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第十七章 二つの顔をもつ男 10

部屋の中では、ハグリッドはいつも場ちがいなほど大きく見える。ハリーの隣に座ってちらっと顔を見るなり、ハグリッドはオンオンと泣き出してしまった。
「みんな…俺の…ばかな…しくじりのせいだ!」
手で顔をおおい、しゃくり上げた。
「悪いやつに、フラッフィーを出し抜く方法をしゃべくってしもうた。俺がヤツに話したんだ!ヤツはこれだけは知らんかったのに、しゃべくってしもうた!おまえさんは死ぬとこだった!たかがドラゴンの卵のせいで。もう酒はやらん!俺なんか、つまみ出されて、マグルとして生きろと言われてもしょうがねえ!」
悲しみと後悔に体を震わせ、ハグリッドのあごひげに大粒の涙がポロポロと流れ落ちている。
「ハグリッド!」
ハリーは泣きじゃくる姿に驚いて呼びかけた。
「ハグリッド、あいつはどうせ見つけだしていたよ。相手はヴォルデモートだもの。ハグリッドが何も言わなくたって、どうせ見つけていたさ」
「おまえさんは死ぬとこだったんだ」
とハグリッドがしゃくり上げた。
「それに、その名前を言わんでくれ!」
「ヴォルデモート」
ハリーは大声でどなった。ハグリッドは驚いて泣きやんだ。
「僕はあいつに会ったし、あいつを名前で呼ぶんだ。さあ、ハグリッド。元気を出して。僕たち、『石』は守ったんだ。もうなくなってしまったから、あいつは『石』を使うことはできないよ。さあ、蛙チョコレートを食べて。山ほどあるから…」
ハグリッドは手の甲でぐいっと鼻をぬぐった。
「おぉ、それで思い出した。俺もプレゼントがあるんだ」
「イタチ・サンドイッチじゃないだろうね」
ハリーが心配そうに言うと、やっとハグリッドがクスッと笑った。
「いんや。これを作るんで、きのうダンブルドア先生が俺に休みをくれた。あの方にクビにされて当然なのに…とにかく、ほい、これ」
しゃれた革表紙の本のようだった。いったい何だろうとハリーが開けてみると、そこには魔法使いの写真がぎっしりと貼ってあった。どのページでもハリーに笑いかけ、手を振っている。父さん、母さんだ。
「あんたのご両親の学友たちにふくろうを送って、写真を集めたんだ。だっておまえさんは一枚も持っとらんし…気に入ったか?」
ハリーは言葉が出なかった。でもハグリッドにはよくわかった。

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