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第1章 決闘クラブ 1

日曜の朝、ハリーが目を覚ますと、医務室の中は冬の陽射しで輝いていた。腕の骨は再生していたが、まだこわばったままだった。ハリーは急いで起き上がり、コリンのベッドの方を見た。昨日ハリーが着替えをしたときと同じように、コリンのベッドも周りを丈長のカーテンで囲ってあり、外からは見えないようになっていた。ハリーが起き出したのに気づいたマダム・ポンフリーが、朝食をお盆に載せて慌しくやってきて、ハリーの腕や指の曲げ伸ばしを始めた。
「すべて順調」
オートミールを左手でぎこちなく口に運んでいるハリーに向かって、マダム・ポンフリーが言った。
「食べ終わったら帰ってよろしい」
ハリーは、ぎこちない腕でできるかぎり速く着替えをすませ、グリフィンドール塔へと急いだ。ロンとハーマイオニーに、コリンやドビーのことを話したくてうずうずしていた。しかし、二人はいなかった。いったいどこに行ったのだろう、と考えながら、ハリーはまた外に出たが、骨が生えたかどうかを気にもしなかったのだろうか、と少し傷ついていた。

図書館の前を通り過ぎようととしたとき、パーシー・ウィーズリーが中からふらりと現れた。この前出会ったときよりずっと機嫌がよさそうだった。
「あぁ、おはよう、ハリー。昨日はすばらしい飛びっぷりだったね。ほんとにすばらしかった。グリフィンドールが寮杯獲得のトップに躍り出たよ__君のおかげで五十点も獲得した!」
「ロンとハーマイオニーを見かけなかった?」とハリーが聞いた。
「いいや、見てない」パーシーの笑顔が曇った。
「ロンはまさかまた女子用トイレなんかにいやしないだろうね…」
ハリーは無理に笑い声をあげて見せた。そして、パーシーの姿が見えなくなるとすぐ「嘆きのマートル」のトイレに直行した。なぜロンとハーマイオニーがまたあそこへ行くのか、わけがわからなかったが。とにかくフィルチも監督生も、誰も周りにいないことを確かめてからトイレのドアを開けると、二人の声が、内鍵をかけた小部屋の一つから聞こえてきた。
「僕だよ」
ドアを後ろ手に閉めながらハリーが声をかけた。小部屋の中からゴツン、パシャ、ハッと息を呑む声がしたかと思うと、ハーマイオニーの片目が鍵穴からこっちを覗いた。
「ハリー!ああ、驚かせないでよ。入って__腕はどう?」
「大丈夫」
ハリーは狭い小部屋にぎゅうぎゅう入り込みながら答えた。古い大鍋が便座の上にチョコンと置かれ、パチパチ音がするので、鍋の下で火を焚いていることがわかった。防水性の持ち運びできる火を焚く呪文は、ハーマイオニーの十八番おはこだった。

「君に面会に行くべきだったんだけど、先にポリジュース薬に取りかかろうって決めたんだ」
ハリーがぎゅう詰めの小部屋の内鍵をなんとか掛け直したとき、ロンが説明した。
「ここが薬を隠すのに一番安全な場所だと思って」
ハリーはコリンのことを二人に話しはじめたが、ハーマイオニーがそれを遮った。
「もう知ってるわ。マクゴナガル先生が今朝、フリットウィック先生に話してるのを聞いちゃったの。だからわたしたち、すぐに始めなきゃって思ったのよ__」
「マルフォイに吐かせるのが早ければ早いほどいい」ロンが唸るように言った。
「僕が何を考えてるか言おうか?マルフォイのやつ、クィディッチの試合のあと、気分最低で、腹いせにコリンをやったんだと思うな」
「もう一つ話があるんだ」
ハーマイオニーがニワヤナギの束をちぎっては、煎じ薬の中に投げ入れているのを眺めながら、ハリーが言った。
「夜中にドビーが僕のところに来たんだ」
ロンとハーマイオニーが驚いたように顔を上げた。ハリーはドビーの話したこと__というよりも話してくれなかったこと__を全部二人に話して聞かせた。ロンもハーマイオニーも口をポカンと開けたまま聞いていた。

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