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第13章 マッド・アイ・ムーディ 5

アーノルド・ウィーズリーは、二年前にも空飛ぶ車を所有していたことで責任を問われたが、昨日さくじつ、非常に攻撃的なゴミバケツ数個をめぐって、マグルの法執行官(「警察」)と揉め事を起こした。
ウィーズリー氏は、「マッド・アイ」ムーディの救助に駆けつけた模様だ。年老いた「マッド・アイ」は、友好的握手と殺人未遂の区別もつかなくなった時点で魔法省を引退した、往年の「闇祓やみばらい」である。
警戒の厳重なムーデーィ氏の自宅に到着したウィーズリー氏は、案の定、ムーディー氏がまたしてもまちがい警報を発したことに気づいた。
ウィーズリー氏はやむなく何人かの記憶修正を行い、やっと警官の手を逃れたが、こんな顰蹙ひんしゅくを買いかねない不名誉な場面に、なぜ魔法省が関与したのかという「日刊予言者新聞」の質問に対して、回答を拒んだ。

「写真まで載ってるぞ、ウィーズリー!」
マルフォイが新聞を裏返して掲げて見せた。
「君の両親が家の前で写ってる__もっとも、これが家と言えるかどうか!君の母親は少し減量したほうがよくないか?」
ロンは怒りで震えていた。みんながロンを見つめている。

「失せろ、マルフォイ」ハリーが言った。「ロン、行こう……」
「そうだ、ポッター、君は夏休みにこの連中のところに泊まったそうだね?」
マルフォイがせせら笑った。
「それじゃ、教えてくれ。ロンの母親は、ほんとにこんなデブチンなのかい?それとも単に写真映りかねぇ?」
「マルフォイ、君の母親はどうなんだ?」
ハリーが言い返した__ハリーもハーマイオニーも、ロンがマルフォイに飛びかからないよう、ロンのローブの後ろをがっちり押さえていた__。
「あの顔つきはなんだい?鼻の下に糞でもぶら下げているみたいだ。いつもあんな顔してるのかい?それとも単に君がぶら下がっていたからなのかい?」
マルフォイの青白い顔に赤味が差した。
「僕の母上を侮辱するな、ポッター」
「それなら、その減らず口を閉じとけ」ハリーはそう言って背を向けた。

バーン!

数人が悲鳴をあげた__ハリーは何か白熱した熱いものが頬をかすめるのを感じた__ハリーはローブのポケットに手を突っ込んで杖を取ろうとした。
しかし、杖に触れるよりも早く、二つ目のバーンだ。そして吼え声が玄関ホールに響き渡った。

若造、そんなことをするな!
ハリーが急いで振り返ると、ムーディ先生が大理石の階段をコツッ、コツッと下りてくるところだった。
杖を上げ、まっすぐに純白のケナガイタチに突きつけている。石畳を敷き詰めた床で、ちょうどマルフォイが立っていたあたりに、白イタチが震えていた。

玄関ホールに恐怖の沈黙が流れた。ムーディ以外は身動き一つしない。
ムーディがハリーのほうを見た__少なくとも普通の目のほうはハリーを見た。もう一つの目は引っくり返って、頭の後ろのほうを見ているところだった。

「やられたかね?」
ムーディが唸るように言った。低い、押し殺したような声だ。
「いいえ、外れました」ハリーが答えた。
触るな!」ムーディが叫んだ。
「触るなって__何に?」ハリーは面食めんくらった。
「おまえではない__あいつだ!」
ムーディは親指で背後にいたクラッブをグイと指し、唸った。
白ケナガイタチを拾い上げようとしていたクラッブは、その場に凍りついた。ムーディの動く目は、どうやら魔力を持ち、自分の背後が見えるらしい。

ムーディはクラッブ、ゴイル、ケナガイタチのほうに向かって、足を引きずりながらまたコツッ、コツッと歩き出した。
イタチはキーキーと怯えた声を出して、地下牢のほうにサッと逃げだした。
「そうはさせんぞ!」
ムーディが吼え、杖を再びケナガイタチに向けた__イタチは空中に二、三メートル飛び上がり、バシッと床に落ち、反動でまた跳ね上がった。
「敵が後ろを見せたときに襲うやつは気にくわん」
ムーディは低く唸り、ケナガイタチは何度も床にぶつかっては跳ね上がり、苦痛にキーキー鳴きながら、だんだん高くねた。
「鼻持ちならない、臆病で、下劣な行為だ……」
ケナガイタチは脚や尻尾をばたつかせながら、なすすべもなく跳ね上がり続けた。
「二度と__こんな__ことは__するな__」
ムーディはイタチが石畳にぶつかって跳ね上がるたびに、一語一語を打ち込んだ。

「ムーディ先生!」ショックを受けたような声がした。
マクゴナガル先生が、腕いっぱいに本を抱えて、大理石の階段を下りてくるところだった。


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