかったけど、凄く丁寧に
若者と大人の微妙なラインを描写していると思います。
これがあってのラストだからこそ余計に泣いてしまいます。
ヒーローは言わずもがな、シドウ軍務長官です。
こいつは、説明する必要ないだろ。
モブだとコトリちゃん or ツォンですね。
ニイナ様の翻訳bot助かる。
ツォンはバックボーンが格好良すぎる。

音楽と戦闘は文句無いです。
なんというか、シナリオとキャラは加点部分が目立つけども
対してこれらは減点部分がほぼ無い、という評価っすね。
あるとすれば、
戦闘はチェインの演出長すぎ。
音楽は「命を背負って」本編で流れなさすぎ。
くらい。

考察はtwiiterに投稿したので、1点だけ記載。
スタッフロール後の最期のシーンで、初見の人の感想で良く耳にする、
「世界が衝突する前に戻って、2つの世界は何事もなく分離したんだね。」
「記憶は無くなったけど、無事世界が一つに戻ってめでたしめでたし。」
の2点、どちらも否定するほど材料が無いですが個人の見解を書きます。
自分は、
「世界が衝突する前に戻り、これから衝突して仲良く消滅するけど
オリジンにある全情報使って再生されるんだな、です。」
です。
一応劇中の台詞で語られてはいるので、嘘は書いていないと思います。
主人公達は「自分の存在が消えることを承知の覚悟で、それでも
自分たちのいた世界を存続させたい」として、ラストのお別れのシーン
を迎えたと信じたい自分がいるのも確かですが、やっぱりオリジンが
消滅そのものの危機を回避できるなら、敵サイドは登場しなかった
と思うんですね。(消滅したくないという願い、がラスボス)

よって、互いの世界の全人類は、

間違いなく一度消滅することになる。


あとは女王ニアによって、
・世界の対消滅は不可避であること
・オリジンが消滅前の全情報を蓄え、再生する機能を持っていること
が語られていますしね。
再生されるのは、実質自分と同じ情報、容姿を持った他人であるため
何とも切ないというか、悲しいお話ですが、そもそも世界が分かれて
別々の生命が存在していたことが異常で、宇宙規模にマクロな視点で
考えればこれから正常な状態に戻るだけなんですよね。

最期のアグヌスのおくりびとの旋律と、ノアの消滅はこれから起こる
融合と消滅の予兆で、無いはずの旋律の記憶に惹かれるのは、
再生された世界でまた会えることを示唆するようなものかなと。
ちょっと暗めの考察ではあるけど、ここの正解は劇中の情報だけでは
確定しきれない、というか確定すること自体が野暮ですね。

過去作ファンサについて:
ゼノブレイド1
メリアちゃん以外はほぼ寿命全うしたと思われ、非常に悲しいです。
タルコの存在を匂わせる会話があったのが、少しはがりの救い。
パーティに入れてるときの戦闘カチコミ台詞が1と変わらなくて
余計に辛いです。
側近として出てくるのはアイゼルだけですが、ホグドとガランとダミル
もいるのだろうか。
首のチョーカーがフィオルン(肉が無くなる前)とお揃いにしたので
あればいいが、遺品だと思うともうわたくし。。。。。。

ゼノブレイド2
ハナちゃんだけが出てきたけど、これってブレイドとハナのような
メカ以外は普通に寿命で亡くなっている可能性アリ。
わかるよ、ファンサ枠としてハナちゃんが適切だから、っていうのは。
とはいえ、ハナがコールドスリープ用のカプセルみたいなものから
出現したので、もしかしたら寿命に対する回答を技術的に持っていたの
かもしれない。
2のアンサー的には、"人は有限だけど思いや文化が継いで続いていく"的
テーマと思うからちょっと解釈違い起きちゃうけど。。
単純にみんな存命のうちに、世界衝突の危機が訪れた可能性はある。
帰れる場所があっていいよなぁ!?

ま、全員消滅してもらいますけどもね。

ストーリー無茶苦茶でもいいから、ゼノブレイド3のPTみんなで
世界リセット後に駆け回るゼノブレイド無双をコーエーテクモが
きっと出してくれる。

以上、DLC追加シナリオが出ることで崩壊するであろう、戯言でした。










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